黒いトランク (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 3-3)
- 東京創元社 (2002年1月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488403034
感想・レビュー・書評
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面白かった。とことん論理的思考。トリック関係は頭がこんがらがるくらい複雑な印象受けたけど、読んでいて楽しかった。
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自分が九州出身で、元の勤務地の通勤路に、物語中登場する別府(べふ)があるので、親近感を持ちつつ読み進めた。
人の心理として、ここまで綱渡りの凝ったアリバイ作りをするかしら、という点で、どうしてもリアリティを感じることが出来ないが、ミステリーとはそういうもんだ、と思えば、盲点を突いた面白いトリックではありました。 -
ミステリの中でも特にアリバイ崩しものが苦手だったため、ずっと敬遠してきましたが、やっと読んでみました。
…が。
やはりジャンルとして合わなかったです。
時刻表とにらめっこして、何時何分に誰がどこそこにいて、更にトランクもこの時間にはここにあって、といったような内容が、自分でもびっくりするぐらい頭に入って来なかったです。
もっと読み込んでフローチャートを書きながら楽しむスタイルだったら、感想も違ったのかな、とは思いますが。 -
図書館や書店で見つからないので、ネットで購入して読みました。探した甲斐があった、面白いミステリでしたー!
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戦後、間もないころの香りが漂う物語
作者は鮎川哲也
その名は東京創元社主催の推理小説新人賞「鮎川哲也賞」でおなじみ。
彼の1956年の出世作で、今もって名作とされる物語。
ようやく復興の進んだ東京の汐留駅に、異臭を放つ黒いトランクが届けられた。
事件は九州での捜査により一旦解決を見るも、とある依頼から警視庁の刑事により再捜査が始まる。
物語は次第に、トランクと駅、鉄道、不審人物の行方の謎が絡み合って、少しずつ異なった様相を示し始める。
描かれているのは戦後まだ国内航空便が再開されておらず、鉄道や汽船が重要な移動手段とされていた時期。
描写の中にも、戦後間もないころの情景があちこちにちりばめられている。
そういったところは横溝正史の描く時代背景にも共通するが、どちらかというと都会的な雰囲気が、場面や登場人物への色付けに施されているところに独特のものがある。
ここに、「戦後の本格推理小説の原点」といわれる所以があると思う。
この後、鉄道を使って数々の“旅する刑事”が作り出されていく……。