- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488407025
作品紹介・あらすじ
戦中の台湾、本島人の邸の庭で起きた日本軍人の決闘騒ぎ。一方は銃殺され、一方は頭部を殴られ意識不明の状態で発見された。単純な事件と思われたが、現場に残された二挺の拳銃はどちらも指紋が拭われていた。現場の庭は三方を壁と扉に囲まれ、残る一方を闇の幕で隔てられた一種の密室であり、謎は次第に混迷の色を深くしてゆく……。推理と恋愛と幻想が混然一体となった、戦後を代表する本格推理の逸品を創元推理文庫に収録する。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
戦中台湾で起きた帝国軍人同士の決闘騒ぎ。一方は銃殺され、もう一方は、頭部損傷で意識不明で発見されたが、不可解な点が.....
記録者である小高が真相を暴こうとするも、その実は.....
読み進めても一体誰が真犯人かわからない -
他の出版社で出されたものを創元で復刊……とのこと。なので再刊となるようですね。
第二次大戦中の台湾で起こる曹長殺人事件。謎が謎を呼ぶような展開、捜査をしてもなかなか決め手を欠く状況にやきもきしながら読みました。楽しかったです。 -
随分、前に書かれたもので文章が現代文ではないから読みにくく、物語に入るまでも少し時間はかかったがそれでも面白かった。
ミステリーなんだけれど、ちょっとした浮遊感?クラゲが浮いている様な、フワフワしたもの?そういうものが作品の中に存在して不思議な印象もした。
終始、真犯人が誰か?!という括りで進んでいくが様々な人間の証言によって掻き回されて最後の最後で、こいつが真犯人か!?と思ったけれど、よく分からないまま終わってしまった。いつもならこの作品みたくあやふやな終わり方すると、モヤモヤだけが残って、えぇい!!ハッキリ解決しろ!と言いたくなるが何故かこの作品に限っては、そのあやふやな終わり方が良い。真昼の白昼夢みたいな。 -
2018/02/09読了
-
昭和20年、日本軍占領下の台北が舞台。ある街に駐在している分遣隊で曹長が射殺される事件が起こる。美しい地元の娘・恒子をめぐって下士官と決闘しようとした際の事件、しかし当の決闘相手は直前に殴られ意識を失っていた。はたして真犯人は・・・?
基本的に事件はこの1件だけ、次々と死者が出たりはせず、ただひたすら、いったい誰が曹長を殺したのかで推理が二転三転する。語り手(記録者)は小高軍曹、推理役は本部から派遣されてきた勝永伍長だが、実はこの語り手が信用できないので読者は振り回されることになるのだけれどそれすらミスリードの罠だったり、とにかく最後まで飽きさせない。
玉蘭の花の咲き乱れる庭、美しい姉妹、台湾の独特の地名や風習など、難読漢字も多いけれど異国情緒があってロマンチック。終盤ついに明らかにされる真相も、なんというかある意味ロマンチックだ。出てくるのは軍人ばかりだしタイトルは堅苦しい感じもするけれど、中身は異国情緒だけでいっそ耽美かも。