公務員人事の研究―非効率部門脱却の処方箋

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492211601

感想・レビュー・書評

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  • 上司から薦められて読んだ一冊。
    少し前の本ということもあり、自分自身の復習として読んでみて、日頃何となくスルーしていったことを再確認した感じでした。

    今や、どの自治体も当然のように人事評価は実施している時代にあって、その必要性は言うまでもありませんが、その中で今後はどういう方向に進んでいくべきか、運用や体制について、今後の方策についてもお話を聞いてみたいと思いました。



    現在の公務員の人事制度の問題
    ①組織のミッションが不明確であること-顧客の視点が弱い
    ②マネジメントが欠如していること
    ③キャリアの重要性の認識が不足していること

    公務員の人事制度と民間の違い
    ・基本的勤務条件が法定されるため硬直化
    ・労働基本権制約と給与・身分保障
    ・人事異動が頻繁にある

    評価すべき事項
     市民や国民が役所に対して求める成果を十分に検証して、その成果を業績評価として評価し(目標管理)、その成果にいたるプロセスを能力・行動評価として評価する(コンピテンシー)方式が望ましい

    一般職にも目標管理を導入する理由
    ①これまで目標に対する意識が低く、その前提となる課題の整理も不十分であった
    ②能力開発に関する目標を入れることにより、能力開発を促すことができる
    役所でコンピテンシーが有効な理由
    ①成果との関係が明確であり、成果に結び付く蓋然性が高い
    ②目標を数値化できないことが多くあるので、その代替物として活用できる

    役所に必要なコンピテンシー(事務管理職)
    ①顧客満足志向
    ②変革志向
    ③継続的学習
    ④目標達成志向
    ⑤戦略的立案

    評価エラー
    ・寛大化傾向(特に問題。成果が不明確なため、漠然とした達成度でも評価されてしまう)
    ・年次エラー(年次を優先する)
    ・残業エラー(残業が多い職員を評価してしまう)
    ・内部調整エラー(内部調整業務を評価してしまう)
    ・学歴エラー(学歴で判断してしまう)
    ・人格者エラー(倫理観や行動規範に優れた職員をそれだけで評価してしまう)

    目標が不明確・不適切になりがちなため、目標管理は必要。運用さえしっかりすれば行動を変える即効的な効果がある。目標管理はマネジメントツールである

    役所と企業の人材の比較
    ①役所・・・継続が原則
     企業・・・変革が原則
    ②役所・・何かを始めるとき、マイナスの理由を考える
     企業・・・まずやってみて、うまくいかなければその際考える
    ③役所・・審議会などで情報を収集する
     企業・・・自らでかけていって情報を収集する
    ④役所・・・優秀な人には総じて敵が少ない
     企業・・・尖っている場合が多く、敵が多いことがある

    <目次>
    第1章 未曾有に高まった公務員バッシング
    第2章 公務員人事の何が問題なのか?
    第3章 公平な人事評価のために
    第4章 モチベーションを上げる目標管理
    第5章 公務員もキャリア形成の時代に
    第6章 適切な給与・昇任昇格への反映方法とは?
    第7章 待ったなしの公務員制度改革

  • コラムの所だけ興味があったので。
    本文は、実際に人事院の人がどうやって評価しているのか、また海外との比較。今の日本の機構だと自分のパフォーマンスチェックなんか全然無い。
    イギリスの官と比較して、また自分の今後キャリアデザインのワークシート等。
    コラムは
    哲学、芸術、文化など幅広い教養がある事。その場に応じたユーモアを含んだ会話やスピーチが出来る事。スポーツが出来る事。等。
    行政改革コンサルタントという仕事があって、民間の視点から、民間の経営手法を生かした大胆な提案が出来る。しがらみが無い。
    リッツカールトンの日本支社長、高野登さんの話で、「目指す年収の5%を自己投資しなさい」と言っているんだって。

  • タイトルには公務員とうたっているし、内容も公務員制度に基づいて書かれているが、別に公務員だけに限らず経営体なら全般的に当てはまる本。ただ、これらの知識や認識に欠けている公務員が多いのが問題なのかも。

  • 筆者は元外務省キャリア。公務員の人事評価や目標管理についての提案は具体的で、ある程度説得力がありました。ただ霞ヶ関改革には国会議員との関係を考えないといけないだろうに、それに触れず公務員側の意識改革のみを説いているのはちょっと残念な気も。

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著者プロフィール

山中俊之(やまなか・としゆき)

元外交官。株式会社グローバルダイナミクス代表取締役社長、神戸情報大学院大学教授、芸術文化観光専門職大学教授。
1968年兵庫県西宮市生まれ。東京大学法学部卒業後、1990年外務省入省。エジプト、英国、サウジアラビアに赴任、イスラエルにも滞在し、対中東外交、地球環境問題等を担当する。エジプトではカイロのイスラム教徒家庭に2年間下宿してイスラム教徒の生活を実体験。首相通訳(アラビア語)や国連総会を経験。英国ではキリスト教教会にボランティアとして通う。1995年の阪神大震災で実家が全壊し近親者を亡くし、死生観の重要性を認識するようになり、以後宗教・哲学について見識を深めるべく有識者との議論や世界各地の視察を続ける。2000年、日本総研入社。2009年、稲盛財団よりイナモリフェローに選出された後、2010年に激動の時代に倫理観とイノベーションの両面を持つ経営者・リーダー開発を目指し株式会社グローバルダイナミクスを設立。

「2022年 『世界96カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 「世界の民族」超入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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