ロートケプシェン、こっちにおいで (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 457
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488423124

作品紹介・あらすじ

酉乃との距離が縮まったような、そうでないような。悶々と過ごすポチこと須川くんが遭遇した、バレンタインをはじめ学内外の出来事。『午前零時のサンドリヨン』に続く第二集。

感想・レビュー・書評

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  • 相沢沙呼先生なのでアタクシの苦手なアレだなと想定していたが・・・やはりそうだった(毎回罠に落ちる)
    太ももに気をとられ色々と無駄なコトに気が行く主人公須川君、でも妙に女の子と絡む生活をしているのが作者の現実をしらないトコロ
    (ボっち男はな!・・・さみしいんだぞ)
    胸が苦しくなる相沢先生のスクールカースト話、いじめ問題なのですがミステリになっても切ないですね
    日常の謎系ミステリというと「こんな日常は嫌だ」となる辛く重いテーマ
    視点がね・・・難しいのよ・・・ソレがこの作品の売りなんだけどさ・・・プロローグも各章も視点が・・・「叙述トリックなんて大嫌いだぁ~」(嘘です)
    ただ八反丸さんの行動は理屈が合わない

  • 好きなことを好きって言える居場所があることは本当に嬉しいことなんだな。

    自己防衛のために知らないうちに誰かを傷つけているかもしれない。

    『心の声と自分の声をまったく一緒にするだけのことなのに、どうしてこんなに難しいのだろう。』

  • 最後まで読んでよかった。

    前作に続き背中がムズムズするような青春モノでなかなか読み進められなかった。けど、最後の章で、自分がすっかり騙されていたことに気付き、この作品が一気に大好きな作品になりました。

    たしかに違和感はあったもんな。いや、どれが誰?って。
    構造がわかった上でもう一度読み返したい。

  • 【再読】須川くんの視点で語られるパートと、トモという女子高生の視点で語られるパートが絡み合い、一つになり、そして迎えるカタルシスに震える今回でした。この展開は本当に巧いなと感じます。キャラもの観点としては、やはりヘタレ須川君が誠実に頑張っているのが良いですね。再読ですがやっぱり騙されました。あと、ふともも愛の方向性はこの作品で確定したものと思われました。綺麗にまとめられた感じですが、須川君の酉乃さんへの恋の行く末が気になります。続編はでないのかな…。ともあれ傑作。未読の相沢ファンはこのシリーズもぜひ。

  • 『午前零時のサンドリヨン』の続編

    須川君はヘタレで思うことをハッキリと言えない。酉乃さんは、マジックのときは饒舌だけど、普段は孤独

    クラスの中の主流派と被疎外者の恐ろしい力関係。必死で主流派に食らいつく人。生まれる犠牲者

    犠牲者の気持ちが分かる須川・酉乃。優しさと勇気で奔走する

  • 一気に読んでしまいました。前作に続いてこちらもとてもおもしろかったです。

  • 2021/05/05 幅広帯バージョン読了

    須川くんと酉乃さんの付かず離れずのもどかしい関係にモヤモヤしっ放しでした。
    マツリカシリーズ、小説の神様に続いて読みました。
    本作は青春のほろ苦さが際立っていたと思います。
    またいつか続編が読めたら良いなと思いました。

    幅広帯バージョン
    http://www.webmysteries.jp/archives/24900123.html

  • 「アウトオブサイトじゃ伝わらない」
    突然変わった彼女。
    片思いしていた相手の事情を人伝に聞いてもショックな情報なのに、目の前で秘密裏に行われてた状況を見てしまった時は絶望だろうな。

    「ひとりよがりのデリュージョン」
    入れ替わった封筒。
    きっかけはちょっとした事だったのかもしれないが、ここまで貶す事が出来る人達の人間性を疑うと同時に群れなければここまでの事は出来ないのだろうなとも思うな。

    「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」
    集められたチョコレート。
    確かにバレンタインとはいえ匿名のものを貰ったら、どうしてもそのチョコレートを渡してくれた人を知りたくなるだろうな。

    「スペルバウンドに気をつけて」
    連絡がつかなくなった訳。
    いくら自分がしてきた事が自分の憧れていた人を傷付ける事だったとはいえ、何故気づいた時点で謝らず罪を重ねてしまったのだろう。

    「ひびくリンキング・リング」
    謝りたい心。
    簡単な事ではないが彼女が自分の犯した事を認め謝りたいと思ったのなら、許して貰えるかは別として後は行動にどれだけうつせるかだろうな。

  • 登場人物の苗字しか出てこないから、誰と誰のことかなと思いながら読みつつ、普通に読んでいくと矛盾が出てきて、あぁ、これは騙されてるんだろうなと思いながら読んでた。
    わかったあとに読み返してみると、なるほどと納得。それでいくと、マックでトイレから出てきた織田が急に帰る件とかも、酉乃が言った理由とは違うことに気がつく。
    それにしても、シリーズこれで終わりですか?と思ったところで、続編を書きたくないとかなんとか、小説の神様に出てきたっけかなと思い出す(うろ覚えだけど)

