- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488489137
作品紹介・あらすじ
戦争の影響と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。“特別保護司書官”のワルツさんが代表を務める、本を無料で貸し出すサエズリ図書館を舞台に、本を愛し守る人々の物語が紡がれる! 就職活動に全敗し、希望していた専門職の試験にも体調不良で棄権したチドリさん。自信を失った彼女は、偶然出会った老図書修復家の鮮やかな職人技に魅せられる。その後サエズリ図書館で彼と再会するが、彼は紙の本が稀少化した現実に絶望しており……。図書修復家たちの再出発を描く中編ほか、ワルツさんと電子図書館司書との対立を描く短編や書き下ろしを含むシリーズ第2弾。
感想・レビュー・書評
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「サエズリ図書館のワルツさん」2冊目。
前半は、就活で落ち続け自信を失ったチドリさんと紙の本の未来に絶望する老図書修復家の出会いを描いた中編。
後半は、ワルツさんvs.「サエズリ図書館の書籍を全て電子化してほしい」と迫る電子図書館のヒビキさんの話を挟んで、カウンターに座るサトミさんと警備員タンゴくんの過去と本心が語られる短編3作。
私としては前作のほうが面白かった。
もとより“紙の本”推しの話ではあるが、今回は前作以上に“紙の本”に対するこだわりが色濃く出たような印象で、その分、前作から少し気になっていたワルツさんの頑なさが強調され、色々感じるところはあったもののお話全体としては一本調子に感じたところ。
前作のあとがきに『最初の刊行から、十年の月日が経ち、電子と紙、どちらが優れているとか、それぞれどうなっていくとか、それこそ本が生きるとか死ぬとか、そんなことはみんな、些末なことのように、思ったりもします』とあったので、「電子図書館のヒビキさん」ではどういう折り合いのつけ方をするのかと思っていたが、いやいや、ワルツさん、手厳しかった。
勿論、質量や姿かたちを持つその存在感や文字で追うことで物語に集中しその世界に没頭できる“紙の本”の良さに加え、形があるが故に朽ちていくものをどう残していくのか、それに必要な修復の職人技の継承などの課題もとてもよく分かるのだが、いささかそちらの主張が勝ち過ぎたように思えた。
カミオさんやコトウさんらの常連さんたちは引き続き好調。
サトミさんとタンゴくんの話はそれぞれなかなか興味深かったが、サトミさんの話はちょっと短くて残念。
ワルツさんの犬が怖いところは取ってつけたようで浮いた感じがした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今回は就職活動中の大学生、千鳥さんが主な主人公。自分の「天職」にしたい仕事が見つけられずに、大学教授に勧められたサエズリ図書館に来てみるが…そこで運命の出会いが待っていた。
自分の天職ってなんだろう?生涯をかけてやりたいことが見つからない。
「生きることは働くこと」という言葉が胸に刺さる。
漠然と働き、流されるままに生きていて、いいのだろうか?
そんな不安を、一人の女性と老人の物語を通して、一筋の希望に変えてくれる。
就職活動中の学生さんだけでなく、すべての働く人にもオススメしたい。 -
ある日サエズリ図書館にやってきたチドリさんは、ボランティアとして働かせてもらいたいといった。就職活動中で、虚弱な身体とメンタルに困っていたチドリさんは、働くこと、本の価値、それを知るためにやってきたのだ……。
チドリさんの話はよかった。自分も就活全然うまく行かず、やりたかった仕事につけず、働くことの意味がわからないままの就活だったから。天職とは、好きなことを仕事にできる人とは。答えは出ないかもしれないが、そういう仕事について悩める人々に読んでもらいたい。
図書修復士っていいな。
タンゴくんの話は、思いもかけない形で、まあそうかなと思いつつも、なんだかいい感じ(ネタバレしないでこれくらいしか書けない)。
紙の本。わたしはやっぱり紙の本が好き。なので、読んでいて自然に話に入れるけれど、それだけが価値ではないので、電子書籍を愛用している人にはこの物語はどう映るのか気になる。 -
2巻目も良かったが、1巻目の方が私は好き。
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本屋好き図書館好きなので、手にしたシリーズ2冊とも読み終えた。物質的に本が高価な世界となっていたので、一種のファンタジーなのだと思う。
図書館の周りの情景がこの世界になった理由と違和感を感じてしまうけど、人々の本との話がメインなので、そちらは楽しめたし、子供の頃に大好きだった図書館を思い出した。ユリユールによって装丁し直しされた雑誌の本や赤いビロードの絨毯。もうないのだろうと思うけど、いつかまた行ってみたい。 -
1の方がおもしろかったなな
あとサトミさんのお話が好きなのだけど
短くて( ߹꒳߹ )