予告状ブラック・オア・ホワイト (ご近所専門探偵物語) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488441135

作品紹介・あらすじ

真面目さが取り柄の会社員・渡会透子は、ひょんなことから名探偵・九条清春の秘書になる。かつて九条は全国を股にかけ、多くの難事件を解決した素人探偵だったが、今は地元・川崎市内というご近所でのささやかな謎にしか興味を持たない、自称“ご当地探偵”になっていた。そんなモットーを掲げ、女子力は高いくせに普段はぐうたらに過ごす九条の尻を叩きつつ、透子は奇妙な謎と向き合う! ご当地アイドルに届いた予告状、川崎市出身のオリンピック選手の行方不明事件など5編。ものぐさ探偵と生真面目秘書が依頼人の悩みを晴らす、連作ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 川崎市限定の『ご当地探偵』こと九条。ものぐさな彼を心配して祖父が送り込んだのは、真面目さだけが取り柄の透子。
    アンバランスな二人が様々な依頼に取り組んでいく。

    これまで様々な難事件を解決してきたらしいが、なにか思うところあって『ご当地探偵』に趣向を変えたという九条。
    部屋は散らかり放題、できるだけ働きたくないという、透子から見ればダメ人間。
    一方の透子は仕事なら辛いこともきついことも我慢してやらねばという真面目さと責任感が強すぎる猛烈社員タイプ。
    二人の噛み合わなさそうで噛み合っている会話がなかなか面白い。

    作家さんのあとがきにもあるが、基本的にイヤな結末は無い。
    川崎市は作家さんにとっても地元らしく、その地元で起こる事件を陰惨なものにしたくなかったという思いがあるらしい。

    ご近所で起こる小さな事件を、ご近所探偵が解決するのだから、その後味が悪ければご近所との付き合いもイヤなものになってしまう。だからこその柔らかい設定だろうか。
    とは言え、発端は脅迫状めいた予告状だったり、亡くなった友人が残した謎の箱だったり、商店街の人々が明らかに挙動不審だったり、動物公園の檻が破られたりと不穏なものが多い。

    それでもご近所で起こる事件だけに聞き込みや証拠集めも狭い範囲で済むし、サクサク読めた。
    先も書いたが後味は悪くないので安心して読める。

    市井さんは『聴き屋』シリーズといい、こういうのんびりした雰囲気がお得意なのかも知れない。

    • やまさん
      fukuさん
      おはようございます。
      『まよい道: 新・吉原裏同心抄(一)』への、いいね!有難う御座います。
      吉原裏同心シリーズは、今回...
      fukuさん
      おはようございます。
      『まよい道: 新・吉原裏同心抄(一)』への、いいね!有難う御座います。
      吉原裏同心シリーズは、今回で32作目になります。
      佐伯泰英さんの本は、最初に「居眠り磐音江戸双紙」を読んでから「鎌倉河岸捕物控」を除いて全ての作品を読んでいます。
      佐伯さんには、感謝をしています。
      居眠り磐音が出てからは、他の時代小説も字が大きくなってきましたし、多くの作家が書くようになりました。
      一時は、時代小説ブームが到来したと言われ、書店に行くと一番いい所に時代小説が並んでいました。
      わたしも、大活字本だけでなく文庫本も読めるようになりました。
      本当に感謝しています。
      やま
      2019/12/09
    • goya626さん
      fukuさんへ
      これは好みです。読んでみたい。聴き屋、読みました。
      fukuさんへ
      これは好みです。読んでみたい。聴き屋、読みました。
      2019/12/09
  • 全国を股にかけて多くの難事件を解決してきた探偵が、地元・川崎の事件しか請け負わないご当地探偵に転身。ものぐさな探偵と、ひょんなことから彼の秘書になった生真面目タイプの女性が依頼人の悩みを解決していく短編集。
    日常の謎で、事件のインパクトはないが人情話として後味がいい話が多い。聴き屋シリーズもそうだが、この著者のキャラはとぼけた味があって好き。続編を期待したい。

  • 川崎ご当地ミステリー。ご近所の小さな事件ばかりですが、それぞれの謎は結構こった作りになっていて面白いです。

  • ケンカばかりだけど周りからは「仲良しねぇ」と言われてしまう関係はよく見るけど、この探偵と秘書は普通に相性悪くて笑ってしまう。

  • 川崎市というと修羅の国などと揶揄されたりしますが、実際はそんなことのない普通の町だと思います(場所によるのかな?)。この小説は、そんな普通の町で起こった些細な事件を解決する“ご当地探偵”という、一風変わった設定。

    作品内で発生する事件は日常+α くらいの規模で、それらは実際に川崎市にあるらしいスポットで発生するので、川崎になじみのある私的には知っている場所が出ると「おぉ、あそこか」とそれだけで少しテンションが上ります。

    それに加え、九条と透子のやりとりがボケとツッコミの漫才っぽくて、これも面白い。九条が仕事を選びすぎてゴネるのを、透子がなんとか受注しようと奮闘するやりとりが良くて、事件解決よりも九条になんとか依頼を受けてもらうほうをメインするという話を読んでみたいなどと思ってしまいました。

    あとがきによれば、登場させたかった場所やイベントなどがたくさんあったそうなので、他のスポットや川崎の有名サッカーチームなどと絡む続編を期待したいところ。

  • ブラック・オア・ホワイトって怪盗が出てくるシリーズかと思ったら全く違った。能力はあるのにやる気を出さないゆるゆるした探偵と、そのお尻をたたく秘書のコンビが良い。川崎限定の探偵で、ラゾーナとか川崎大師など知ってる場所が出ていたからより楽しめた。

  • 緩い探偵九条としっかり秘書透子のやりとりが軽快で好き。掛け合いが楽しい。そしてご当地探偵らしく地域の謎を解き明かしていくんやけど、人の優しさにホッとしたり救われたりした。是非シリーズ化してほしい。

  • ローカルな感じで良い。なぜか成歩堂くんで脳内再生される…笑。聞き屋とはまた違った雰囲気。

  • 主人公の九条と秘書の透子との毎回のやりとりが面白く、私の地元である川崎市が舞台ということもあり、どこか知っているところは出て来ないかとワクワクしながら読むことができた。

    全5話の構成の中でも個人的には2話目の
    桐江さんちの宝物が一番面白かった。

  • 生真面目さが取り柄の透子と、ちゃらんぽらんな探偵所長の九条のコンビが中々テンポ良くて読みやすかったです。

     読了感も爽快でしたが、ラストは少しほろ苦かったです。

     素人探偵の頃に人間の裏側ばかり見せられて辟易した九条のご当地探偵になりたいって気持ちも判らないでもないですね。それに加えて完璧秘書の透子のワーカーホリックぶりも中々でした。続編希望です。

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