キッド・ピストルズの妄想: パンク=マザーグースの事件簿 (創元推理文庫 M や 1-3)
- 東京創元社 (2000年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488416034
感想・レビュー・書評
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いわゆる狂人の論理ばかりを集めた中編3作品。最もそれらしいと思ったのが「ノアの最後の航海」。死に際の人間だけが辿り着けるロジックは、その人の本質を映し出す鏡でもあったのだ。
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5/11 読了。
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5
とても面白い。狂人の論理も常人の論理も筋が通れば説得力を持つ。しかし突き詰めると、その論理に入る前の前提条件を受け入れさせることが出来るかどうかに、後の論理展開が左右される。この著者はその前提条件の置き方が上手い。これだけでも非常に価値のあること。のみならず、筋立て、蘊蓄、キャラ造形、ユーモアといずれも高水準で密度が高く充実している。
文庫版カバーのタイトルの上に配置された、帽子を被った男のマークが妙に誇らしい。 -
推薦文は笠井潔。「神なき塔」「ノアの最後の航海」「永劫の庭」の三編を収録。同シリーズ中の最高傑作。
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小説は重力。だんだんと地球を離れ、もしくはだんだんと引き寄せられて逃げられない。毒と表現してもいい。窒息死と毒死とどちらがいいか、選ぶ重力だ(?)。
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相変わらずのペダンティズム。「神なき塔」がベスト。伏線の張り巡らしかたはやはり凄い。「狂人の論理」を突き詰めたのは凄いが、あまり説得力はなかったか。
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本の読み方が、とても現実逃避をしているような気がする。やらねばならないことをやらないために、本に逃げているような気がする。参考資料を見ている、と居直るにも限界があるような気がする。
昨日は日曜日には浅草に出かけて、それなりにリフレッシュをしたのだけれどね。今日は一日自分を家に缶詰にしてみるつもり。が、インターネットで外に出られるのだから仕方がない。
で、キッド・ピストルズ。どんどんつまらなくなっているような気がする。パラレルワールドで、パンクの警察官であるってことの衝撃があんまり無くなってしまったのは仕方がない。だいたい、パンクというのがもう、今の日本では死語に近く、反社会とか価値観の反逆とか、そういうことのメタファーにならない。
だから(だと思うけど)、この短編集ではかなり雄弁に、価値観の倒錯というか、妄想の論理のようなものが前面に出されている。それはなかなか興味深いし、このシリーズの根源に迫っているとは思うのだが、素朴にミステリを読む楽しさのようなものが失われてしまったような…
読後感がいまいちしっくり来ない作品だった。
2006/7/31 -
この推理小説は、うわ~って感じた推理小説の一つ。
何がすごいと思ったかっていうと、キッドが狂気について述べた一説。ゆがんだ時空を進む光と狂気についての考察。推理小説っていうのは、人が殺された論理を解いていくものですが、キッドは狂気についてもそういう風に解くのか・・・って思ったので。他に2冊、出てますけど、この「妄想」が一番と思います。 -
パラレルワールドの英国。
蔑みの視線を受けるパンク族の刑事・キッド・ピストルズが説き明かすマザーグース・ミステリ。
犯罪の狂気は妄想により覆される・・・・・・。