ナラティブカンパニー: 企業を変革する「物語」の力

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492558003

作品紹介・あらすじ

戦略PRの第一人者が伝授!

ナイキ、ソニー、アマゾン、メルカリほか、
豊富な事例に学ぶ「企業と生活者が共に紡ぐ物語」のつくり方

味の素冷凍食品:冷凍餃子は「手抜き」ではなく「手間抜き」です
パンテーン:「#この髪どうしてダメですか」
WHILL:車椅子→パーソナルモビリティとして再定義
ネットフリックス:世界一のDX企業に備わる共創構造

【ナラティブを実践する5つのステップ】
STEP1 パーパスの設定:ナラティブの「起点」を定める
STEP2 パーセプションの形成:ナラティブの「目的」を明確にする
STEP3 ナラティブスクリプトの作成:ナラティブを「描く」
STEP4 マルチエンゲージの展開:ナラティブを「共創」する
STEP5 効果の測定:ナラティブを「はかる」

【主要目次】
PART1 なぜナラティブが求められるのか?―ニューノーマルの3つの変化
 1「共体験」価値の高まり
 2「社会的距離」の見極め
 3「自分らしさ」が問われる

PART2 ナラティブを実践する5つのステップ
 STEP1 パーパスの設定:ナラティブの「起点」を定める  
 STEP2 パーセプションの形成:ナラティブの「目的」を明確にする  
 STEP3 ナラティブスクリプトの作成:ナラティブを「描く」 
 STEP4 マルチエンゲージの展開:ナラティブを「共創」する
 STEP5 効果の測定:ナラティブを「はかる」
   
PART3 企業価値に直結するナラティブ
 1 ナラティブ力を発揮する達人たち
  トランプもナラティブの達人
  ナラティブ不在の「アベノマスク」
  「こんまり」のナラティブ
 
 2 ソーシャル・レスポンシビリティ:責任を果たすナラティブ
  SDGs達成にも欠かせないナラティブ
  ユニチャームの事例:「生理について気兼ねなく話せる社会」をつくろう
  メルカリの事例:創業の原点は「なめらかな社会を築く」

 3 ビジネストランスフォーメーション:変革を進めるナラティブ
  ネットフリックスの事例:世界一の変革企業に見るナラティブ性
  objct.ioの事例:自分たちが欲しいと思うバッグをつくる

 4 ビヘイビア・プリンシプル:行動を起こすナラティブ
  アマゾンの事例:パワポは禁止、ナラティブを書く
  SUNDREDの事例:「新産業共創」の「拠りどころ」となる

 5 ナラティブカンパニーの時代
  ナラティブは企業価値に直結する
  ビジョナリーカンパニーからナラティブカンパニーへ

感想・レビュー・書評

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  • ■ナラティブとストーリーの違い
    起点:創業者や企業の強い思い
    演者:生活者 VS 企業やブランド
    時間:常に現在進行形、「これから起こること」を含めた未来の話 VS 始まりと終わりが存在する、起承転結型
    舞台:社会全体 VS その企業が属する業界や競合環境

    ■ナラティブカンパニー
    「ナラティブ(=物語的な共創構造)」を生み出し、その構造の中でマーケティングや広告・PR活動を行うことで、業績や企業価値の向上を果たしている企業

    ■ナラティブ実践の5つのステップ
    STEP1 パーパスの設定:ナラティブの「起点」を定める
    STEP2 パーセプションの形成:ナラティブの「目的」を明確にする
     ①形成すべきパーセプションを言語化する
     ②対象がカテゴリーかプロダクトかを判断する
     ③5つの形成要素を活用する
      事象、リテラシー、グループ、タイミング、コントラスト
    STEP3 ナラティブスクリプトの形成:ナラティブを「描く」
     ①ナラティブの「タイトル」を決める
     ②範囲を決め、余白を残す
     ③未来のステークホルダー体験を組み込む
    STEP4 マルチエンゲージの展開:ナラティブを「共創」する
     「ターゲットのマルチ化」
     「メッセージのマルチ化」
     「タッチポイントのマルチ化」
    STEP5 効果の測定:ナラティブを「はかる」
     ①「5つの指標」でナラティブスクリプトを検証する
      共感度、伝播度、社会福利度、ブランド関与度、認識変容度
     ②「トリプルアウト」で成果を測定する
      アウトプット、アウトテイク、アウトカム
     ③現在進行形のPDCAを回す

