スクエア・アンド・タワー(下): 権力と革命 500年の興亡史

  • 東洋経済新報社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492371275

作品紹介・あらすじ

世界を動かすのは、垂直に延びる階層制組織の頂点に立つ権力者か?
あるいは、水平に延びる草の根のネットワークをもつ革命家か?
「人的ネットワーク(スクエア)」と「階層制組織(タワー)」の視点から歴史を捉え直した、比類なき試み。

宗教改革からイスラミックステート、ダヴォス会議まで
不安定な世界のバランスはどう保たれるのか?

ルネサンス、印刷術、宗教改革、科学革命、産業革命、ロシア革命、ダヴォス会議、アメリカ同時多発テロ、リーマン・ショック、フリーメイソン、イルミナティ、メディチ家、ロスチャイルド家、スターリン、ヒトラー、キッシンジャー、フェイスブック、トランプ……

古代から中世まで、人類は階層性のもとに暮らしてきた。ルネサンスに至ると、世界はネットワークを形成しはじめ、近代世界はさまざまな革命や変革を経験するようになる。

テクノロジーの発達した現代は、かつてないほどネットワークが力を得ている時代だ。国家の枠を超えたダヴォス会議や、ソーシャルネットワークのような分散型のネットワークは、今、世界を大きく変えようとしている。

だが、階層性なき社会で我々が手にするのは、自由と平等を謳歌する楽園なのだろうか? あるいは、混乱と無秩序が支配する無法地帯なのだろうか? 歴史を見る目を一変させ、まったく新しい視点で世界をとらえなおす衝撃の書!

【推薦の言葉】
「ファーガソンはシリコンヴァレーが必要とする歴史を提示してみせた」――エリック・シュミット(元グーグルCEO)
「歴史の知識を大きな問題へと関連づける」――インディペンデント紙
「魅惑的で人の心をつかんで離さない」ーーニューヨーク・タイムズ紙
「彼が捉えなおした歴史は、今後何年も影響を与え続けることだろう」ーーガーディアン紙
「ニーアル・ファーガソンは再び素晴らしい本を著した」ーーウォールストリート・ジャーナル紙

感想・レビュー・書評

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  • 上巻のレビューで上下巻通した内容についてレビューを記載しておいたので、この下巻のレビューでは、上下巻に分かれたこの本の体裁について気が付いたことを書いておきたい。

    ジャレッド・ダイヤモンドが『危機と人類』の中で次のようなことを言っている。

    「『昨日までの世界』では、脚注や参考文献をすべて巻末にいれるのではなく、ウェブサイトにも一部は載せた。それでたしかに長さや重さや値段は削ることができた。こうして、ウェブ上の脚注や参考文献を実際に何人の読者が見たかがわかるようになったのだが、一年間に全世界で一人か二人だった」

    『危機と人類』では、そのため「読んで本当に役に立ったと思える文献」だけを巻末に載せたという。

    本書では、そんなことはお構いなしにだらだらと「参考文献」「図版出展」「口絵出展」「用語一覧」が掲載されている。kindle版の表示で、それぞれ本文は全体の80%(上巻)、84%(下巻)と二割近くがそういった参照に当てられる。しかも章末参照はこれとは別にある。特に問題なのは「用語一覧」で、掲載ページを記載せずに単に用語を一覧にして掲載しているだけで、何の役にも立っていない。しかも上巻・下巻ともに同じものを載せている。おそらく掲載ページがないのはkindle版だけなのだと思われる。なぜならkindle版ではページ数という概念がないからだ(代わりに位置No.というものがある)。さらにkindle版なら単にその用語を検索すれば事足りるので、用語一覧自体の存在意義がないのである。それなのに、これらがかなりのページを取っているのである。

    そもそも上下巻を別にするのは、紙の本を高く売るための方便であり、特にこの手の本は『サイエンス全史』あたりから上下巻セットで並べることでそのカテゴリーの本であることが喚起され、より魅力的に映るということもあるだろう。1冊の値段にすると高いが、2冊に分けると1冊辺りの値段としては安くなるので、割高感をあまり感じさせることなくお金を出させることが可能だろう。そのためにも1冊はできるだけそれなりの分厚さになる必要があるためにこういう巻末参照のページを長く取っているとすると悲しいことだ。

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    『スクエア・アンド・タワー(上): 権力と革命 500年の興亡史』(ニーアルファーガソン)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4492371265
    『危機と人類(下)』(ジャレッド・ダイヤモンド)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4532176808

