マインド・イーター[完全版] (創元SF文庫) (創元SF文庫)
- 東京創元社 (2011年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488742010
感想・レビュー・書評
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憎悪の集積であるマインド・イーターという害意有する鉱物に言語が宿り音楽が共鳴する。切なく哀しくおぞましくも美しく。生命について物質について宇宙について物思う。とても多義的であり神話的でもある。でもこれは(筆者曰く)旅する話なのだから儘にセンチメンタルに浸るのがいい。しかしこれが30年も前に書かれた小説だとは!復刊してくれた出版元に大感謝。
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2011年11月25日、初、並、カバスレ、帯なし
2013年12月8日江南BF。 -
当時歴史ものばかり読んでいた私にSFの面白さを知らしめた一冊。 「前宇宙の残滓」たるマインド・イーター(以下M・E)という鉱物のような得体の知れない小天体とそれが人類にもたらす恐怖を軸に展開される連作短編集。
宇宙艇に搭乗した人間とM・Eのドッグファイトや月面探索、宇宙船の船長とそのコンピュータとの対話など、様々な雰囲気のSFが楽しめる。
かく言う私はいわゆる「ゆとり世代」に属する人間だが、この『マインド・イーター』と神林長平の『戦闘妖精・雪風』の世界観は、幼少より親しんできたファミコンののゼビウス、スターフォース、グラディウスといったSTGの世界観を想起させるものがあり、心が踊る。この手の「人類VS何か」というSF要素を含むものが80年代に集中しているのも興味深い。 -
六割わからないけど好きです!
いやマジでSF用語以前に、誰の台詞なのか、誰が何してるのかが分からない
元来『夢の浅瀬』が好きな浅瀬の読者のため、宇宙船は女性人格に限るという浪漫くらいしか語れません -
久々に、ずっしりと重厚感のあるSFを堪能。
R-TYPEのバイドを彷彿とさせるような(時間順序的には逆)
宇宙からの異物「マインド・イーター」との邂逅を通して描かれる、
人とは何か、我々はどこから来てどこへゆくのか。
人は涙を流すことをやめた時に人でなくなるのか?
とかそんな感じ。
ある意味で、SFとして不滅のテーマ。
物語というよりは作者の叫びや足掻きに近く、その意味で個人的には
フィリップ・K・ディックを想起する。。。あちらのねっとり感に比べると、
多分にソリッド感が強いですが。
なお、小松左京「ゴルディアスの結び目」必読の模様。 -
30年前の作品。画期的。つぎはぎだし、破綻プロットも多いけれど、シューベルトの未完成ってな感動があるね。連作によるマインド・イーターという架空の存在に対する人類の位置づけを描いている。
「野生の夢」は読みやすいが、あまりインパクトがない。「サック・フル・オブ・ドリームス」は音楽が生命の証であるという印象が新鮮。「夢の浅瀬」ではあまりに強烈なエンディングが続く作品の影を薄くしてしまう。
「おまえのしるし」で一気にマインド・イーターとはってなところに進むが、「緑の記憶」では植物を題材にして新しい局面にトライするものの消化不良に終わり、「憎悪の谷」では新しい試みがあるが不発。「リトル・ジニー」に飽きた頃、エンディングの「迷宮」でひとつの結論に至る。
マインド・イーターとはなにかは関係ない。人類が先か宇宙が先か。知性か生命かってなところが掘り下げられるのだが、とにかく未完である。惜しい。 -
思ってたのとだいぶ違った。話は全然似てないのに「火星年代記」の読後感がダブった。
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宇宙へ進出した人類に襲いかかる精神を蝕む鉱物=マインドイーター(M・E)をテーマとした連作.M・Eを敵として描かれる序盤から次第に,文明とは? 生命とは? 神とは? といったセカイの根源へと話が進んでいく.音楽や文字解析によるSF的科学ネタをうまく織り交ぜながら,神(としか呼べないもの)の領域に踏み込んでしまった彼/彼女らの物語だった.個人的には,遺伝子の不連続性という考え方がとても面白かった.セカイ系が好きな人にはオススメ.
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これは面白い! 地球外の生きる鉱物であるマインド・イーター、そしてそれと関わる人間を、短編を使って様々な角度から描いている。人間とは? マインド・イーターとは? という一つの謎を辿る、壮大な物語。
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最終的にM・Eと人はどうなるのだろう。どちらが正しいのだろうということは読者に任せられた気がする。
面白い作品です。