- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784494019472
感想・レビュー・書評
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主人公である「ぼく」にある日突然ゲームの招待状が送られてくる。初めは喜んでいたぼくだったが、四人の仲間と進むうちにゲームらしくないゲームの内容に疑問を抱き始めて…という話。
「おれたちは、みんな、ひとりひとりが複雑で、血のかよった人間なんだ。でも、油断すれば、子どももおとなも、そんな複雑な人間を単純なキャラとしてあつかってしまうんだ……」
表紙の折り返しに書いてあるこの文章が作品全体を表している。なかなか斬新なテーマ。しかも面白かった。
終盤、真相がわかっていく過程で、正義感に胸を痛めてから二転三転ある展開が良い。読者としての自分も同じように憤り、同じように過ちを犯していたのではないかとハッとさせられる。そんな単純な話じゃないんだ、という作者の想いが伝わってくる。
情報の多さと戦うために分類という武器を手に入れたが、しかし時には使い方を間違えているのではないか?という現代人への問題提起にもなっている。
インターネットを常用している人は子供も大人も読んでみると得るものがあると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「小学生モニターに選ばれた5人はオンライン上のバーチャル空間で出会う。なぜ5人だけが選ばれたのか。謎を解くためにはこのゲームをクリアしなければならない。つぎつぎと襲いかかる恐怖。明らかになる秘密。そしてついに5人は自らの「罪」と向き合う…。
ケータイや、インターネット掲示板の匿名性がはらむ危険。「学校裏サイト」などでの言葉の暴力による誹謗中傷。そして、なくならない「いじめ」…。
この作品は、3D世界に放りこまれて、現実とフィクションの区別がつかないまま犯した自らの罪を自覚する子どもたちの心の葛藤の物語であり、何々キャラという疑似人格重視の人間関係が横行する現代社会への問題提起でもあります。」 -
小学生の自殺がテーマのひとつになっており、タイトルや表紙のイメージとアンバランスな印象。
小学校高学年を読者の対象とし、「自殺」「ネット掲示板による個人攻撃」を考えさせる狙いもあるようだが、RPG設定の冒険的なストーリーの上に重いテーマということで、はたして小学生に作者の意図がどれだけ伝わるか、不安な面もある。
ただ、この本を通じて少しでも子供が考えるきっかけになれば、それは役割として大きいことかもしれない。 -
装丁やあらすじからして、たぶんあまりいい展開にはならないだろう、なっても何かしこりが残りそう、というのが第一印象。
・フィクションによる誤った学習(それでも娯楽から正しい学習があることを信じていたい)
・想像して貼ったラベルと現実・実情が一致しないこと
・ネット上では話し手が本当に伝えたいことと受け手が解釈したことが一致しないこと、表現と中身が一致しないこと
・例え対面であっても、想像だけで済ましてはいけないこと
いつ誰が誰を傷つける言葉を言ってしまうか分からないが、言ってしまった後に、謝ったり誤解を解いたり真偽を確かめたりすることはネット上では難しい。下手すると二度と届かなくなってしまう。そのことを再認識する。 -
2014年10月23日
装丁/松沢寛デザイン事務所 -
今時の子供とかひっくるめて大人は言うけれど、みんな違う個々の子供たち。外見や名前からは想像もできないほど中身が違うことだってある。
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図書館の児童書コーナーで目がついて読んでみました。
児童書だし、と気楽に構えていましたがなかなかどうして、読み応えがありました。
とある小学校を舞台にした3Dゲーム。
主人公「ゲームマスター」、体格のいい「ガキ大将」、ヒロイン風「リスリス」、賢そうなメガネ男子の「ハカセ」、同じく知的で落ち着いた雰囲気のメガネ女子「メガコ」……と、主要人物は個性豊かで分かりやすいです。
襲い掛かってくる敵を命がけで倒しながら、目的地である6年1組の教室を目指すうちに見えてくる真実……。
ラストはありきたりと言えばいえますが、考えさせられる結末でした。
イジりかいじめか、インターネット掲示板の怖さ、「キャラ」という言葉の意味……。
私が小学生だった昭和の時代にはなかった問題を、親になった今改めて真正面から受け止めるべき時期が来たのだと実感しました。
子供が高学年になったら勧めてみたい本です。