空から見える、あの子の心

  • 童心社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784494020768

作品紹介・あらすじ

エイプリルは、まわりの子たちが恋やおしゃれに目ざめていく様子についていけない。
同級生と距離をとりたくて、休み時間に年下の子のお世話をするボランティアをはじめた。気にかかるのは、校庭をひとりでうろうろと歩き回ったり、寝そべったりする男の子、ジョーイ。いったい何をしているのだろう? 

ある日、エイプリルはジョーイが足で校庭に巨大な絵をかいていることに気がつく。渦巻き、タイガー、ピザ、雪の結晶……ジョーイのかく絵は壮大なアートだ!そんなジョーイを、そっと見守るエイプリルだが、ひょんなことから絵のことが学校中にしれわたり、ジョーイにとんでもない依頼がまいこむ……。
自閉的な性格で、自分の言葉で気持を伝えることが苦手なジョーイ。そんなジョーイを理解しようと向き合う少女エイプリル。ふたりの出会いが、学校をまきこんだおおごとに発展していく!

感想・レビュー・書評

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  • 6年生になって友だちとうまくなじめなくなったエイプリルは、校庭の「友だちベンチ」係に手を上げた。そうすれば、食堂でランチを食べなくてもすむから。インドから転校してきた4年生の女の子ビーナと仲よくなるうち、校庭でひとり寝そべったり、足をひきずってぐるぐると線を描いたりする男の子ジョーイ・バードの存在を知った。あるとき、たまたま屋上から校庭を見おろすと、ジョーイが校庭に巨大な絵を描いていることに気がついた。ジョーイには、まるで鳥(バード)のように空から自分を見る能力が備わっているようだった……。

    自閉症スペクトラムと思われる男の子との交流。「わけのわからないことやってる」と笑う子が多いなかでエイプリルと、インドからの転校生ビーナが、ジョーイの特異な才能に気づいたところから、物語が動きだす。
    波乱もありつつ、とんとんとうまく行きすぎかなとも思ったのだけど、作者あとがきで実在のモデルがいると知って、へええとなった。何年後かのことも描かれているのがいいですね。

  • 特性のある子の悲しみと、秘められた芸術性が開花する様子が記されています。その子と関わる女の子の視点を通して、周りにおこった変化や女の子自身の成長も描かれます。
    翻訳ということで、文体にぎこちなさもありますが、それも味と思えれば…
    さまざまな特性のある子どもに対する、温かい視点をもつ重要性を教えてくれる本です。

  • いいんだよ。誰が校庭に寝そべっていても。
    誰よりも秀でた能力がなくっても。
    大人が分かりやすく危うくて本当に怖いな。
    人の話を聞かないタイプの大人たちが揃ってる。
    大人は分かってくれない。分かってくれるのは普段目立たない所にいる縁の下の力持ちだけ。
    よくあるタイプと言えばよくあるタイプ。

  • 仲が良かった友達といっしょにいづらくなり、ランチタイムをいっしょに過ごさなくていいように、「友だちベンチ」係に立候補したエイプリル。遊び相手がいない子の相手をする係をしながらエイプリルは、いつもひとりで校庭に寝そべったり、ずっと動き続けたりしている少年、ジョーイが気になって……。

    主人公のエイプリルが好きだ。真面目で、なんでもきちっとやりたいタイプ。一気におしゃれに、大人っぽくなった友だちについていけなくなるタイプ。一つ一つの行動に真面目さがある。だからこそ、ジョーイをただの変な子と思うのではなく、個性を見つけてあげられた。ビーナに対してもそうだと思う。
    ジョーイの視線の章では、ジョーイが鳥のような目線で見ていることが描かれているから、はじめはすごく変な感じがした。こういう視覚特性を持つ子って本当にいるんだなということも勉強になった。あるいはそれは、ビーナのいうところの「第三の目」だというだけで、誰にでもあるものなのかもしれないけれど。
    ジョーイが学園祭で何を描くか、という部分やその後も想像できない展開で、面白かった。
    エイプリルのノアとの関係もよかったし、はじめとどんどん変わっていくエイプリルや、ユリシーズさんの言葉に感動した。
    訳者あとがきもよかった。相手と向き合うことがすばらしい物語を生む。それはフィクションでも、現実でも。そのはずだ。

  • ナスカの地上絵のように、空からみないとわからない絵を描く少年とともだちとうまくなじめない少女のはなし。少年の心は空からでないと見えない。実話をもとにしている。

  •  友だちとつきあうのが苦手なエイプリルは、ランチの時間に4年生のお世話をする「友だちベンチ」の係に立候補した。でも、4年生の子は6年生の言うことなんて聞かないし、地面に寝転がるジョーイっていう困った男の子もいるし、エイプリルは困っていた。

     ジョーイが寝転がって何を見ているのか、いつも地面に描いている模様は何なのか、エイプリルはある日気がついた。

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著者プロフィール

シェリー・ピアソル:アメリカのオハイオ州在住。ウースター大学で文学士号、ジョンキャロル大学で教育修士号を取得。教師や歴史博物館の学芸員を経て作家になる。邦訳作に『彼方の光』(偕成社)がある。

「2021年 『空から見える、あの子の心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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