沖縄イメージの誕生―青い海のカルチュラル・スタディーズ

著者 :
  • 東洋経済新報社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492222539

作品紹介・あらすじ

「青い海の沖縄」は、どこから来たか。日本復帰によって、沖縄はいかにしてナショナルな物語に組み込まれ、南のリゾートとして変容をとげたか。基地とリゾート、二重の現実を、まったく新しい切り口から解き明かした画期的な書。ビジュアル資料、用語解説、コラムも充実。

感想・レビュー・書評

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  • [more]・イメージが現実を複雑にする
    ┌リップマンの視点
    │現実⇔イメージ 虚⇔実 ずれがある
    │イメージは現実を単純化、ステロタイプ化する 経験の単純化
    └ブーアスティンの視点
     現実/イメージ もはや区別がつかない イメージは複雑な現実を生み出す
     疑似イベントによる経験の複雑化

    二元論から二重論へ

    沖縄はイメージによって複雑化
    単純なイメージと複雑な実際が相並んで進行していく
    パラレルな現実

    ・海洋博によってつくられていった「沖縄イメージ」
    沖縄博世論:県内で起こったマイナスイメージでの海洋博認知
    深刻な反動不況

    ・反動不況から立ち上がった「沖縄キャンペーン」
    (電通の観光振興報告書)
    →沖縄に観光客を引き付けようとする立場 歴史を再構築
    「沖縄の今あるがままをアピールするのではなく演出したいイメージに合わせて新たに沖縄を構築していく作業」

    ・エピステーメー:社会を一定の方向に動かし、変容させ、新たに形作っていく力をもつ知の枠組み

    ・大阪万博→万博の世界化
    その後起こった海外旅行ブームで、今度は「世界の万博化」が始まる(万博的光景を求める観光客のまなざし)

    ・参考:聖と俗
    デュルケームは、宗教と定義する際に、世界を聖と俗の2つの領域に分ける点に宗教の固有な特質があるとした。
    善と悪は相対的な差異だが聖と俗は絶対的な異質
     


  • 大学の課題、案外面白かった。

  • 沖縄がもつ青い海、空。三線やエイサーといった文化。これらのイメージはどこから来たのか。この本はその答えを海洋博によって求めた。現在の沖縄を知るには最適の一冊だと思う。

  • 『沖縄イメージを旅する』の前著。
    沖縄の現在の、「観光・リゾート」と「基地・戦争」という二重の現実はいかに「誕生」したかってことを書いてる。
    筆者曰く、沖縄海洋博がキー。

  • この本はとっても面白いです。

    面白すぎてわたしは愛読を通り越して、幸か不幸かこの本に依存してしまいました。
    ほとんどいつも鞄の中に入っていました。
    「2006年の1冊」です。

    ってレビューになってないな…。

    まぁなんていうか、こういうちょっと批判的な見方としていくのってとっても面白いです。
    カルチュラル・スタディーズ初心者のわたしもすぐに馴染めたとっても良心的な一冊です。

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著者プロフィール

一橋大学大学院社会学研究科教授
著書に『沖縄イメージの誕生』(東洋経済新報社、2004年)、『沖縄イメージを旅する』(中公新書ラクレ、中央公論社、2008年)、『社会学理論のエッセンス』(学文社、2011年)、『いま、「水俣」を伝える意味』(くんぷる、2015年、共編著)、『社会学理論のプラクティス』(くんぷる、2017年、編著)など。


「2017年 『今何が問われているか 水俣病の歴史と現在』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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