完璧な夏の日〈下〉 (創元SF文庫)

制作 : 渡邊 利道 
  • 東京創元社
3.23
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本棚登録 : 222
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488752026

感想・レビュー・書評

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  • 霧を操ったり物を消し去ったりといった特殊能力を持った超人(ユーバーメンシュ)が、第二次世界大戦からベトナム戦争、ソ連のアフガニスタン侵攻、911同時多発テロなどの時代を生きつつ、主人公のフォッグが完璧な夏の日にたどり着くまでの物語。下巻では特に最後で、これまでのエピソードがパズルのピースをパチリパチリとはまっていくようで、とてもリズム感よく読み進められる。ネタバレになってしまうかもしれないが、愛というか恋というか、最後はハッピーエンドであると同時に切ない結末でもある。単純なメタフィクションだと思って読んでいたが、最後で一気にラブストーリーに変わって、驚かされた。このサプライズが楽しい。

  • 幼稚と言われればその通りなのだが、ジャスティスリーグやアベンジャーズ、劇場版の戦隊モノや仮面ライダー等、超人がドカドカ出て来て活躍する系のお話が大好きだ。
    絢爛豪華で華やかなスター勢ぞろいに、本能的な何かを刺激されるのだろう。

    この小説も、ユーバーメンシュと呼ばれる超人たちが大勢出て来て、第二次世界大戦やその後の冷戦、ベトナム戦争等で活躍する。主人公も相棒もその超人である。大人な小説なので単純な正義などなく、それぞれの国のそれぞれの政治的思惑の元、超人たちが超能力を駆使して戦いを繰り広げる様は、痛々しくも読ませどころである。

    アメリカは派手な衣装を着てショーのような戦いをし、イギリスは地道にスパイ活動をし、ドイツは真面目に律儀に苦悩し、ソ連は冷たくも暴力的で共産主義的で…と、各国のユーバーメンシュがそれぞれの特徴をもっていて面白い。

    ただ非常に残念なのは、ヒロインがキャラクターとして弱すぎる。美しく純真で明で善なのだというのは分かるが、あくまで説明されていることに終始し、それが個性として生かされていない。まあヒロインのキャラ設定が弱くても面白い小説だってあるんだけど、この作品の場合、ラブロマンスに着地点を求めているのだから、ヒロインが弱いと着地が上手く決まらないのである。途中まで面白かったので、仕上がりが決まらないのは非常に残念だった。

  • 科学者の一度きりの操作によって、突如世界中に異能力者たちが出現した。霧を操れるフォッグ等彼らは集められ、国のために戦うことになる。敵国の異能力者たちと死闘を繰り広げる中で、フォッグは悲惨な戦争に疲弊し、仲間を奪われる戦いに絶望していく。そんな中で出会ったのが「ゾマーターク」と呼ばれる美しい少女だった。
    正直異能力者達のヒーロー話は退屈だ。コミック的要素には興味が持てない。ただ現実の歴史と絡ませて、やむことのない人間の醜い争いを見続ける運命の彼らの哀しみが切ない。特異な能力によって、普通の暮らしから永遠に隔絶されてしまった彼らそれぞれが、生き続けるために信じるものを必要とする。フォッグにとってのゾマータークであり、オブリヴィオンにとって、それはフォッグであったのだろう。

  • ☆3つ
    突然値段のお話。この本下巻一冊1000円である。もちろん上巻も1000円である。2冊買って2000円。感覚的にはかなり高価。文庫本だよぉ、などと言ってられない値段だと思う。
    読んじまった感想をWEBにアップすべく読書コミュで検索すると「合本」(読みはごうほん?)というのが出てくる。
    よく見るとKindleとか書いてある。電子書籍だね。そしてなんと一冊なのに2000円なのだ。べつに倍の分量の紙を売るわけでもないのだろうから1800円くらいにしてくれると、そうか!とか思うのだけれどね。2000円ぢゃ、ちぃーとも購入意欲はわたしは沸かない。すまぬ。
    あ、本の中身の感想が無かった。ま、そういう程度の本だと思って頂いてモンダイ無いです。すまぬ。

  • 何でもほもに見える困った眼鏡だわ、と思いながら読んでいたのだが眼鏡の所為ではなかった。そして二冊も長々続いておきながらそんなオチですか。

  • 上下巻通して読んだが比較的読みやすかったおかげでわりとサクッと読めた。場面転換がひっきりなしだったけども作品を通して映画的・テレビドラマ的であるのでシーンを思い浮かべやすく、混乱もあまりない。

    私は「ロマンチックなSF小説」が読みたい欲求というのがあるので、この作品はちょうど良いのでは?と思ったのだけど、うーん、普通かな。そもそもSF小説かと言われると違う……のか?スーパーヒーローもの??カテゴリ分けが苦手なのでよくわからないのだが、乗れなかった理由はヒロインのゾマーターグ。いつまでも少女のような汚れなき乙女を想い続ける的なロマンスはあまり好みではないのだ。一個の人格というよりは、何かの投影じゃん、というのが強く匂いすぎると醒めるというか。その分、親友のフォッグをジットリと何十年も想い続けるオブリヴィオンの報われない恋が不憫でよかった。

  • 2015年2月刊。下巻では、ユーバーメンシュと呼ばれる超能力者の存在が認識されている世界であることが語られますが、興味をひくような内容はありません。盛り上がりにかけるお話で、退屈してしまいました。地味なファンタジーです。

  • 後半になってもだるさは変わらず

    視点変化が多いからか、わかりにくいまま読了。とにかく読み手である自分が不調だから余計に乗れない。残念。

  • 上巻に引き続き、第二次世界大戦におけるユーバーメンシュたちの戦いの様、そして、東西冷戦時代を経て現代にいたるまでの彼らのその後が描かれます。

    上巻の冒頭で、オブリヴィオンがフォッグと会ったのは、彼らの上司オールドマンの元に呼び寄せ、フォッグの戦時中の報告書で語られていなかった事柄について、真相を聞き出すためでした。

    オールドマンの事務室と過去がテンポよく切り替わりながら物語は進みます。
    そして思いがけないエンディング。

    フォッグ、オブリヴィオン、オールドマンのそれぞれが抱える様々な苦悩や願望が絡み合い、ややほろ苦くもありつつ、爽やかな幕切れに大きく息をつきました。

  • Twitterでアメコミぽいとの評判だったので、釣られて購入。読んで納得。作者がかなり意図的に書いている感がある。自分はさほどアメコミに詳しくないので、あーと思う程度だったんですが、詳しい人はにやっとする仕掛けがもっとあるんじゃなかろうか。

    話は過去現在、それと場所がかなり頻繁に入れ替わるので、最初は読みづらいかも。ザッピングのような感覚で謎を積み上げ解く印象。その辺もアメコミというか映像に近い感覚なのかな~。SFというよりはミステリーとまでは行かないけれど謎解きメインなのかなと?

    あと比較的伏線がわかりやすいので、それを探して読むのも楽しいかも知れない。個人的にはちょっと最後脱力してしまった。

    ただ正直に言うとこのボリュームだとこの値段はちょっと高いかな…。

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