  • h10-図書館2022/03/18ー期限延期4/8 未 返却4/3h10-図書館2022/04/19ー期限5/3 読了4/27 返却4/28

  • 私が不勉強なところもあるけど、やはり内容が難しい。
    何が筆者の主張なのかは最後まで読んだが、いまいち分からなかった。

  • ふむ

  • 歴史、政治、経済、戦争、テロリズム、そしてテクノロジーと近代史の包括的な考察としては面白い。権力体制と(革命含めた)イノベーションの変遷という観点では興味深く読めたが、全体を貫く幹を秩序型階層制と分散型ネットワークと定めたのはやや誤りだったかもしれない。散漫さと強引さが否めない。安定的社会情勢では階層制(すなわち官僚制)が機能し易く、そこへレジリエンスなネットワークが登場しパラダイムシフトして再び階層制に収斂していくというのは歴史の常だが、そこに着眼点を置き新しい学びがあったかというと難しい。随所で登場するノードとエッジの分析は面白かったが。

    第8部以降は面白いが上下800ページ超の大著であることを考えるとそれに値するかは判断が難しい本だ。

  • 現代における社会的ネットワークに関する考察が盛り沢山。上巻の長い歴史の描写は、ここに至るのかと、目から鱗。

  • 出版がもう少し遅ければ、現在のコロナウイルスを巡る騒動もまるまる1章分費やして分析されていたであろうが、結末を予見させるような記述も多い。
    世界中がネットワーク化された時代になっても中国のような一党独裁国家の支配が、脆弱になるどころかますます強大になっているのは、中国共産党そのものが内部で引き立てや同志のつながりといった複雑なネットワークを持っているためで、今回の未曾有の国難に際して、批判をかわしつつも今のところ無秩序な混乱状態に陥っていないのは、権力構造が見かけほど単純な垂直構造でないことを示している。

    逆に西側諸国の権力構造の方が実は内部のつながりが貧弱で、本書にも指摘されたキッシンジャーのような国外の政治家とも幅広く交流を持つ人物がおらず、規則や規制ばかりに囚われた「行政」国家に陥っていて、各国が連携もできず場当たり的で柔軟性に欠けているのも、読みながらいちいち合点がいった。

    そもそも現在のネットワーク社会も、確かに以前のそれと比べ、大規模でかつ誰でも利用できるものになってはいるが、その内実は少数のハブが多数のノードの上に君臨した階層構造で、ちっともユートピア的なものではない。

    最も面白かったのはネットワークと不平等の関係だ。
    「社会的ネットワークの不平等は、補完物の場合は市場によって増大するが、代替物の場合は低下する」という定理は、著者が草分け的と評するGagnonらの論文からの引用で、要は新しいネットワークが既存のネットワークに取って代わった時には、ムンバイの労働者のように経済の自由化で不平等は是正されるが、逆に既存のネットワークである市場と手を組み、お互いに補完するようになると、携帯電話を手にしたケララ州の漁師のように、最も高値をつける漁港に水揚げできたものが収益を独占する。

  • 引き続き階層制とネットワークの相互関係という視点から歴史を眺める。第一次世界大戦でドイツが試みたイスラム教徒の扇動から第二次世界大戦、冷戦、インターネットやテロ、革命、トランプといった話まで及ぶ。
    膨大な知識が著者にあるんだろうなということはよくわかった。読んでてネットワークと言えば、と思ったマクリスタルにも当然触れられていた。
    アンソニーケネディ裁判官の言葉、「インターネットはたんに現代の公共広場にすぎない」に表されているとおり、テクノロジーに関係なく、階層制とネットワークの緊張関係は人間の歴史とともに存在してきたし、これからもそうだろうというのは明察だと思う。

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著者プロフィール

ニーアル・ファーガソン
世界でもっとも著名な歴史家の1人。『憎悪の世紀』、『マネーの進化史』、『文明』、『劣化国家』、『大英帝国の歴史』、『キッシンジャー』、『スクエア・アンド・タワー』など、16点の著書がある。スタンフォード大学フーヴァー研究所のミルバンク・ファミリー・シニア・フェローであり、グリーンマントル社のマネージング・ディレクター。「ブルームバーグ・オピニオン」にも定期的にコラムを寄稿している。国際エミー賞のベスト・ドキュメンタリー部門(2009年)や、ベンジャミン・フランクリン賞の公共サービス部門(2010年)、外交問題評議会が主催するアーサー・ロス書籍賞(2016年)など、多数の受賞歴がある。

「2022年 『大惨事(カタストロフィ)の人類史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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