- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492502150
作品紹介・あらすじ
本質への回帰。万学の祖から、マネジメントの原点を学ぶ。二千数百年を生き抜いた知的遺産からの啓示。
感想・レビュー・書評
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古代ギリシアの知、アリストテレスは、どのような言葉を残したのかと気になって読んでみました。
ただ、サブタイトルにもあるように、経営に即した内容となっており、その分野の知識が浅い私には難しく感じました。
それでもわかる範囲で読んでみると、なかなかおもしろいことも書いてあります。
たとえば、永遠の循環議論である「ニワトリが先か?タマゴが先か?」の結論は、「時間軸を入れてニワトリが先」なんだそう。
永遠の謎だと思っていましたが、ハッキリと書かれているのを見たのは、この本が初めてです。
「ニワトリという現実性のある存在なくば、タマゴという可能性は生まれない」というのがその根拠だそうです。
クロネコヤマトの生みの親の小倉昌男は、慣れないトラックドライバーをにこやかで感じの良いサービスマンに仕立てるために徹底的に訓練したという話も紹介されていました。
最近の百貨店の凋落や、アメリカで裁判沙汰となったトヨタの品質管理問題などを採り上げ、「現場の知や従業員の勤勉さにかまけて、そこにおける経験を本当の意味で後に変える努力を行ってきた企業が多い」と評しているのも、手厳しいながら真実だと思います。
ただ、概して文面も内容も私には堅苦しく難しく、あまりピンときませんでした。
巻末に紹介されたアリストテレスの生涯に興味が湧きました。
彼はアレキサンダー大王が13歳のころの家庭教師だったのに、国王になった後にはなぜ仕えなかったのか?
著者は「マイペースな行き方だから」と評しています。
また、プラトンの死後、後継者問題で所属していたアカデメイア学園を離れたり、アレキサンダー大王の早すぎる死後、殺害を疑われてアテナイを追われたという、案外流浪の人生を送っていることも知りました。
さほど長生きせず、おそらくは孤独死だっただろうとのこと。
今度は彼の伝記を読んでみようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いくつかのアリストテレスの言葉を紹介しながら、その解釈を「経営への示唆」としてコンパクトにまとめています。野中郁次郎氏も、近年の論文でアリストテレス哲学のコンセプトを経営学に敷衍していますが、本書の内容もなかなか興味深いものがありました。