ジョン・ディクスン・カーの最終定理 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 157
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488479022

作品紹介・あらすじ

2006年、J・D・カーの生誕百周年の記念祭に伴い日本に上陸した幻の本――とある未解決犯罪実録集に、カーが解決を示唆する走り書きを残したことによって『カーの設問詩集』と呼ばれている一冊だ。そこには、巨匠は真相に至ったものの、なぜか未解決のままとなっている「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」と呼ばれる不可能犯罪の概要が掲載されている。特別にこの本を持ち主から借り受けた大学生・友坂は、所属するゼミの教授や友人たちを別荘に集めて推理合戦を楽しむが、その後彼らは想像しえない“不可能犯罪”の渦中に巻き込まれる。短編「ジョン・D・カーの最終定理」を完全改稿のうえ長編化した傑作ミステリ、文庫オリジナルにて刊行。

感想・レビュー・書評

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  • 未解決犯罪実録集にカーが走り書きをしたという本を見る機会を得たミステリ好きの学生たち。カーが解いたという不可能犯罪を書き込みから推理する彼らにもまた、不可能犯罪がふりかかる‥
    短編「ジョン・D・カーの最終定理」を改稿して長編化した話らしい。短編の方は未読。
    本に書かれた過去の犯罪2つと現在の殺人事件の話だが、どれもカーらしいトリッキーな不可能犯罪。ラストはなかなか意表を突かれた。
    カーへの愛情と不可能犯罪のロマンが感じられる。

  • ジョンディクスンカーの遺作となる謎である、弾丸移動事件、自然発火事件と現代の別荘での衆人環視の密室。3つの事件がありお得感があるようだが、あまり魅力的な謎には思えなかった。本当にカーの遺作なのか?それもよくわからない。

  • 迷宮入りとなった事件が集められた書物に記された、カー直筆の推理メモ。それを元に自らも事件を解くべく集まった大学生達。しかし、その中で殺人事件が発生する。カーが解いた難解な事件2つと、併せて3つの謎解きが楽しめる贅沢な一冊!最初は説明やらで読み辛いが、それを乗り越えた後のご褒美、謎解きはサイコーだった!いい意味で『キモチワルイ』ラストがジワる。

  • 2021/5/21購入
    2021/6/28読了

  • 冗長な感じがして読むのがつらかった。

  • ――
    『ごくかすかな床の軋みも聴覚が拾うが、それが幻聴のような奇妙な想像をもたらした。狭い本の壁面の間で木霊すようにして、物音がペチャクチャとおしゃべりになる。重々しい蔵書たちが、やたらと雄弁だ。「オレを見ろ」、「まだ眠らせておく?」と耳元で囁く。見下す尊大さで、膨大な知識をまくし立てるもの。朗々とした語り。夢誘う寓意。笑い声。』



     タイトルからしてパロディ色が強めなのかなと思っていたら、どっこい。本格である。

     個人的にいちばん印象に残ったシーンは、冒頭に引用した、探偵役が真相に辿り着きつつある図書館での一節。
     凄惨な殺人事件や不可能犯罪の解決を前にして、場違いな程の情感にはっとする。

     所謂『吹雪の山荘』問題のひとつである、「犯人は何故そのような状況で殺人を犯すのか」という問いに対しての説明の付け方も新鮮で、上とはまた別の意味ではっとしてしまった。それは完全犯罪コーディネータの視座とも云えるもので、そう思い始めると最終盤、探偵役と真犯人との対峙からフィナーレまでは、まるでライヘンバッハの対決のようにも見えてきた。

     ☆3.5。最近高評価ばっかり続いているけどほんとどれも面白くて…まぁ読みたいと思ったものばかり読んでいるからそれはそうか。選球眼が養われてきたんだと思っておきます。

  • 現実と推理の行ったり来たりが楽しい

     大きなテーマは三つなんだが、現実の殺人事件は最後の一つだけ。先の2つは過去の迷宮入り事件を主人公達が解き明かすもの。

     で、結局は最後の現実事件に興味が集中するのだが、アクロバティックな展開にすこし違和感を感じるものの、エンディングがとてもきれいなので満足だ。結局どうなったの?って部分は想像にお任せかな。

  • さすがの柄刀作品。カーへの愛が感じられる。

    密室という言葉でごはんが三杯食べられる人にはたまらない一冊。不可能犯罪っていいな!

  • カーが挑み、謎を解き明かしたとされる不可能犯罪。推理の断片である書込みのみを残し真相が失われたそれは、「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」と呼ばれていた。日本でその謎に挑もうと合宿を行う学生たち。その最中に不可能と思われる殺人事件が起こる…。好みが分かれそうだが、私はカーが解き明かしたとされる事件2つも、学生殺人事件も、数学的断片から謎が解き明かされていくパズルの嵌まる感覚が最高だった。ラストはどう転ぶか自分の心臓の音が聞こえそうなほどドキドキしたが、想像以上の映像的ラストが大きな余韻を置いていった。

  • 読み応えのある最後の謎解き。
    並行して別の推理が展開する。

    ディクスン・カー、一度も読んだ事ないから、今度探してみようと思う。

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著者プロフィール

1959年、北海道生まれ。1994年に「密室の矢」が読者投稿アンソロジー『本格推理3』(光文社文庫、鮎川哲也・編)に採用され、以降も「逆密室の夕べ」と「ケンタウロスの殺人」の投稿作品が採用された。98年、長編「3000年の密室」で作家デビュー。代表作は「時を巡る肖像」「密室キングダム」。日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブの各会員。

「2022年 『【完全版】悪霊の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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