ユーザーイノベーション: 消費者から始まるものづくりの未来

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492533352

作品紹介・あらすじ

これまでイノベーションというものは、メーカーや研究機関からの専売特許と見られてきたが、インターネット技術の進歩に伴い、広く消費者にイノベーションの道が開かれるようになってきている。この「イノベーションの民主化」によって、企業の製品やサービスづくりが大きく変わり、多様なイノベーションが一気に広がろうとしている。それはまた、「消費者の叡智」をうまく取り込むことで、企業は少ない費用で魅力的な製品を開発できるようになることを意味している。本書は、消費者イノベーションについての世界最先端の研究成果をもとに、新しい製品・サービス開発と経営のあり方を説いたものである。マウンテンバイク、マスキングテープ、クックパッド、カヤック、初音ミク、レゴ、無印良品、エレファントデザイン、イノセンティブ、3Dプリンターなど、多くの先進事例も取り上げられている。

感想・レビュー・書評

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  • 「イノベーションは企業だけでなく一部の消費者=リード・ユーザーが無視できない大きさを生み出している」ということを、「どの層のユーザーがどの部門でどの程度」生み出してるのかを定量的に示しながら、マスキングテープ、レゴ、クックパッド、初音ミクなどの具体例を挙げた本。

    それによると、リード・ユーザーは消費者全体の1~2割程度だが、その研究・投資(本人は工作気分)の合計は、部門によっては企業の研究・投資総額を上回ることすらあり、コミュニティに属しながら多様なバックグラウンドと豊富な知識を持つリード・ユーザーは、企業よりもはるかに低費用でイノベーションを実現することが示されている。
    本書では触れられていないが、出版・書店業界では、かなり以前からケータイ小説、ブログの書籍化などの形で、イノベーティブ・ユーザーを企業が取り込んで来たと思う。

    産業財や消費財(=有形財)がメインで扱われているけれど、サービス(=無形財)でもおそらくユーザーイノベーションを取り込むことは可能で、オープン・サービス・イノベーション(http://booklog.jp/users/hirokimitsuda/archives/1/4484121131)と組み合わせて読むと良いと思う。

    文章は読みやすいけれど内容が1冊の中で重複している感じもあり、もっとコンパクトにするか、内容が多いともっと良かった。

  • これだけ技術が進めば、ユーザー・イノベーションをすることも、まああるだろう、くらいの感覚で読み始めた。

    すこし古い本ではあるが、かなりなるほどというか、今読んでも、そんなこともあるのかの驚きがあった。

    にもかかわらず、本を読み進めるにつれて、だんだん面白く無くなってくるのはなぜかな???

    いい本だとは思うが。。。。

    もうちょっと、こうした事例のもつインプリケーションみたいなのに驚きが欲しかったのかな?

    と無い物ねだりか。。。。

  • ・専門家に対して一般消費者の嗜好、考え方は揺れ動く。動く消費者の嗜好から生み出され集計化される「群衆の知恵」もある。

    ◉イノベーションを起こすリードユーザーの条件
    ・ニーズに先行的に直面している
    ・期待便益が大きい

    ◉リードユーザー発見のアプローチ
    ・標的市場の最先端に注目
    ・似てる市場の最先端、極端課題に直面するユーザーに注目

    ※スクリーニングよりピラミッディング

    ◉CCC(集団的顧客予約)は延期やマスカスタマイザーション(部分ごと選択)より市場リスク削減。
    実績のない革新的製品開発か、小規模で不均質な市場に向いてる。

    ◉多様性が能力に勝る。
    母数が大きくなる場合(消費者の多様性)、能力(製品開発担当)に勝ることがある。

  • 消費者のことを考えなければですね。

  • マーケティングで消費者行動のはイノベーティブな消費者が存在していて、その顧客と接点を持つことが商品開発に非常に有効だからである。
    企業の製品開発が消費者との相互関係が成立し始めたまさに現代のマーケティングを学ぶ人に必要な本。

  • 久しぶりに新しいアイデアが浮かぶ良書と出会えた。この知見を積み重ねていきながら、いま進め、挑戦している研究に活かしていきたい。

  • 今まで本書のようなアプローチをとったことがなかったので参考になった。

    ただ、なぜ企業はいまだにユーザーイノベーターを評価しないことが多いのかについて、もっと踏み込んだ分析が必要だろう。

    そうでないと、本書の内容が極端事例で終わりかねない。

  • 新たな視点を得た

  • 2015.11.2

  • これまでイノベーションを起こすのは大企業や大学、大きな研究所等であると思われ、各種施策も消費者自身もそう思っていたが、ITやもの作りの環境が変化・進化・一般化したことで、イノベーションが一般消費者でも起こせるようになっている。本書でとりあげられている商品だけでなく、確かに身近にそういう事例が増えている気がする。マスキングテープの事例では消費者がいろいろ自前で調査を行い、ニーズの確かな証拠をもってメーカーを動かすことに成功したわけだが、技術の進歩や低価格化によって、この「証拠集め」が簡単になっているのだと思う。3Dプリンターの普及などはまさにこれに拍車をかけるだろう。一方、たいていのものが揃ってしまう状況では、ユーザーイノベーションも起きにくいのではないか。この点、「リバースイノベーション」との組み合わせで考えると面白い気がするが、さて、どうしよう。

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著者プロフィール

小川 進(オガワ ススム)
神戸大学大学院経営学研究科教授、MITリサーチ・アフィリエイト
1964年兵庫県生まれ。87年神戸大学経営学部卒業、98年マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院にてPh.D.取得。2003年より現職。研究領域は、イノベーション、経営戦略、マーケティング。
主な著作に『イノベーションの発生論理』『はじめてのマーケティング』(ともに千倉書房)、『競争的共創論』(白桃書房)、『ユーザーイノベーション』(東洋経済新報社)がある。
英語論文では、フランク・ピラーとの共著“Reducing the Risks of New Product Development”やエリック・フォン・ヒッペルらとの共著“The Age of the Consumer-Innovator”(ともにMIT Sloan Management Review掲載)などがあり、ユーザーイノベーション研究では世界的な評価を得ている。組織学会高宮晋賞(2001年)、吉田秀雄賞(2011年、準賞)、高橋亀吉記念賞(2012年、優秀作)などを受賞。

「2020年 『QRコードの奇跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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