    ■ベネフィット市場
     ブランドが提供するベネフィットや、そのベネフィットが解決するジョブに基づく市場。異なる製品カテゴリーのブランド同士が競合する場となっていて、新しい創造につながることがある。

    ■アマゾンのナラティブライティング
    ①曖昧な形容詞を使わない
    ②オーディエンスは誰かを把握しておく
    ・プレスリリースの書き方
     「5つの質問に答える」
     ・お客様のニーズ、ウォンツにフォーカス
     ・お客様の”声”が決め手
     ・未来を想像する:Think Big
     ・専門用語は避ける
     ・シンプルに明確に述べる
    ・FAQ よくある質問の書き方
     Customer FAQ
     ・提供するもの、新しいCXの詳細を明確に
     Stakeholder(Internal)FAQs
     ・聞かれたくない、タフな質問を入れる
     ・プロジェクトの成功の指標は何か
     ・何がブロッカーとなりそうか?
     ・なぜ我々がやるべきなのか?
     ・技術:どんな手段、リソースが必要?
     ・財務:ビジネスインパクトは?
     ・法務:問題となりそうな規制は?

  • 最近ビジネスセクターでもよく言われるようになった「ナラティブ」のキーワードについてよく概要、事例、作成のステップをわかりやすく解説している。自社起点のストーリーではなく、ユーザーとともに「共体験」つくること、その体験は未来の体験を含むべきことなど、わかりやすかった。メディアを大きく巻き込む広報展開自体は事例でも紹介されているような大企業じゃないとという部分もあったが、ナラティブの構造や価値自体は中小組織やNPOでも活用できる。福祉などすでに他分野で言われてきた「ナラティブ」との関係などへの言及もあるとなおよかったが概ね満足。

  • ストーリーテリングが広まって久しく、今や企業ストーリーやブランドストーリーで溢れています。一方的に語られるストーリーとは異なり、ナラティブという“共創”のアプローチが注目されています。医療や教育においては以前から用いられていた考え方です。

    ナラティブとは物語的な共創構造のことであり、ストーリーとは異なります。
    ストーリーの役者は企業やブランドだが、ナラティブはユーザー“あなた”も登場人物。ストーリーは起承転結があるが、ナラティブには終わりが無い。未来をも包括します。ストーリーは企業視点だが、ナラティブは社会視点。
    ナラティブとは一方通行な発信ではなく物語的なコミュニケーション手段そのものです。ワンメッセージやワンアクションではナラティブは実現せず、共体験が重要になります。

    万人が共体験をしていた時代が終わり様々な価値観や関心に細分化され、共体験の価値が増しました。共感は一時的な感覚だが、共体験は価値を共有することです。作品が作られていくプロセスの共有や、商品やサービスの企画開発に参加できるなど、様々な共体験が広まりました。
    マーケティングとして意図的に仕掛けたものではなくとも様々な形で既に共体験化されていることも多く、ポテンシャルが高い反面、その本質を捉えられていなければ批判・炎上などが起きかねないということを、「100日後に死ぬワニ」を例に挙げ語られています。

    また、ナラティブの起点はパーパス。その企業・ブランドの存在意義です。そしてパーパスに基づくオーセンシティや、パーセプションの重要性にも触れられています。

    オーセンシティは信頼がおけることや真実性です。コロナ禍やネット炎上などこれまでに無かった様々な事態においても企業やブランドが信念と行動に一貫した姿勢があるかは、ユーザーにとって信頼できるかどうかという点でより注目されています。
    パーセプションは認識のことであり、消費者の購買行動に関係する大きな要素を表します。「こういうイメージを持って貰いたい」という主観ではなく客観的にどのように見られているかを正しく認識することが、パーセプションチェンジの実現においても必要になります。

