戦国武将の脳

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  • 東洋経済新報社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492061527

作品紹介・あらすじ

信長の独創脳、秀吉の気配り脳、家康の忍耐脳、謙信の直感脳…カリスマたちの卓越した脳構造の秘密とは?また、現代人がそうした"脳力"を鍛えるにはどうしたらいいのか?いまこそ戦国脳に学べ!戦国通の直木賞作家と、脳神経外科の第一人者が、存分に語りつくす。

感想・レビュー・書評

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  • 今まで言われてきたことを脳のメカニズム的にはこうだとまとめたもの。脳科学者と作者が対話形式で話を進めていくが時々会話がかみ合ってないこともある。
    同じ文章がコピペのように別の章であたかも今始めて語るかのようにある。

  • 歴史作家と脳科学者の対談。
    正解かどうか不明だが戦国武将の行動から脳の機能を推測(決断力が優れているとか)している。
    徳川家康の自己抑制能力は参考になる。
    個人的には織田信長が情報収集能力に長けていたというところからの下記の学びを大切にしたい。
    『普段の生活でも様々なルートから色々な情報を集め先入観を持たず自分の頭で考え分析し、予測し計画を立てていく。』

  • 戦国武将を脳科学という大胆な視点で読み解く。

  • 戦国武将として有名な、信長・秀吉・家康・信玄・謙信等の考え方や戦略を紹介し、それは脳のどの部分が特に発達していたのかを医学的な見地から解説を加えたものです。私は歴史が好きなので、脳の構造等よりも、歴史にかかわる内容の記述に興味をひかれましたが、このような本の取り組みは珍しいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・信長の祖父の信定は、津島一の豪商の娘をもらっている、当時の武士としては初めて商人との縁組を行った(p17)
    ・信定は、米収の多寡で物事の価値判断をせずに、商業利得・権益を重んじた(p17)

    ・脳内の神経回路の発達にとって大切なシナプス(神経細胞同士を結ぶもの)は、5~10歳までに急速に発達する、この時期にどのうな教育をうけたかが、その人の考え方を左右する(p21)

    ・信長は堺商人に矢銭として、2万貫(1貫=4000文、1文=180円程度として、144憶円程度)を要求した(p46)
    ・信長は現地徴発(略奪等)をしなかったので、非常に情報が入りやすかった、家康も同様、この点は信玄とことなる(p56)

    ・独創的な神経回路を発達させるには、身近にメモを置き、気がついたら書き取る癖をつけると良い(p68)
    ・本能寺の下は火薬庫だったので、大爆発することで信長の死体は見つからなかったのか(p75)

    ・信長の時代、鉄砲1挺が米15石もした、足軽の給料(1日5合)で計算すると、15石は足軽7人程度雇える(p81)
    ・常に楽観的にモノゴトを考えるようになるには、運動をするのが良い(p88)

    ・共感脳をつくるためには、まず人の話をしっかりと聞くこと、それにはいつもその人の目を見つめることである(p94)
    ・仕事においては、熟考したとしても、決断にはあまり時間をかけるべきではない、いつもデッドラインを決めて自分を追い込んでおく(p105)

    ・戦国時代の1貫は11石相当(江戸時代は2石程度)なので、明智光秀が浅井に使えた時の禄高(500貫)は、5500石にも相当する(p109)
    ・認知症になりやすい病気として、糖尿病・高血圧・高脂血症の3つである、治療の原則は、運動と食生活であり、薬は最後の手段(p127)

    ・関ヶ原の戦いにおいて、家康には3つの危機があった、1)三成が大垣城に篭城すれば長期戦、2)合戦前日に大津城落城、あと2日あれば立花宗茂が到着、3)丹後田辺城も落城、小野木(1.5万)も2,3日で到着(p157)

    ・関ヶ原の戦い時の家康部隊(3万)は旗本であり戦闘部隊でない、単なる防衛部隊、集団での戦闘行動をする訓練をされていない、実戦部隊として活躍できるのは、井伊直政と四男松平忠吉の6000のみ(p165)

    ・普通の軍団は、兵隊7,8人に対して馬1頭、それが武田の場合は、2.5人に対して1頭であり騎馬軍団といえる(p197)
    ・合気道の達人は小男が多く、筋肉や骨の大きさ強さよりも、それを動かす脳の働きのほうが重要であることを示している(p202)

