それまで無尽蔵に無制限に使えるものとして語られることの
多かった「魔法」。ラリー・ニーヴンはこの魔法にSF的な
エネルギー源としての「マナ」を設定する。マナは天然資源
のように使えば使うほど失われていき、やがては枯渇して
しまう。この作品はその「マナの枯渇の危機」が迫る、魔法
にとっての終末を描いた作品である。タイトルこそ牧歌的、
童話的ではあるが、内容は黙示録をも思わせるようなもの。
そして魔法の終末が剣の時代の創世記へとつながっていく。
悲劇的でもあり、同時に新しい未来を思わせる死と再生の
物語とも言えるだろうか。
そのSF的な設定が、後のファンタジーの「魔法」の姿に
多大な影響を与えたとも言われる記念碑的なこのシリーズ、
しばらく続きます。