山椒魚戦争 (創元推理文庫 633-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488633011

感想・レビュー・書評

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  • ・1936年刊。意外にもそれほど昔ではない。第二次大戦前夜のころ。解説には、山椒魚たちの勃興と侵攻は、ナチスドイツの暗喩だ、とある。が、私はそうは思えないのであった。

    ・人類はある日、東南アジアの島嶼地域で、知能が特殊に発達した、海棲の山椒魚の群れを見つける。そして人類は、初めは彼ら山椒魚たちを海中の土木工事などに従事させて重宝するように。そして山椒魚たちは、労働力として巨大な勢力となってゆく。
    ・その後山椒魚種族の「人口」は増加し続けて200億を超えてゆき、人類を圧倒する。
    ・そして人類は、山椒魚たちの労働条件の改善など、彼らの「人権」を議論するように、さらには、山椒魚たちに「洗礼」を行うべきか、というカトリック教義の論争まで行われるように。かように、異種の生物が知性や力を持ち始めたとき、人類は彼らといかに向き合うか、その思考実験がなされる。
    その様相にレムのソラリスで「ソラリス学」を詳述されていたのを思い起こした。
    ・もし異種の生きものが人類の存在を脅かしたり、人類の隣人として存在感を増していったなら…、そのとき我々はどうするのか? その意味では「猿の惑星」や「第9地区」などの映画を思わせた。

    ・第二次大戦前夜という時代のためか、南洋や中国大陸に進出している日本のことがたびたび言及されていて、興味深いのであった。

  • 古書購入

  • 原書名:Válka s mloky(Čapek,Karel)

    著者:カレル・チャペック
    訳者:松谷健二

  • これを昔の本、で片付けてしまうのは
    すごくもったいないことで、
    山椒魚の箇所を今、依存者が多い
    ある「文明の利器」に変えていけば読めるのではないでしょうか。

    そう、何もかも彼らに任せきった状態で
    いれば、どこかかしら反乱因子は出てくるのです。
    そして、手痛い反撃をみるわけで。

    なんだか身近にありそうで恐いものがあります。

  • 古典SFとでも言うべき.RURと類似.アイロニー. 

  • 読書ノート2
    未読

  • OLDIES 三丁目のブログ
    山椒魚がせめてきたぞっ!
    【山椒魚戦争】カレル・チャペック
      https://diletanto.hateblo.jp/entry/2023/07/13/202755

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著者プロフィール

一八九〇年、東ボヘミア(現在のチェコ)の小さな町マレー・スヴァトニョヴィツェで生まれる。十五歳頃から散文や詩の創作を発表し、プラハのカレル大学で哲学を学ぶ。一九二一年、「人民新聞」に入社。チェコ「第一共和国」時代の文壇・言論界で活躍した。著書に『ロボット』『山椒魚戦争』『ダーシェンカ』など多数。三八年、プラハで死去。兄ヨゼフは特異な画家・詩人として知られ、カレルの生涯の協力者であった。

「2020年 『ロボット RUR』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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