- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784494020607
作品紹介・あらすじ
ぼくたちは、名前を失いかけていた。大切にしていたものや、大好きなものや、家族や友だちを失いかけていた。一つの大きな「ゼンタイ・モクヒョウ」に向かって「ジュウゾク」させられていた。なぜ、こんなことが起こっているのか、わからなかった。なんのために生きているのか、わからないまま生きていた。名前ではなく番号で呼ばれる灰色の世界を舞台に、大切なものを守るために何ができるかを問う少年少女向けSF小説。
感想・レビュー・書評
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未来の地球だろうか?
ぼくたちは名前を奪われ、教室内では質問は禁止され、ジュウゾクすることだけが求められていた。図画工作や音楽の授業はなくなり、図書館の本も燃やされることになる。焚書だ。
本を奪いのは、「想像する力」や「創造する力」や「ひとりで考える力」を取り上げるためなんじゃないかとぼくは考える。
草、木、虫、生き物、森、自然が消えていった。
人間から個人や人格を奪うために、豊かな心を奪わなくてならない。それには豊かな自然を破壊する必要があるという。
この世界は、未来に起こりうるだろうか?
ぼくたちは、平和を求めてこの星を脱出する。
その星とは?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
児童書。
近未来SF。
不思議なもやぁっとした世界だと感じていたが、大切なものが次々無くなっていき、子供は何か強いものから無理やり強制させられて過ごしているのかもしれないと感じた。
戦争はこわい。
戦争は自分で自分の国を、自分の大切にしているものを破壊すること。
平和な緑の星を守るために、どうすれば良いのか?考えさせられる内容。
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ノアの方舟。
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ゼンタイモクヒョウとかのせいで自由がなくなり、悲しかった。最後にやっと意味がわかった。
自由がなかったらいけないということを学びました -
2021.11.09
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最後まで気付かなかった。地球からどこか逃げる場所はあるのか…
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最初は不思議な話だと思って、読んでいくうちに止まらなくなった。ゼンタイ・モクヒョウに向かってジュウゾクする人たち。名前はない、緑も、音楽も、本も消されていく世界。もしこんな世界だったらと思うとゾッとする。
みんなが目指した平和の星が緑色をした、「ちきゅう」。安全な、平和な星のままであってほしい。 -
思わず窓を開けた。
当たり前のように、鳥や虫の鳴き声が聞こえた。
子供の笑い声が聞こえた。
風に吹かれて揺れる、木々の音がした。
ちゃんと聞こえたことに、酷く安心した。
これは本当にフィクションなのだろうか。気づかないだけで、本当はもうこの本の中の物語は、現実になり始めてしまているのではないかと。
ここまで考えて、はっとした。
「気づかない」だけ?「現実になり始めて」?本当に?遠い世界の話なのか?実はもう現実に……?
怖くなって窓を開けた。
当たり前のように、そこには”当たり前”があった。近くの公園の緑が見えた。笑い声が聞こえた。嬉しそうな顔をした子供がいた。お母さんにアイスでも買って貰ったのかもしれないと想像した。風がふいた。木々の揺れる音は音楽のように思えた。
もう一度本を開いた。
灰色で、重く冷たい鉛のような空気が満ちていた。
本を閉じた。どちらも現実だ。紙一重ほどの違いしかない現実なのだと感じた。
大人である私は、何をすればいいだろう。子供はこの2つの現実を、どう捉えるのだろう。何が大切なのか、何を忘れてはいけないのか、考えて、想像して、話し合ってみたいと思った。 -
森がなくなり
名前がなくなり
音楽の授業がなくなり
図書室の本がなくなり
ゼンタイ・モクヒョウに向かって
キホンとオウヨウとジッセンにしばりつけられる毎日
残ったのはハカイとジュウゾクだけ
一縷の望みは
公園でひろった地図と
旧式の通信機からとどいたメッセージ
心ある人びととともに向かうのは
「すごく安全な場所」
その名は……
『ある晴れた夏の朝』(第68回小学館児童出版文化賞)の著者が初めて挑戦したSFじたての児童書
小学校中学年から大人まで(ルビは少なめだが読みやすい)