- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488461027
感想・レビュー・書評
-
解説ではエロスやタナトスといった文脈での理解が促されていましたが、僕は「ある種の芸術家は利己的だ」という事しか読み取れませんでした。そうでなければ最後の一行が活きず、それまでの主人公の葛藤も活きないと思われます。最後の一行で、主人公は第二或いは未来の犯人になり、即ちモダンホラーになるのだと思います。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このミス、ベスト10、2003年版8位。作者は版画家のようで小説はこの1冊だけのよう。絵画の表現は迫力があって引き込まれる。芸術作品の見立て殺人ってのと、幻の名画の謎とが入り組んで、ストーリーは飽きなくって面白い。表現が重苦しくって読みづらいのと人物描写がいまいちでイメージしにくくって苦労するけど、焦らず、1か月くらいかけて読了しました。まあ、独創性はあるし、それなりに楽しめると思う。
-
part3まで開かれた「ロンド」というタイトルの奇怪な個展。そのたびに学芸員・津牧は名画そのままの死体を目の当たりにしていた。そんななか、津牧の恋人が姿を消す。そしてまたしても届いたpart4の案内状。そこに並ぶ奇妙な数字に導かれ、行き着いた謎めいた山荘で、津牧はいったい何を見るのか? 『ロンド』とはいかなる絵画なのか? ミステリ作家・柄澤齊誕生の記念碑!
作者が正真正銘の芸術家であることが、文章の端々からにじみ出るような、そんな作品です。難しい漢字が並び、敬遠されそうな感じは拭えませんが、解説の「ゆっくりと、絵画を目でなめるように味わいたいスタイルの醍醐味なのだ。」という言葉がぴったりと当てはまります。 -
2006/08/04