- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784490200768
感想・レビュー・書評
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2013 11/18パワー・ブラウジング。同志社大学今出川図書館で借りた。
図書・図書館史授業用。近世の図書史関連。
以下、授業用メモ。
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・1.近世貸本屋の誕生と機能
・貸本屋の登場・・・庶民向けにかながきの小説、実用書、娯楽本が出てくる時期=寛永年間(1624-1643)くらい?
・行商が一般的
・江戸中期以降は物の本は売り物、娯楽読み物は売り物にも貸本にも使う
・17世紀後半くらい・・・読者層は上流だけでなく中流にまで広がる:草紙の類を「安い」と思える人々の読書記録が残る
・17世紀末-18世紀初頭にはさらに大衆化している形跡あり
・「娯楽本は貸本で読むのが一般的」に・・・値段に関わらず
・全盛期には店頭営業する貸本屋も
・本屋営業に関わるには本屋仲間に入る必要←例の条令後の話だよな??
・貸本の仕入れルートはいろいろ・・・版元からの直販、ほかの貸本屋からの購入、貸本用の仕入れ所や古本売買、写本などでの自家生産、本屋から借りる、仲間との交換
・演劇脚本など娯楽もの、それも現代の娯楽ものが多く、よく読まれるものは複本も。詳しく見ると名作・古典も含んでいる
・いくらで貸していた? 1864年の記録によると・・・1タイトルあたり10-30文くらい
・一文を何円で換算するか。30円換算なら300-900円。1タイトルが数冊セットなのでまあ妥当か。10円換算なら100-300円。これもそれらしい
・期限もケースバイケース。日払いから3日、5日、7日と諸々あるが、15日でまた貸本屋が来て返す、というのが一般的とも
・本によっても土地によっても違う。人気本は短い。都会は短い。後者はさておき、前者は今のDVDレンタルとかも新作が短かったりするよね
・延滞料も破損に対する罰金もある
・山東京伝いわく「板元は親里なり。読んでくださる御方様は壻君なり。貸本屋様はお媒人なり」・・・貸本屋の売り出し方で売上が左右される
・貸本屋・・・娯楽本の新刊購入者。売れるものかどうか吟味するし、売れるよう介入もする。読者をリードし製作に口を挟む立場
・時には地方に新知識・情報を伝える役目も担っている
・貸本屋が町の学者を兼ねている例も・・・尾張名古屋・大野屋惣八(通称・大惣)
・1767年から150年続いた貸本屋/さらに以前は個人蔵書家
・買った本は手放さない/仲良くなると書庫を見せてくれたり調べ物をしてくれたり・・・私立図書館的な役割も
⇔・まあそういう例もあるし、個人篤志家が文庫を開いている例もあるが、基本そこで対象になるのは「物之本」であって、「草紙」類との共有状況には大きな差がある、というのは踏まえておくべきかもな
・2.地方貸本屋の実態と特性
・貸本屋は本を3回転くらいさせられれば減価償却できる??
・ここはPBで
・3.貸本屋の読者・読書
・娯楽のための読書が庶民にまで広がっているのは・・・江戸時代までは例がない/元禄時代中頃、貸本屋整備以後のこと?
・建前:経世・義理・教訓の道をさぐるための読書⇔実際:娯楽のための読書
・仮名書きの軍書(太平記など軍記物)の類から入る・・・文字を覚えていく・・・四書・五経へ?
・実際には太平記を面白いから読んでいる様子が伝わってくるばかりでもある
・読書姿勢・・・手を洗って机の前できちんとした姿勢で読みなさいという建前⇔寝っ転がって読んでいる実態
・雨の日や夜など暇な時間に読む/ペーストしてはそんなに厚くない娯楽関連のを1日1冊くらいが努力目標(借りた本の読み方として)詳細をみるコメント0件をすべて表示