銀色の国 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.41
  • (3)
  • (8)
  • (14)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 196
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488471217

作品紹介・あらすじ

NPO法人で自殺対策に取り組む晃佑の元に、元相談者が自殺したという知らせが届いた。遺族曰く、自殺直前の彼はVRにのめり込んでいたらしい。一方、SNSに死をほのめかす投稿を繰り返す浪人生のくるみは、ネット上の自助グループ〈銀色の国〉に誘われる。仮想と現実で、一体何が起きているのか。日本推理作家協会賞受賞作家による傑作ミステリ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • テーマは自殺。
    自殺したい人、自殺を止めたい人、人に自殺するように仕向けてしまう人。
    自分の居場所がないと死にたくなってしまう。
    監禁して洗脳してそこに居場所を作って出ていかないようにする。なんでそうなってしまったのかががわかりやすくかいてある。
    死にたい人を救うのは難しいが勉強して事業を立ち上げて立ちむかってる人もいる。時間はかかるが丁寧に人に向き合う姿がすごい。

  •  自殺という重いテーマであるが故に「面白かった」と「心に澱が残った」が半々の読後感。フィクションとは言え、しっかり向き合うべき問題だからこそ、読むのがしんどくもありました。ただ、この手の話では絶対悪にされがちな「ゲーム」という存在を肯定的に扱っているのは印象的だったかも。
     主要人物たちがなんとなくギクシャクした雰囲気のまま物語が幕を閉じてしまったので、今後彼らがうまくやっていけるようになるといいなぁ。

     自殺の話とは直接関係ないけれど、主人公の「友達にかけるような言葉を自分にかけてごらん」という台詞が、すごく心に染みました。真面目で優しくて他人思いで、自分を責めがちな人にこそ、そう思って欲しいと願います。

  • 自殺をほう助する地下VRゲームによる集団自殺が目論まれ、自死防止のNPO法人主催の主人公たちがそれを食い止めようとする物語。

    前半の地下ゲームに絡んだ謎の多い展開と、主人公たちの人間模様の描写がスリリングで次の展開が待ち遠しく、さすがは逸木裕と思わせる展開。

    しかし後半何故か失速。謎解きはなく、犯人も中途半端なところで退場、主人公を取り巻く友人や仕事のパートナー、主人公側につくVRゲーム被害者の扱いも持て余してる感があり。

    使い時を誤って持ち続けているアイテムをガチャガチャさせながら走っているようなもたついた展開だから、クライマックスもいまいち盛り上がらず、どうした逸木裕?って感じのちょっと残念な読後感。

  • 「洗脳」とか「集団自殺」なんてどうしても他人事な感覚がありますが、そこに圧倒的臨場感と没入感を与えるVRという技術が乗っかってくると、俄然真実味が増す気がします。
    まあ、VRに触れたことはないですが。
    ないのかよ。

    洗脳というものは、受ける側のメンタル面や環境が大きく作用するんだろうな〜というイメージがあるので、意図的な世界で対象者をくるんでしまうというのは、大変効果的なんじゃないだろうか。

    この物語を、まだVR技術が未熟な時代に読んでいれば、チープさすら感じて鼻で笑っちゃってた可能性もあります。
    でも今、そしてさらに技術が進化するだろうこの先、このストーリーの持つ脅威の側面と救済の可能性には考えさせられるるものがあるんじゃないかと。

  • 続きが気になってさーっと読んでしまった。それぞれの視点から展開される物語が好みだった

  • 目眩く謎や、衝撃の展開がある訳じゃない。でも目が離せなくて、一気に読んだ。「生きたくない」が「死のう」に変わるまでの過程にゾッとした。できるだけ多くを救いたい気持ちも、どうせ何も知らないくせにそんな綺麗事をと吐き捨てたい気持ちも分かる。本当に助けを必要とする人間に手が差し伸べられるラストもよかった。

  • 死生観が変わる 月が溶ける、銀色のこころ、誰かにとっての正しいは他人にとっては狂ってるかもしれない ああ、幾らかで他人の人生を、価値観を、体験できる。小説のそういう醍醐味を逸木裕はいつもいつもさせてくれるので、ほんとうにだいすき!ミステリー好きじゃないけど!ほんとうにすき!

  • 恐ろしい話で監禁暴力の話は何度も本を閉じて休憩した。だけど、病みと光を上手く描いているからこそ、最後まで読めた。初めての作家さんだけど、良い作家さんだ!

  • 面白くて一気に読み切ってしまいました。

    中身としてはサスペンス色の強いミステリーです。

    そこにさらに主人公を軸とした人間関係などが更なる緊張感を生んでおり、続きが気になってページをめくってしまいます。

    作中にある緊張感を生んでいる一つは自殺という重いテーマです。自殺にまで至らなくとも悩みは尽きないというのが現実かと思いますので、自殺を止めたい主人公や、それを取り巻くキャラクターに共感を覚え、目が離せませんでした。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

小説家。1980年、東京都生まれ。第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、2016年に『虹を待つ彼女』(KADOKAWA)でデビュー。2022年には、のちに『五つの季節に探偵は』(KADOKAWA)に収録された「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した。このほか著作に、『少女は夜を綴らない』(KADOKAWA)、『電気じかけのクジラは歌う』(講談社)などがある。

「2023年 『世界の終わりのためのミステリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

逸木裕の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
知念 実希人
米澤 穂信
岡崎 琢磨
恩田 陸
夕木 春央
辻村 深月
知念 実希人
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×