フランケンシュタイン家の双子 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488586041

作品紹介・あらすじ

突然の重い病に倒れた双子の兄を救おうと、ヴィクターは怪しげな錬金術師を訪ねる。求めるのは不老不死の霊薬。若き日のフランケンシュタインを描いたダークファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • 訳が古王国記の原田勝さんだったので凄く楽しく読めた。最早作家買いよりも翻訳家買いしたい。原作のフランケンシュタインは随分昔に児童書で読んではいるけれど、この物語がどのようにうまくはまるか確認したいから原作読み直そう。

  • 原典の前日譚を描く、ヤングアダルト向けファンタジー、というところでしょうか。
    登場人物たちもモチーフもかなり「剣と魔法の」ファンタジー寄りになっているので、モンスター小説の古典でもあるシェリーの作品と比べてどうかというのは愚問です。
    ハリー・ポッターシリーズのようなジュブナイルファンタジーで、なおかつフランケンシュタインというモチーフの持つ「死生観」も作品の基底に流れているので、(特にこの後、あの怪物の創造に物語がつながっていくのだと考えると)ライトなダークファンタジーとして結構楽しめる作品です。

  • 情熱的な弟と、優しい兄の兄弟愛。

    弟ヴィクターの抱える複雑な形の様々な愛が
    哀しくて愛しくてよかった。

    冒険シーンは、とてもはらはらできたし
    埃っぽい地下室で行われる錬金術の
    ガラス器具が怪しく光る様子が目に見えるようでどきどきした。

    フランケンシュタインの原作は読んだ事がないけれど
    読んでみたくなった。
    今度読んでみよう。

    続編の『フランケンシュタイン家の亡霊』を読む日が
    待ち遠しい。

  • 2013年8月4日読了。

  • フランケンシュタイン、城、双子、という素材に萌え。ヤングアダルトのところにあったので気軽に手にしたけれど、なかなか骨があるダーク・ファンタジーだった。後半の冒険と待っていた悲劇に息が詰まった。続編も楽しみ。そして本家フランケンシュタインも読んでみないと。ダークなかっちゃん、たっちゃん、南ちゃん、でした。

  • ティーンエイジャーには是非読んでほしい、「フランケンシュタイン」の前日譚。双子のコンラッドとヴィクター、親戚のエリザベスと親友のヘンリーは仲良し。ところがある日、コンラッドが原因不明の病に倒れてしまう。それを治すため、ヴィクターたちは怪しげな錬金術師・ポリドリを訪ねる……。ハラハラドキドキの冒険、恋、そしてヴィクターの胸の中で渦巻くコンラッドへの劣等感。ゴシックホラー的な要素もありながら、中心はヤングアダルトなファンタジーで、読む方を飽きさせない。