  • ○ 総合評価 ★★★★☆
     相沢沙呼お得意のスクールカースト,学校世界でのいじめをテーマにしたミステリ。日常の謎系のミステリではあるが,明るいテーマではなく,やや重いテーマの作品。トモという少女がユカという少女のことが好きでありながら,集団から孤立しないようにユカのことを裏切る。構成としては,プロローグと各章のRed Backの部分の視点人物,ユカという人物に好意を持っていながら,集団から孤立しないように振舞っているこの人物(トモ)が誰なのかについて,叙述トリックが仕込まれている。普通に読んでいると,この視点人物が,文芸部の冊子「十字路」に「霧の向こうのロートケプシェン」やネット上での小説の作者であり,学校に来なくなっている「井上さん」であるように思える。しかし,読み進んでいくと,この視点人物は明らかに井上さん以外の人物であることが分かってきて,混乱が生じる。実は,この視点人物は,アウトオブサイトじゃ伝わらないで主役級の役割を当てられてる人物であり,織田さんがトモであると予想することは難しいと思う。。そう分かってみるといろいろと伏線がある。織田さんの名前を文芸部の部長の谷口さんが知っていること(44ページ),少し前からぽつりぽつりと欠席しているという部分(287ページ),最後に酉乃初も指摘しているが,エスティメーション(原稿用紙の枚数が30枚であることを指摘したこと)など。とはいえ,織田さんがトモだと予測することは困難。ここは純粋に驚くことができる。なかなか優れた呪術トリックといえる。
     しかし,その明かし方が,そこまでサプライズを演出するものになっていない。最後のひびくリンキング・リングで,学校に来ていない井上さんが,トモではないことが少しずつ分かる。これまで視点人物=トモ=井上さんだと思っていたが,視点人物=トモ=?となり,井上さん=ユカという図式になる。ではトモは誰か?そのミスディレクションがない。最後のひびくリンキング・リングを読んでも,一読では分かりにくかった。えっ?織田さんがトモ?どういうこと,それはおかしいのでは?と感じてしまった。それほど,Red Backの登場人物=織田さんというのがしっくりこない。外での振舞いと内面は違いすぎるというのもあるが,「ユカリが言うには、1年生が書いているらしいけれど…たしか井上って子」という香坂という人物の発言も,登場人物の発言なのでアンフェアではないのだが,うまいミスディレクションとは思えなかった。織田さんの名前は「アカリ」だが,燈と書いてトモと読めるから,トモというあだ名になっているという部分や,井上友子は「ユーコ」で,織田さんからは「ユカ」と呼ばれているなど,伏線というよりこじつけ感を感じる。これに対して,Red backの視点人物が,井上さんであるようにも読める仕掛は巧妙。「霧の中のロートケプシェン」という小説の悪口を言われているときの視点人物の対応・感情が,自分が書いた小説を悪く言われている反応なのだが,井上さんのプロフサイトからのリンクでバレており,井上さんが作者と思わせるミスディレクションになっている。
     評価としては,やられたと感じるほどの傑作ではないが,玄人っぽい叙述トリックを楽しめる,ちょっと重めの日常の謎系ミステリとして秀作。評価としては★4で。

    ○ アウトオブサイトじゃ伝わらない
     カラオケ帰りに寄ったマクドナルドで,急に不機嫌になtった織田さんが帰宅する。真相は,織田さんが好きだった城山先輩が香坂先輩が机の下で手をつないでいるのを見てしまった織田さんが,自分が失恋したことで不機嫌になったとう話

    ○ ひとりよがりのデリュ―ジョン
     須川が三好から預かった写真集を入れた封筒が笹本さんという女子が持っている封筒と入れ替わる。しかし,その封筒がどこかに行ってしまった。
     真相は,笹本さんが恥じを書かないように柿木園さんが封筒を入れ替えていた。

    ○ 恋のおまじないのチンク・ア・チンク
     バレンタインデーでもらったチョコが教室の机に集められる。なぜこんなことが起こったのか。真相は,転校していく小岩井君が,自分にチョコレートを贈ったのは誰かを調べるために行っていた。

    ○ スペルバウンドに気をつけて
     須川の友達である児玉がバイト先で知り合った「上条茜」という女性の連絡先などを知ろうとする。実は上条茜は偽名。児玉とバイト先で一緒だったのは笹本さん。笹本さんは,井上さんが書いたと思われていた小説の登場人物の上条茜に憧れていた。書いていたのが井上だと思い,落胆して,井上さんの携帯から全てのアドレスを消して,アドレスを代えたという偽のメールを送っていた。

    ○ ひびくリンキング・リング
     これまでの作品でRed Backとして書かれていた部分の視点人物が織田さんであることが分かる。織田さんは,トモというあだ名があり,ユカが井上さん。あかずきんこというペンネームで小説を書いていたのも織田さん。井上さんは,織田さんの友達で織田さんの小説が好きだった。これまで小説の中では織田さんは無邪気にふるまっていたが,実は心中では井上さんが学校に来なくなったことで悩んでいたというサプライズがある。
     

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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