善と悪の経済学

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (596ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492314579

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  • 西洋の古典における経済思想を解きほぐし、現在の数理的に割り切った分析に基づく経済学を心を失った社会学として不完全なものとする。
    ギルガメシュ叙事詩や旧約聖書では都市と自然、社会と個人などが対比され現代に通じる自然が不自然化する(服を着るなど)、文明化と経済社会化を記述する。しかし経済社会はいつも倫理とセットであり、ヘブライ社会では経済は重要な項目であったが社会はあくまで神の論理を一番に置いていた。アダムスミスも道徳感情論を主著としていたようにあくまで人間の本質が前提で経済の考え方は後にくるものだと考えていた。ケインズも経済が成熟化すれば誰も経済のことなど考えなくなると予想していた。教養本としてはギリシア哲学、キリスト教思想など西洋のベースとなる思想をカバーしておりためになるとは言えるが、実際に現在の経済を理解する上で役に立つかというとわからない。
    結論としては、現状は過去の倫理学から分かれた政治経済学とは異なり、何度もインセンティブが暴走し経済危機が起こる不安定な状況であり、この倫理を忘れた合理的人間像をベースにした経済学の欠点を浮き彫りにしようとしている。

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著者プロフィール

1977年生まれ。チェコ共和国の経済学者。CSOB(チェコスロバキア貿易銀行)にてマクロ経済担当のチーフストラテジストを、ならびにチェコ共和国国家経済会議の前メンバーを務める。プラハ・カレル大学在学中、20代で初代大統領ヴァーツラフ・ハヴェルの経済アドバイザーとなった。著書『善と悪の経済学』はチェコでベストセラーとなり、刊行後15の言語に翻訳され、話題を呼んだ。2012年、ドイツのベスト経済書賞(フランクフルト・ブックフェア)を受賞。日本ではNHK「欲望の資本主義」シリーズなどに出演したことで知られる。主な著書に『善と悪の経済学 ギルガメシュ叙事詩、アニマルスピリット、ウォール街占拠』(村井章子訳、東洋経済新報社、2015年)、『続・善と悪の経済学 資本主義の精神分析』(オリヴァー・タンツァーとの共著、森内薫ほか訳、東洋経済新報社、2018年)などがある。

「2020年 『改革か革命か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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