  • ・ケネス・オッペル「フランケンシュタイン家の双子」(創元推理文庫)は 例の「フランケンシュタイン」の前日譚である。もちろんフランケンシュタインの創造物のではなく、あの怪物を創造したヴィクター・フランケンシュタインの、あの創造物に至る以前の物語である。物語は「双子」と題されてゐる。ヴィクターは双子の弟だつた。しかも兄とは瓜二つ、時には両親さへもがまちがへる ほどのである。この設定が物語では重要な意味を持つ。いや、すべてであるのかもしれない。それが、起承転結のはつきりした実に見事な構成の中で展開する。 他人の作品を利用した前日譚といふもの、もとの物語といふ制約の中でそれをいかにうまく利用して生かすか、そして、そのうへで2つの物語の整合性をいかにとるかがポイントとなる。その点、これはかなりうまくできてゐる。私はおもしろく読んだ。
    ・フランケンシュタインの創造物の創造主たるヴィクターの問題は、なぜ彼があのやうな怪物を創造するやうになつたかといふ点である。この物語ではそれが兄 との関係と錬金術への関心の中で語られていく。出発点は兄弟がフランケンシュタイン城内に隠し部屋を見つけたことである。そこは実験室と思しき部屋で、何やら錬金術らしき内容の書物も置いてあつた。見つけたのは偶然であつたが、父はその部屋を知つてをり、子供達にその隠し部屋への出入りを禁じた。さうして次に兄が不治の病にかかる。「インゴルシュタットの高名な医師、ムルナウ先生」(122頁)の治療により一時は治つたかに見えたが、「再発の可能性がある」(171頁)状態であつた。その間、ヴィクターは兄の治癒を目的として不老不死の霊薬を求める。その相手がポリドリといふ錬金術師であつた。この男は2人の父により錬金術を行ふことを(法的に)禁止されてゐたのだが、ヴィクターの熱心な頼みに霊薬作りを承諾する。さうして材料探しが始まり、兄の病が再発し……かういふ中で、更に言へば幼い頃に引き取られてきた従妹の存在もあつて、瓜二つであつた双子の兄弟が変はつていく。この物語のポイントはここにあ る。兄は病に伏してしまつて変化は分からない。弟は兄のための霊薬探求の中で、錬金術に惹かれて大きく変はつていく。瓜二つの双子といつてもそれは姿形だけのこと、性格や考へ方までが瓜二つではない。小さい頃はともかく、ある程度大きくなれば自我の目覚めといふものがあり、双子でも別の道を歩くやうになる。ここで2人は16歳である。そのやうになるに十分な年齢である。兄が病に伏さなくとも、2人は別の道を歩んだに違ひないが、兄のための霊薬探求がヴィクターの資質を大きく伸ばすことになつた。インゴルシュタットはヴィクターが後に学ぶことになる地である。ヴィクターの創造物は生命の探求、不老不死の霊薬と無縁ではない。父に隠し部屋への出入りを禁じられ、逆に父がその部屋の秘密を熟知してゐたことが、ヴィクターの反抗心を高じさせたこともあらう。これらの様々なことがあの怪物の創造主を生む。私達はそれを知りつつこれを読んでゐる。そこに何らかの齟齬があれば違和感を感じる。ここにそれは無い。非常にうまく処理されてゐる。ああいふ志向性を生む動機も不老不死の霊薬探求から説明できる。整合性とはこのことである。ついでに言つてしまへば、ムルナウは映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」を、ポリドリは短篇「吸血鬼」を書いた作家から来てゐる。この名の2人に導かれる学徒ヴィクターの行為として、あの怪物創造はいかにもふさはしい行為ではないか。兄の再生を思ひつつヴィクターは創造主となつたのだと思つてみたりもするのだが……。

  • 「フランケンシュタイン家の双子」
    若き日のフランケンシュタインを描いたダークファンタジー。


    主人公は、コンラッドとヴィクターの2人。双子であるから、容姿はそっくり。しかし、内面はそっくりとはならない。兄コンラッドは冷静で思慮深く、弟ヴィクターは、情熱的で無鉄砲。2人の絆は堅く、何事にも動じない。が、恋愛に関してはそうはいかない。


    兄弟同士の愛情、愛情ゆえに起こる葛藤、そして恋愛と、これらは王道的要素。さらに、ファンタジーである故に、王道に始まり王道に終わる可能性はどんどん高まる。そこに登場する〝フランケンシュタイン〟


    ウィルヘルム・フランケンシュタイン、頭脳明晰で、250年程前に城を建てる際にビブリオテーカ・オブスクーラ〝闇の図書館〟を作った錬金術師である。「フランケンシュタイン」の前日譚である本作に甦るフランケンシュタインは、ヴィクターとコンラッドに、囁きかける。


    フランケンシュタインが与える影響力、これがあるからこそ、王道中の王道ファンタジーで終わったな、という印象を私は受けませんでした。錬金術と言う、いつの時代も虜になるその摩訶不思議なものに挑むヴィクターとコンラッド、ヘンリー、そして、恋の主役エリザベス。彼等が、どう立ち向かい、何を求め進んでいくのか。それは、ファンタジーでもあるし、アドベンチャーでもある。


    個人的に思うのは、ヘンリーです。何故か、ロナルド・ビリウス・ウィーズリーが頭の中を箒で飛び回る始末。


    何でだろう。

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