- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488805029
作品紹介・あらすじ
HHhHとは「ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる」を意味する符丁である。〈第三帝国で最も危険な男〉とも〈金髪の野獣〉とも呼ばれた、ユダヤ人大量虐殺の首謀者ハイドリヒ暗殺計画がプラハに潜入した二人の青年によって決行された。それに続くナチスの報復、青年たちの運命……。ナチスとは、いったい何だったのか? ハイドリヒとは何者だったのか? ビネは史実を題材に小説を書くことの本質を自らに、そして読者に問いかける。小説とは何か? 待望の文庫化!
感想・レビュー・書評
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文庫化にて再読。
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読書記録 2023.5
#HHhHープラハ、1942年
#ローラン・ビネ
#読書好きな人と繋がりたい
#読了
司馬遼太郎作品で、史実と創作の境目はどこなのかと考えたものだが、この作品はその比ではない。史実9割・創作1割か。
なのにこれほど劇的な物語が紡がれたことに驚くほかない。
心理描写を入れず、記録映像を見るように、刻々、淡々と語られることで、読者は1942年5月27日の現場に居合わせたかのような錯覚を起こす。
ただ、ナチがチェコを併合する理屈が、現在ロシアのウクライナへのそれと同じで慄然とする。こちらは80年前の史実そのままの再現なのだ。 -
フィクションとノンフィクションが交錯する不思議な読書体験でした。
1942年プラハで起きた、ナチスの悪名高きハイドリヒ暗殺事件を余計な創作を盛り込まずドキュメンタリータッチで描きながら「僕」という作者或いは読者が21世紀と1942年の間を時空を超えて淡々と静観している。
それ故にハイドリヒ暗殺事件の全貌が大きく浮き彫りになっているのだ。 -
フランス・パリ出身のローラン・ビネのデビュー作であり、2009年に本国で出版、2013年に邦訳が出版された本作、『HHhH』。この謎めいたタイトルが渦めく装丁に興味を惹かれて書店で購入したのだが、その感覚がは大いにあたり、ストーリーテリングの面白さと、極めて技巧的・意識的な仕掛けに溢れた一作。
タイトルの奇妙な4文字はドイツ語の「Himmlers Hirn heißt Heidrich」という文章に由来しており、”ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる”という意味になる。そのヒムラー、すなわちナチス・ドイツの親衛隊(SS)のトップであったハインリヒ・ヒムラーにその頭脳として仕えたラインハルト・ハイドリヒらが本書のモチーフ及び舞台となる。
より具体的に言えば、その頭脳を持ってユダヤ人の虐殺や制服した諸国での恐怖政治を指揮したハイドリヒを亡きものとするために、チェコのプラハで立ち上がった2人の若者による暗殺計画が本書のストーリーの骨子である。・・・のだが、本書が特異なのは、その史実を元にした小説を書くための作家本人を主人公に据えて、「小説を書くということの小説」とも言えるメタレベルの視点を持った小説に仕上がっている点である。
さまざまな事実調査をしながら書き進めていく難しさ、その個々の史実に対する作家自らの感想などが合間に挟まりながら、それでいて悲劇的なクライマックスに向けて突き進む2人の若者の暗殺計画が綴られていく。高いリーダービリティを持ちつつも、メタ小説の面白さにも溢れており、改めて小説という枠組みでまだまだ面白いことができる、というその可能性を強く実感できる1冊だった。 -
ユダヤ人問題の最終的解決問題の実質的推進者で、「金髪の野獣」と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒ暗殺計画のエンスラポイド作戦を描いた小説。
短い区切りの章が次々と繰り返される、ちょっと面白い形式で書かれています。その短い章も著者の現代や、物語の時間が入り乱れていますが、意外に読みにくくありません。書いた著者が上手いんですね。
暗殺実行者が立てこもった教会で戦う最後のシーン。「なんかこの描写、何かの映像作品で見た気がするな??」と思ったら、この作品を映画化した『ナチス第三の男』を見ていましたw -
テロ後が悲惨すぎる。
歴史書か小説か。 -
作者の思いを文章の構成に載せてあちこちに撒き散らす。この思いを受け止めて咀嚼する。
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歴史小説はどこまでが史実なのかいつも悩みながら読んでいたが、この書き方はそのボーダーラインが明確だったので悩まず読めた。
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【書誌情報】
HHhH プラハ、1942年
著者:ローラン・ビネ
訳者:高橋啓
装幀:Reindeer Design+折原若緒
ジャンル:一般文芸 > 一般文芸
レーベル:創元文芸文庫
判型:文庫判
ページ数:462
初版:2023年4月28日
[http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488805029]
ISBN:978-4-488-80502-9
Cコード:C0197
文庫コード:LA-ヒ-1-1 -
20年前、彼らはヒロシマとナガサキを知っていた。
読み始めてすぐに一旦停止。
内容が内容なだけに、歴史の勉強のやり直し。
そうしてから読んでも、読むのに時間がかかった。
時系列で話が進まないし、作者の感情も入りすぎているように思う。読みにくい。
本当にこういった作品は好きじゃない!!
だけど・・・。
その時の情勢が目に浮かぶ・・・。
昔の話なのに(1世紀も経っていない。途中で作者が言っていた)その場の臨場感がそのまま伝わる。
20年前のボクはプラハの街を歩いたのに、そういった歴史を一切知らなかった。
言いたいことは、天に星、地に石コロの数ほどあるけれど・・・
ボクは、この英雄達の名を決して忘れない!!