材木座の殺人 (創元推理文庫 M あ 3-11)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488403119

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ物の第4弾だった。

    これもまた最初からシリーズを追いかけなければならないのか!?
    と、ドキドキしながら読みましたが、これは、この本だけでいいかな。

    主人公は探偵。
    酒飲みで貧乏。

    しかし、難事件を苦もなく解決することで一部では有名なのである。
    それはなぜか。

    三番間という、会員制のバーのバーテンに相談すれば、たちまち解決してくれるから。
    もちろん事件解決の手数料は、丸々探偵の懐へ。

    安楽椅子探偵ものは、いかに人の気づかないところに気づくことができるか、が鍵になる。
    そして論理的に読者を納得させなければならない。

    なのに、何となくトリックがわかっちゃうのよ。
    で、それはあまり論理的ではないのね。
    違う解釈もありなんじゃないかと思ってしまう程度に、隙がある。
    本当にこれが正解ということでいいんですか?

    バーテンが「正解はこうです」と言うと、「なるほど」と探偵が納得する。
    いやいや、検証しようよ。

    そして、仕事丸投げの探偵に好感を持てるわけもなく、バーテンには個性(あるいは人格)がない。
    文章が、特に言葉遣いが古くさい。
    子どもの頃、父の本棚から拝借して読んだ本みたいな感じでございました。

  • 『棄てられた男』
    ペンションに4人の男女を集めて強請を行う樵。一人一人部屋に呼び交渉を行うが樵と二人になるとこを嫌う女性・石井は拒絶。翌日庭の隅で発見された樵の遺体。何者かに運ばれた遺体。部屋に残された血まみれのウィスキーの瓶。

    『人を呑む家』
    金融機関の営業マンとして入社した柚木。顧客である本田の屋敷から出掛ける時に屋敷に戻った本田がそのまま消えてしまった。本田の前の持ち主である朱田川の妻も一時同じ状況で消えていた。柚木が着ていた青い制服の秘密。

    『同期の桜』
    殺害された梅谷満夫。容疑をかけられた梅谷の同期の三人。同じ会社で金貸しをしていた姫野という女性が続いて殺害される。姫野が犯人に送ったと見られる脅迫状。探偵が同期の二人に話を聞いている時に声をかけてきた盛岡。

    『青嵐荘殺人事件』
    妻子に逃げられた資産家の雨宮勘十。彼の四人の甥姪に一緒に住むようにすすめる。雨宮屯、敏夫、文江、千鶴の四人。会社を辞め大学の研究室に戻りたいと訴える屯、勘十のすすめた女性以外と結婚したい敏夫、勘十の大切なレコードを割った千鶴。遺言を書きかえる直前に隠してあったウィスキーに青酸カリを入られ殺害された勘十。青酸カリのビンの周りの汚れ。

    『停電にご注意』
    公園で殺害された新興宗教団体・儒老会の幹部・小田村。現場に残された「キヨ」の文字。団体内で小田村と対立していた清川、多くの女性信者と関係をもった小田村の相手の一人・久松稀代。アリバイとなった小田村の写った喫茶店での写真。裏焼きの疑いを示唆するバーテンダー。写真をとった大学生が探偵と接触後に殺害される。停電の夜の事件。反対におかれた日記。

    『材木座の殺人』
    材木座で殺害されたミステリ評論家の赤星。容疑をかけられた赤星の元妻の伊那リエ子。緑の上着を着ていたリエ子に対しアリバイとしてあげられたバーの担当者は白い服をきた女性しかいないと答える。直後に奪われた上着。殺人事件の夜に赤星の家を訪ねた作家・大迫。大迫の友人・久木の証言。帰宅後に大迫とみたドラマの秘密。

  • 初鮎川氏で、初安楽椅子探偵もの。なるほどこういう感じなのね。キャラクター設定の妙で読んでいて楽しい。「停電にご注意」だけはトリックに相当難があるような気がしたが、あとは納得。探偵がバーでカクテルを飲むという設定は古き良き時代の名残なのだなぁ。

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著者プロフィール

鮎川哲也(あゆかわ・てつや)
本名・中川透。1919(大8)年、東京生まれ。終戦後はGHQ勤務の傍ら、様々な筆名を用いて雑誌へ短編を投稿し、50年には『宝石』100万円懸賞の長篇部門へ投稿した「ペトロフ事件」(中川透名義)が第一席で入選した。56年、講談社が公募していた「書下ろし長篇探偵小説全集」の第13巻「十三番目の椅子」へ応募した「黒いトランク」が入選し、本格的に作家活動を開始する。60年、「憎悪の化石」と「黒い白鳥」で第13回日本探偵作家クラブ賞長編賞を受賞。受賞後も安定したペースで本格推理小説を書き続け人気作家となる。執筆活動と並行して、アンソロジー編纂や新人作家の育成、忘れられた探偵作家の追跡調査など、さまざまな仕事をこなした。クラシックや唱歌にも造詣が深く、音楽関連のエッセイ集も複数冊ある。2001年、旧作発掘や新人育成への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞を受賞。2002(平14)年9月24日、83歳で死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞を贈られた。

「2020年 『幻の探偵作家を求めて【完全版】 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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