研究者という職業

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  • 東京図書
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784489006852

作品紹介・あらすじ

流行のテーマを追うのでなく、自身が本質的に考える主題に取り組むならば、研究者は生涯かけてその研究生活を楽しむことができる。問題は発想の泉を涸らさないことだ。研究生活50年を超える著者が、そのための知恵と工夫を、自らの体験を交えて語る…。

感想・レビュー・書評

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  • 長年、大学において、研究者として研究に取り組み、学生を研究指導していた著者自身の経験に基づく、研究にまつわる随想を編んだもの。どちらかというと、天才型の研究者というより、実直な仕事のスタイルで成功した研究者だろう。同じような姿勢を持つ次世代の研究者へのメッセージと解した。自分独自のユニークな研究テーマを持つ、時流追随型は波に流されやすい、社会学・生物学は自己組織的な性格(意味の考察を重視)を持っている、能力を弁え研究上の責務を果たすことが研究者全集団のため、群小大学ではホームラン型よりヒット・アンド・ラン型の町医者のような教授が求められる、といった経験に基づく言葉は理解しやすい。

    抽象度の高い哲学・数学といった学問は指数の高い層が取り組み、そうでない層は、福祉・教育・マーケティングの3類に集まる傾向があり、後者はノーベル賞型の秀才は必要としない分野、という言説は、実務的に研究を表しており興味深かった。

    語調に個性が表れており、一人称代名詞の「僕」が頻用されているが、その度にこの語源が頭をよぎるので読み進めていくときに少し気になった。このことは本質的な内容にかかわらないので、予め了解しておけば読了に問題はない。

  • £9.50
    新品同様

    【定価:1,800円(税抜)】

  • 非常に批判的に今の大学の現状を描いている本。批判的ではあるが、共感出来ることが多々あったり、また自分の様な若輩者には参考になる部分も多かった。
    最後の方は自慢話が目についたが、全体的には良書かと思う。

  • 大学の問題について語っているのが印象的。教授には横の競争はないという。そういった競争や任期制が研究発展には重要だという。それと、研究が細かくなりすぎて、学ぶ者の視野が狭くなることにも警報を鳴らしている。学部卒と院卒で給料に大きな違いがないというのは、そもそもそれだけの価値しか得られないからだとか…
    一理あるところもあれば、そうなのかと思うところもあるので、大学生や院生に是非一読してみてほしい。

  • 研究計画に関する具体的な注意点が知りたくて読んだ。計画は目的から逆算し、自分の資源を考え再考し、決定することを学んだ。また研究者とはなにか、について多くの記述があり、研究者を目指す人なら感じる部分が二つ、三つある読み物であった。

  • 研究者とは何なのか、そしてその心得を書いた本。

    内容は厳しいことが沢山書いてある。青年期、中年期、壮年期と気をつけることが書いてあり参考になった。
    マーケティングなんぞにいくのは数学から逃げたけど、かっこいいことをしたい出来損ないが多いだとか老害の教授になるくらいならやめちまえという内容のひどいこと(笑)も多々書いてあった。

    二流なりの生き方とか色々と参考になることが書いてあったので今後も折りをみては読み返したいと思った。

  • 研究者としてどう仕事をすべきか、という心得などを書いた本。プロの研究者とは何であるか、研究者としての寿命を長くする(あるいは全うする)ために、どうしたらよいかなど、含蓄ある語り口で綴られている。良書。

  • 研究者生活50年を超える著者がこの先の研究者としてのあり方。
    研究者に必要な能力、適性や振る舞い方について、現状の日本の研究者の問題点を踏まえて述べている。
    4年生以降、これから研究をしていく自分に一つの指針を与えてくれた1冊だった。
    自分が見える所において5年後、10年後に再読したいと思った。

  • 理工系・文化系問わず、研究者がどうあるべきかがやや厳しめにつらつらと。
    ただ、著者が長いこと大学教授だったこともあり、大学内の研究者としての話が中心。企業の研究職について知りたくて読んだ僕にとってはそこは違ってたけど、根本的な話に終始するので、企業のそれにも通じるものは多いと感じた。
    特に印象に残ったのは、自分のフィールドだけにとどまらずに他流試合を積極的にしろ、ってところ。自分も含め、惰性で大学院に進んでゆく日本の学生…。帰ってからの学生生活は2年前よりは危機感を持ちながら過ごせるのが不幸中の幸い。

  • ハウツーというより,後進に対する先輩研究者からの助言という感じか。日本で評価されなくても国外で評価されるというのは大切な視点。外の世界に晒されたときはじめて研究の真価が問われるのだと思う。

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