数学と方法

著者 : 野﨑昭弘

• 東京図書 (2016年10月10日発売)

感想・レビュー・書評

[もけさんの感想 · 2021年8月24日]

数学が、仕事上必要か、学校で義務で学ばなければならないが、数学が好きでなく、かつ苦手の人が主な対象読者だそう。

一番幸せなのは数学が好きで楽しみで学ぶ人で、そういう人はこの本は読まなくても良いが、わからない事にぶつかったときの参考になる、とある。
幸いな事に一番幸せなパターンだったので、好き勝手に楽しく拝読した。
そして、本書を読んで、数学がますます好きになった。

本書で野崎先生が取り上げた話題は勿論、色々な有名数学関係者のコラムも、一度は考えた事がある事や面白い話題ばかりで大変な共感を持った。

数学が好きな人で、論理的思考力や数学的感受性よりも、計算力や記憶力や一定期間内でのアウトプット力に偏重した現行の受験数学や教育法に疑問を抱いている方は特に共感するかもしれない。

野崎先生の本は、個人的には大好物なのだが、数学が好きでない方（得意でも好きでない人含む）に響くかは、認めたくないものの少し疑問に思う。
それはこの本の問題ではない。
現状の受験や仕事という差し迫った期限と効率重視の成果主義の問題だ。
想定している対象読者は、そもそも手に取る余裕がない気がする。

また、数学とは、記憶したアルゴリズムに従って、結果を高速出力するプロセスだと思っていて、その手続き処理を、数学的ではない、どんな手を使っても良いから、高速化する事に情熱を燃やす方には不向きかもしれない。

というのも、個人的話で恐縮だが、この本を父が知り合いの数学の先生から頂いたのだが、数学ではなく、受験数学のみが好きな父は、ちょっと読んでやめたらしく（内容が難しいという意味で読むのをやめたのではなく、受験数学が手続きの高速記憶出力処理と思っていて、それが好きで、数学とはそうあるべき、そうあらねばならないと思っている人にとっては、この本に書いてある内容はお気に召さなかったらしい。）ほぼ読まずに、すぐ私の所へ持ってきたからだ。

受験数学大好きという人でこれなので、限られた短い期間に、点数や単位を取る目下の目標に奮闘している受験生や大学生でしかも数学が好きでない方は、読む時間も気力もないであろうから、尚更読まない気がする。

だとしたら本当に勿体ないのだが、現状の受験、仕事の競争下ではよっぱど余裕がないと読んでいる時間がないのが現実だろう。

一番読者としてあり得るのは、数学が好きな大学生が、夏休みに受験数学を懐かしむみたいに読むとか、理系の社会人や教育者が、あるあると共感して楽しむとかかなぁ。

数学苦手意識がある方にも意識を変えさせてくれる良い本なので、数学好きだけには勿体ない。
人生は限られた時間しかないし、これ読まないと受験数学解けないとか、死ぬわけでもないので、積極的にひと様にオススメはしませんが、面白い本なので、ちょっとでもご興味がある方にはオススメです。

[osawatさんの感想 · 2019年12月27日]

ふむ

[佐賀大学附属図書館さんの感想 · 2018年11月16日]

(図書館員のつぶやき）
数学が毛嫌い？のひとには見向きもされないような本ですが、何となく数学とお付き合いをしていかなくてはいけないときはありませんか、そんなあなたにヒントのような本です。好きなひとはより面白く！あまり好きではひとはそれなりに！発見があるかも知れませんよ～借りてみらんね。

著者プロフィール

野﨑　昭弘（ノザキ　アキヒロ）：1936年、神奈川県横浜市生まれ。数学者。東京大学大学院理学研究科修士課程修了。東京大学助教授を経て、山梨大学、国際基督教大学、大妻女子大学、サイバー大学の教授を歴任し、現在、大妻女子大学名誉教授。専門は情報科学。理学博士。著書に『数学的センス』、『不完全性定理』（以上ちくま学芸文庫）、『詭弁論理学』（中公新書）、『πの話』（岩波現代文庫）、『離散数学「数え上げ理論」』（講談社ブルーバックス）、『算数・数学の基本常識　大切なのは数学的センス』(日本評論社)など、訳書に『ゲーデル，エッシャー，バッハ』（共訳、白揚社）など多数。

「2022年 『算数・数学24の真珠』 で使われていた紹介文から引用しています。」