黒魔術の娘 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488552022

感想・レビュー・書評

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  • 表題作とほか数編は良かったが、全体的に書き散らしたきり碌に推敲もしていないのではないかという文章が多い。思いつくまま喋るので話が飛んだり転がったりしてまとまらない人の話を聴くのによく似ていた。

  • 本物の魔術師の書いた体験記を物語風に。魔術師という人の人となり、生活様式を理解、体験している人は多くなかろうし、そういう人がいてそういう文章を書いたと。魔術師側からすれば正しいことを遂行しているのだけれども、理由を知らさず連れ去られてきた人間は、何か怪しい物を飲まされ、肉体的苦痛を味わわされ、死に至らせられる。そこには全く人生への悲哀はない。おどろおどろとした物はなく、淡々とね。こういう人が普通に結婚して家族のいる不思議さ。

  • 2月にケネス・アンガーの特集上映(https://booklog.jp/item/1/B006C5Y5YO)を観てから、そういえばアレイスター・クロウリーの書いた本って読んだことなかったっけ、と思っていたら、ちょうと去年復刊されていたこれを発見。教義云々ではなくあくまでフィクションである短編小説集なので、あまり予備知識なくても比較的読み易かった。(とはいえ色々知識があったほうが理解しやすい作品が多いのも確か)

    表題作は、魔術に通じたある詩人が、才能ある若き詩人に嫉妬して陥れようと、自分のシンパである娘を送り込み呪いをかけようとするが、若い詩人のほうでも魔術の師匠がいて逆に呪いを撥ね返し・・・という話で、解説によるとクロウリーはこれを実話モチーフとしており、呪いをかけられそうになった若い詩人は自分自身、呪いをかけようとした詩人のほうはなんとW.B.イェイツだというからビックリ。

    イェイツ、クロウリーともにオカルト秘密結社「黄金の夜明け団」に所属していたことがあり、当時のことらしい。「黄金の夜明け団」にはイェイツだけでなくアーサー・マッケンやアルジャーノン・ブラックウッドといったオカルト幻想系作家も多く所属しており、クロウリーはのちに脱会、自身で新しい結社を立ち上げ会誌を発行、本書に収録されているのはそこで発表されたもの。

    「女狐」「ヴァイオリンを弾く女」あたりは、いかにもな感じの悪魔的儀式が用いられていて、専門知識がなくてもなんとなく伝わるのだけど、「アイーダ・ペンドラゴンの試練」になると、オカルト結社の位階の話などでちょっとわかりにくい。

    逆に「キルケーの夢」や「きこり」などは、オカルト抜きにして純粋に幻想ホラー小説として面白く読めました。とくに、かつてパリの街角で老婆に虐げられる美少女を助けた男性が、二度とその場所に戻ることができず彷徨する「キルケーの夢」は幻想的で好きでした。

    魂がどこにあるか人体実験で調べようとする狂気の研究者「ソウルハンター」と、ある種のテレパシー能力を持った女性が夫の死に際を詳細に観察することになる「マグダレン・ブライアーの遺言」は、たぶん同じテーマで(魂は肉体のどこにあるのか的な)皮肉なオチがついている「マグダレン~」は短編としてかなりの完成度。

    最後の「アーシルドゥーン家の惨劇」は中編で、大金持ちの貴族の一族が、先祖の妾腹の子孫に逆恨みされて様々な復讐を受け続ける因縁サスペンスで、エドガー・アラン・ポーっぽい雰囲気もある。末裔である主人公ローランドは登山が趣味なので序盤は冒険活劇風、死んだふりをして復讐者を焙り出し対抗しようとするが敵は手強く・・・。薔薇十字とかちょっとだけ出てくるけどオカルト味は薄く、ふつうに楽しく読めたのだけど終盤急展開すぎて何が起こったのかよくわからなかった…。

    ※収録
    黒魔術の娘/ソウルハンター/女狐/ヴァイオリンを弾く女/ジルコン教授/秘められた罪/硫酸を投げる女/アイーダ・ペンドラゴンの試練/キルケーの夢/きこり/マグダレン・ブライアーの遺言/アーシルドゥーン家の惨劇

  • 9/28 読了。

  • 一般図書形式で書かれた魔術書は「ムーンチャイルド」とこれだけだっけかな?前作と同じく魔術的知識がふんだんに盛り込まれてます。

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著者プロフィール

1875年~1947年。イギリスの神秘主義者、魔術師。 ケンブリッジ大学在学中に「黄金の夜明け団」に入団。その後世界各国遍歴の旅に出、神秘主義結社を開設して数多くのオカルティズム文献を著述した。

「2022年 『法の書 〔増補新訳〕 【普及版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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