不確定世界の探偵物語 (創元SF文庫 か 2-1)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488727017

感想・レビュー・書評

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  • ただ一人の大富豪が所有する、この世に一台きりのタイムマシンが世界を変えてしまった。過去に干渉することで突然、目の前の相手が見知らぬ人間に変わり、見慣れた建物が姿を変えてしまうのだ。 
    そんな世界で探偵業を営む主人公。 
    過去を改変されたことで、調査対象の記憶や姿が変化したり、事件そのものがなくなるという世界。 
    過去が変わったら現在が「見える形で変わっていると認識できる」という設定が今ひとつ気に入りません。 
    まぁ、そうでないと話が進まないんですけどね~。 

  • タイムパラドクス上等、な世界での探偵物語。
    過去が堂々と変わる上に、変わった自覚が存在する世界っていう設定は紛れもなく SF なのですが、実際に読むとあまり SF っぽさを感じませんでした。
    どちらかというと、できの悪いハードボイルドを読んでいるって感じ?(^^;
    オチの話が割と好みだったのであまり評価を下げないことにしましたが、なにが面白いのかわからないって人もある程度いるかもしれませんね。

  • 素晴らしい。ハードボイルドと平行世界ものの融合。短編集だが連作としての楽しさもある。
    SFなんで、んっ?と思うこともあるけど、とにかく楽しめる良作。
    1984年、翻訳ではない日本人作家の作品ということに二度驚き

  • そういえば鏡明の本を読んだのは初めてかもしれない。訳書は別にして。
    ここの所昔のSFを読み返している流れで手に取った。タイムトラベル物として鏡明らしい捻くり具合が楽しめる。もっとサービスシーン入れてくれても良かったかな。
    この流れだと次は広瀬正に行かざるを得ないな(^^;)

  •  この連作短編型の長編が書かれた1980年代初めは、伝説のSFファン鏡明が小説をものし始めた時期で、私も大いなる期待を持ってSFマガジン連載の『我らが安息の日々』を読んだりしたけれど(いまだに単行本化されていないのだ)、『不確定世界の探偵物語』のほうは新書で出版されてもなぜだか読まずじまいだった。タイムマシンの実用化によって過去が改編され続けて現在が不確定になってしまった世界における探偵物語という設定には大いに魅力を感じた(赤川次郎への皮肉?)が、しかし、そんな世界で探偵は不可能ではないか。
     そこで設定ではタイムマシンはただ1台だけ、しかも世界一の大富豪ブライスが所有し、世界の改良のためだけに使っているという設定になっている。世界の変化は起こりうるが、常時起こっているわけでもなく、世界が変わっても変わる前の世界の記憶はおぼろに残っている。主人公の探偵ノーマン・ギブスン(『ニューロマンサー』のギブスンへのオマージュ?)は、日本人の孤児で養子のためこんな名前。彼の故国は既に『日本沈没』している。などと、いろいろとくすぐりがある。各短編は独立しているものの、ブライスの正体は何か、ブライスにとってギブスンは何か意味がある存在なのか、ブライスに敵対する者たちは何者か、といった謎がばらまかれ、他方、ブライスのもとから派遣され、探偵助手に収まるジェニファーとのロマンスが横糸を張り、読者を引っ張っていく。
     ハードボイルド探偵ものの体裁だが、ギブスンはまったく腕っ節が弱い(でも、打たれ強い)。その代わりジェニファーが滅法強い。ハードボイルドのお約束で、彼はひどく感傷的でもある。そのあたりの味わいがいい。
     20年を超えて古びていない作品である。

  • [ 内容 ]
    ただ一人の富豪が所有する、この世に一台きりのタイムマシンが世界を変えてしまった。
    過去に干渉することで突然、目の前の相手が見知らぬ人間に変わり、見慣れた建物が姿を変えてしまうのだ。
    おれは私立探偵。
    だが、常に歴史が変わる―現在が変わりつづけるこの世界で、探偵に何ができるというのだろう。
    そのおれが、ある日、当の富豪に雇われた。
    奴は何者?
    空前絶後の時間SF。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  •  「時間もの」と言っていいものかどうか。だからといってハードボイルドものと言ってしまうと、これまた大きく的はずれな紹介になってしまう。とりあえず「時間もの」に入れておいて良さそうだ。
     ある世界の探偵の話である。
     その世界では「ワンダーマシン」と呼ばれるタイムマシンの一種によって頻繁に過去が変更される。その結果として、現在の状態に変化が起こる。いままで話をしていた人間が目の前で別人になってしまうことすら起こってしまう。
     そんな世界で、事件に巻き込まれた探偵の話。
     前述の通り、「時間もの」SFを背景にもって、ハードボイルドの味付けをした作品である。ハードSFや本格推理小説とはほど遠く、むしろファンタジーに近い世界なのであるが、主人公の痛めつけられ方は尋常ではない。
     最後の最後の話の持って行き方は、読者を安心させるためか、予定調和になっているが、これ以外の結末は難しかったのかもしれない。

  • 時間SFってことで手に取ったもの。

     荒っぽくいえば、時間を自由に操ることができる勢力がふたつ。そして、過去や未来からの勢力争いに巻き込まれるのが、ハードボイルド私立探偵の主人公。美女も出てくるし、007のイメージかな。

     連作の短編集だから、全部通して楽しく読める。SF色はないが、冒険活劇という印象かな。古い作品なのに新鮮に読めるのがうれしい。

     作品は以下の通り。

     「昨日のない明日」「暗闇の女」「空白の殺人者」「凍った炎」「復讐の女神」「子供の冒険」「真夜中の死」「わが最良の時」。エンディングはきれいにまとまっていい感じだな。

  • 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 鏡 明 1948年山形県生まれ。作家、翻訳家、評論家。早 稲田大学文学部卒。学生時代よりSF同人誌で活 躍。1970年にメリット『蜃気楼の戦士』で翻訳家 デビュー。同年、短編「オム」を発表し作家デ ビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲 載されていたものです)

    ただ1人の富豪が所有する、
    この世に1台きりのタイムマシンが世界を
    変えてしまった。
    そんな時代に探偵も足を踏み入れる。


    現代で [探偵]というのも時間の流れに多種多様...
    宇宙旅行も金さえあれば手に入る時代

    出版社: 東京創元社 発売日: 2007/07

  • とてもハードボイルドだった。現在過去と起こったはずの事象ががんがん変わっていきその理由が明かされる過程など時間ものとして嫌いなタイプの話ではないのだけど、"おれ"という一人称の語り口調など、私が苦手な文体でした。

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著者プロフィール

鏡明(かがみ・あきら)
1948年山形県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒。1971年電通入社。広告ディレクターとして様々なCMを送り出すため世界各地を飛び回る会社員生活の傍ら、評論家、作家、翻訳家として精力的に活躍。世界三大広告賞と呼ばれる「カンヌライオン」「クリオ」「ワン・ショウ」を始め、受賞多数。2012年、アジア太平洋広告祭で「ロータス・レジェンド」として表彰、2013年には第33回東京広告協会白川忍賞を受賞している。
著書─『不死を狩る者』『不確定世界の探偵物語』『二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分』。
訳書─A・メリット『蜃気楼の戦士』、ロバート・E・ハワード『風雲児コナン』、ピーター・S・ビーグル『最後のユニコーン』、『ドアーズ詩集』など。

「2019年 『ずっとこの雑誌のことを書こうと思っていた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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