  • サービスや製品全体としてビジョン・ミッションは策定されていても、
    ・社会の流れや重要なニュースを汲むこと
    ・関係者を主役にした進行形の物語を作ること
    ・認知ではなくパーセプションを変えること
    などを踏まえて一歩深く考えるナラティブを検討することで、ひとつひとつのPRやマーケティング施策に一本筋が通り、伝えるべきことが明確になり、ぐっと効果的になりそうです。
    1500字のナラティブ具体例などもあり、チームで検討に取り組む教科書にすぐできそう。
    言及されている「ナラティブ経済学」も面白そう。
    (Kindle版で読みました)

  • ナラティブとは 共創 終わり(結末)のない

  • ナラティブが重要視される理由と、企業がどのように利用しているのかをわかりやすく解説。

    そして、どのように利用するのかをPRの視点から概説しています。

  • PART1 なぜナラティブが求められるのか?―ニューノーマルの3つの変化
     1「共体験」価値の高まり
     2「社会的距離」の見極め
     3「自分らしさ」が問われる

    PART2 ナラティブを実践する5つのステップ
     STEP1 パーパスの設定:ナラティブの「起点」を定める  
     STEP2 パーセプションの形成:ナラティブの「目的」を明確にする  
     STEP3 ナラティブスクリプトの作成:ナラティブを「描く」 
     STEP4 マルチエンゲージの展開:ナラティブを「共創」する
     STEP5 効果の測定:ナラティブを「はかる」
       
    PART3 企業価値に直結するナラティブ
     1 ナラティブ力を発揮する達人たち
      トランプもナラティブの達人
      ナラティブ不在の「アベノマスク」
      「こんまり」のナラティブ
     
     2 ソーシャル・レスポンシビリティ:責任を果たすナラティブ
      SDGs達成にも欠かせないナラティブ
      ユニチャームの事例:「生理について気兼ねなく話せる社会」をつくろう
      メルカリの事例:創業の原点は「なめらかな社会を築く」

     3 ビジネストランスフォーメーション:変革を進めるナラティブ
      ネットフリックスの事例:世界一の変革企業に見るナラティブ性
      objct.ioの事例:自分たちが欲しいと思うバッグをつくる

     4 ビヘイビア・プリンシプル:行動を起こすナラティブ
      アマゾンの事例:パワポは禁止、ナラティブを書く
      SUNDREDの事例:「新産業共創」の「拠りどころ」となる

     5 ナラティブカンパニーの時代
      ナラティブは企業価値に直結する
      ビジョナリーカンパニーからナラティブカンパニーへ

  • まあ、パーパスもちゃんと伝えないとね

  • 概念と事例が交互に展開されるので、活字慣れしていなくても頑張れば読める。
    実践のステップも公開されており理屈はわかる…が、独学で試行するにはある程度の論理的思考が求められるので気軽に試せるものではない。

  • ナラティブという概念を学ぶにはとてもよい本。多くの事例もあるので参考になる。

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著者プロフィール

本田事務所代表/PRストラテジスト「世界でもっとも影響力のあるPR プロフェッショナル 300 人」に 『PRWEEK』 誌によって選出されたPR専門家。1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードに入社。2006年にブルーカレントを設立し代表に就任。09年に「戦略PR」(アスキー新書)を上梓。P&G、花王、ユニリーバ、サントリー、トヨタ、資生堂、ロッテ、味の素など国内外の企業との実績多数。19年より株式会社本田事務所としての活動を開始。著書に「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力」(東洋経済新報社)など多数。国連機関や外務省のアドバイザー、Jリーグのマーケティング委員などを歴任。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。

「2022年 『パーセプション 市場をつくる新発想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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