ルピナス探偵団の当惑 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M つ 4-1)
- 東京創元社 (2007年6月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488469016
作品紹介・あらすじ
私立ルピナス学園高等部に通う吾魚彩子は、あるときうっかり密室の謎を解いたばかりに、刑事の姉から殺人事件の推理を強要される。なぜ殺人者は犯行後冷えたピザを食べたのか?その後も飄々たる博識の少年・祀島らと、青薔薇のある雪の館の密室殺人、死んだ大女優の右手消失事件に遭遇する。不合理な謎が論理的解明を経て、鮮烈な幕切れをもたらす本格ミステリ三編を収録。
感想・レビュー・書評
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――そういう事件だ。私こと吾魚彩子がまだ私立ルピナス学園の生徒だった、二十世紀の黄昏の、ある晩秋の夜の。
以前からずっと読みたいと思っていた、津原泰水さんの本をやっと読むことができた。
身内が刑事だからか、何故か事件を解決しなければいけない状況に陥る一女学生。その友達二人。そして、大好きな祀島くん。背景や内容も面白いし、キャラクターがとても愛着を持てる嫌みのないキャラばかり。ここ数ヶ月で、この作家に出会えて良かったと一番感じた作品だった。特に文章の流れがとても好みだ。これから津原さんの作品を色々読んでいくという楽しみができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校生が探偵役のミステリ。
2編は、ライトノベルとして1994年から95年にかけて発表されたもの。
全面改稿されたということですが、キャラ設定はそれらしい感じですね。
吾魚彩子(あうおさいこ)はルピナス学園の生徒で、かなり普通の女の子だが、やや直観力に優れている。
姉の不二子が刑事で、彩子はたまたま密室殺人の謎を解いてしまったことがあるため、強引な性格の不二子に何かと協力させられるようになっていた。
博学な祀島龍彦にあこがれて告白するが、姉のせいで誤解されてしまう‥?
この祀島、化石マニアで何事につけても知識は豊富だが、乙女心にはまったく疎いのでした。
彩子の親友はボーイッシュで度胸がある桐江泉と、美少女というほかにはさして取り柄がない(と人物紹介に書いてある)京野摩耶。
刑事の不二子と、その上司(だが年下)も含め、それぞれの得意を生かして謎に挑む展開。
「冷えたピザはいかが」はキャラのにぎやかなお目見えと、ピザをめぐる謎ときが面白かったです。
「ようこそ雪の館へ」は、雪の日に道に迷って、カリスマ的な美人作詞家が住む館に泊まることになった一行が事件に巻き込まれる。
館もの、とでもいいましょうか。
ムードのある場所での不思議な事件は、高校生向きというわけでもないけれど、作者の資質を感じさせる雰囲気がありました。
「大女優の右手」は、「瑠璃玉の耳輪」を上演中の舞台で、主演女優が死亡、死体が行方不明に?
手套の麗人と異名をとった往年の名女優、尾崎緑が書いた幻のシナリオなど、時代がかった雰囲気が濃厚でした。
津原泰水が小説として完成した「瑠璃玉の耳輪」を前に読んでいるので、面白く読めました。
吾魚って変わった苗字だけど、亜愛一郎が好きなのかな?
謎解きの基本的な面白さがしっかりありますが~解説にあるように、魔法の杖をもつ魔法使いというタイプの作家さんという気がします。 -
冴えた推理というよりも、登場人物達のやりとりから真相が解明される。キャラクターと時代感が醸し出すゆるい雰囲気がくせになるかも。
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2作目が読みたくてこの本を読んだ。
ホワイダニットが散りばめられた上質なミステリーで、会話文が中心だけどそれも面白かった。
強烈な主人公の姉のキャラにイラつくこともあったけど笑 たまに出てくるには面白くて笑える。
切ない真実にちょっとしんみりするけど。 -
キャラクターがそれぞれ立っており、
それぞれ何故?を重視した面白い話でした。 -
ずっと気になっていた今作。
学園青春もののライトミステリーだと
思いこんでましたが...かなりの本格派ミステリーでした。
キャラクターや設定はコミカルな
学園青春ものの皮を被っています。
その中身は、注意してしっかり読んでいかないと、
見失ってしまいそうな、想像力と論理展開による推理。
ガチのミステリーです。
女子高生たちが探偵となるには事件が
大きい不自然さはあるものの、キャラクター描写
(とくに主人公の姉である刑事。しかもがさつ。)に
よって助けられて、気にせず没頭出来ますねー。
今まで未読の作家さんでしたが、
またこれで遡って読む本が増えそうな予感...。 -
誰が探偵役なのかイマイチ分からない謎のミステリ。もとティーンズ向けというだけあってキャラクタが立っていて面白かった。 何より好きなのが、この登場人物表。誰だ、これ書いたの。 一話目「冷えたピザはいかが」からWhy?と同時にWho?でもあるのに登場人物紹介で「第一話の犯人」と書いてある。
そして「謎の老人」のという人物の性格付け?紹介文として「謎の人物」と上下で同じことが書いてある〜。ナンダコレ? -
登場人物が大好きになりました!会話が洒落ていて
面白い。
3話の前に、尾崎翠の琉璃玉の耳輪を先に読みました。