    ・武田等がなぜ、略奪・強盗・暴行を戦争時に黙認したかは、普段は農作業をしている農民を農閑期に出陣させるためには、それを褒美にするしかなかった(p209)

    ・信玄死後に勝頼が付近の城を征服しているのは、当時の領地(120万石)の半分程度を穴山梅雪を中心にして分割すべきだという意見がでていたため(p214)

    ・謙信時代には、から麻という衣服の材料で34万石の収入、越後の高根金山、上田銀山、佐渡の西三河金山等を所有しており、戦国大名一番の金持ちであった(p226)
    ・謙信は100回以上の野戦において、つねに先頭に立って戦った、大将が13段の陣形の中の11段くらいにいるのと比べると対照的(p231)

    ・直感力を手に入れるには、瞑想を習慣化したり、直感的にモノを見つめる訓練が必要、何かを決断する際には、直感的に結論を導きだすことがポイント(p238)
    ・仕事においても、小さな成功を積み重ねて、勝ちグセをつけることがポイント(p264)

    ・伊達政宗が簡単に秀吉に屈することをしなかったのは、自分の100万石に加えて、茨城あたりに佐竹(100万石)、北条の300万石で合計すれば、まだ戦えると考えた(p268)

    ・太平洋戦争中、シンガポールにはイギリス軍はじめ連合軍が8万人以上いたのに、それを日本軍3万人程度で陥落させた、インドネシアのバンドン要塞にいたオランダ軍8万人を、三千人で陥落させた(p276)

    ・信長は、先見性と残虐性が特徴、先見性は頭頂葉と前頭葉、残虐性は前頭前野のはたらき欠落による、秀吉の決断の速さは、基底核とよばれる脳構造、家康の忍耐強さは、前頭前野のはたらき、謙信の宗教的な特徴は、前頭葉と海馬が関係している(p285)

  • 戦国武将に興味がわいてきた

  • 直木賞作家の津本陽と脳科学者の板倉徹が、戦国武将について、それぞれの専門見地から対談した本。
    お互いの知識が組み合わさることで、通説に科学的解釈が加わり、興味深い内容となっています。
    一人ひとりが独創的な特徴をもった武将たち。
    それは、歴史作家の筆によるところも大きいと思いますが、脳から判断するという試みは斬新で、なるほどと思う指摘が多々ありました。

    ただ、実際に武将たちの脳をCTスキャンにかけたわけではなく、「~~という性格だ」「それならば脳のそこここが発達していた」という流れで進んでいくため、結局はエピソードをベースにして、それを事実とした場合の、脳の状態の可能性を論じるに留まっています。

    DNAや血液鑑定と違って、故人の脳鑑定は不可能なので、そこに事実性との関連の弱さを感じました。
    脳の図が何度も登場し、各部位の特徴が記されていたため、この本は、武将の話を元に、脳の解説をすると見る方が正しいのだろうか?とも思いました。

    専門外の脳の話はわかりづらくはありましたが、各章の最後にまとめが載っていたのが親切でした。
    とにかく二人とも、専門の話がとても詳しくて、一読者としてそのレベルに到達しきれていないのが残念でなりませんでした。

    MindMap→http://lily-book.seesaa.net/article/154829638.html

  • 戦略、戦術を俯瞰しできる。

  • 津本さんが信長・秀吉・家康・兼信達のエピソードから
    板倉先生(脳科学者)が分析する
    内容的には面白いけど展開がワンパターンで飽きる

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著者プロフィール

1929年和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。78年に『深重の海』で直木賞受賞。その後、織田信長を描いた『下天は夢か』がベストセラーになる。95年『夢のまた夢』で吉川英治文学賞、2005年菊池寛賞受賞。1997年に紫綬褒章を、2003年には旭日小綬章を受章。剣道三段、抜刀道五段で武術全般に造詣深く、剣豪小説をはじめとして多くの武道小説を執筆。2018年5月26日逝去。著書に『明治撃剣会』『柳生兵庫助』『薩南示現流』『雑賀六字の城』『修羅の剣』『大わらんじの男』『龍馬』など多数。

「2022年 『深淵の色は 佐川幸義伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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