AI時代に生きる数学力の鍛え方: 思考力を高める学びとは

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492762554

作品紹介・あらすじ

クリエイティブになるには、数学力を高めるのが早道だ!!
 
AIが進化した今日、人間に求められるのは考える力や創造力であり、学校で学ぶ算数・数学は、実はそうした力を養うための絶好のトレーニングになります。

ところが現在、日本の算数・数学教育では、定理や解答を導く論理を飛ばして、テストの答えを「当てる」ためのやり方の暗記だけをさせるような学習がはびこっています。これを著者は、「暗記数学」と呼んで批判します。そうした教育では、物事を順序立ててとらえ、論理的に考える力を養うことにはまったくなりません。

そもそも「やり方を暗記して速く計算して答えを出す」といったことは、計算機が得意とする分野であり、人間がそこで計算機と競争しても適うはずがないのです。人間はむしろ、AIを良きパートナーとして共存することを目指すべきであり、計算機と競わない領域で活躍することに軸足を置くべきでしょう。

本書は「暗記数学」式の教え方のどこが悪いか、論理をきちんと教えるとどういう説明になるかを多数の実例を用いて解説します。小中高校生の父母は思わず納得、読み進むうちに数学的・論理的思考とはどういうものかが実感でき、今からでも実践できるので、ビジネスパーソンが読んでも遅すぎることはありません。

【主な内容】
第Ⅰ部 暗記数学の弊害と克服
第1章 暗記数学とは何か
第2章 数学的に考えることが苦手になるわけ
第3章 わが子を暗記数学に陥らせないための習慣
第4章 AI時代に必要な思考力を高める学び
第Ⅱ部 考える力を養う算数・数学の学びとは
第Ⅱ部の読み方 例題を通じて、ダメな学習法と良い学習法を知る
第5章 算数に見る暗記数学の罠
第6章 算数が好きになる話題
第7章 中学数学に見る暗記数学の罠
第8章 中学数学が好きになる話題
第9章 高校数学に見る暗記数学の罠
第10章 高校数学が好きになる話題
補章 AIを視野に置いた数学の学び方

感想・レビュー・書評

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  • 【電子ブックへのリンク先】
    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/muroran-it/bookdetail/p/KP00041291/
    学外からのアクセス方法は
    https://www.lib.muroran-it.ac.jp/searches/searches_eb.html#kinoden
    を参照してください。

  • 暗記数学を否定し、ちゃんと考えろって話

  • AIが発達してきた現代において、人間には応用力と創造力が必要とされる。それらの力を養うには数学の定理や公式が成立するプロセスに目を向けて深く理解していくことが必要である。

    数学に限らず、物事を理解するには結果だけでなくそこに至るプロセスや解法に目を向けるべき。当たり前のことではある。

  • 〈丸善eBook Library〉本文リンク
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000098831

  • これからの時代、数学はとにかく大事だよ、ということを只管訴え続ける本。
    2019年3月に文科省と経産省が発表したレポートに「第4次産業革命」が現在進行しており、そのために欠かせないのは科学が3つあり、『第1に数学、第2に数学、そして第3に数学である』と述べられているそうです。
    数学は将来役に立たないと言われたり、そう思っている人も確かに多いですが、本書では、それは役に立てられるような学びをして来なかった人であるとのこと。いや、むしろ、役に立てられるような教育を受けられなかった被害者という位置づけが語られます。とにかく、前半はゆとり教育への攻撃は辛辣ですが、納得のいく主張です。
    ただテストの点数を取れればいいという「暗記数学」をやり玉にしています。
    数学のいくつかは確かに暗記する公式などはありますが、公式や定理を暗記し、問題を解き、そのあと公式の証明を学ぶのはむしろ適切な学びであり、問題なのは「解法と答えのみ覚えること」であることです。
    指摘で面白かったのは、「分かりやすい」というのは二つの意味があって、一つは「理解しやすい」ということと「暗記しやすい・覚えやすい」の二つがあり、理解を促すために、丁寧に長い文章で説明する数学の解説に対し「回りくどい、説明が長い」という頓珍漢な指摘をする人がいるそうな。簡単に覚えられて、パパっととある問題が解けるようになることと、数学ができるようになることは違うということがよくわかりました。
    例えば、自分は、いわゆる純粋な数学のテストを受けることはないが、子供が数学できるようにうまく誘導するため、人間とAIの決定的な違いである思考力を育めるようにするにはどうすべきか、といった観点で読むと面白いと思います。
    個人的には、ヘロン公式の証明の数式と図入りの解説がとてもグッドでした。

    なんとなく、中学受験をさせたいお子さんをお持ちの理系のお父さんが読むと、学校選びの基準(どんな教育方針なのかを判断する)にもいいのでは!?とも感じました。

    その他、いい言葉だなと思った点。
    ・1965年のノーベル賞学者 朝永振一郎の言葉「不思議だと思うこと、これが科学の芽です」
    ・将棋の藤井聡太二冠の言葉「今は対決の時代を超えて、人間とAIは共存時代に入ったのかなと面ます」

  • 請求記号 410.7/Y 94

  • 数学教育に携わる者として読まねば、と。具体例も豊富で、わかりやすかった。根本理解の大切さ、理解したときの学習者の喜び、大事だよねー

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著者プロフィール

芳沢 光雄(よしざわ・みつお):1953年東京都生まれ。東京理科大学理学部教授、桜美林大学リベラルアーツ学群教授などを歴任し、現在は桜美林大学名誉教授。理学博士。国家公務員採用I種試験専門委員(判断・数的推理分野)、日本数学会評議員、日本数学教育学会理事も歴任。著書に『新体系・大学数学入門の教科書』『新体系・高校数学の教科書』『新体系・中学数学の教科書』(各上下)(講談社ブルーバックス)『中学生から大人まで楽しめる 算数・数学間違い探し』(講談社+α新書)『AI時代に生きる数学力の鍛え方』(東洋経済新報社)など多数。

「2024年 『数学の苦手が好きに変わるとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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