デザイン・ドリブン・イノベーション: 製品が持つ意味のイノベーションを実現した企業だけが、市場優位に立つ
- 同友館 (2012年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784496048791
感想・レビュー・書評
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2015年悩まされたことば。いろいろな意味で使われている気がするが、この本では「意味の急進的な変化によるイノベーション」としている認識。「意味」というのが今後のキーワードになってきている。
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著者:ロベルト・ベルガンディ
ミラノ工科大学教授、コペンハーゲンビジネススクール客員教授。イタリアでのデザインマネジメントに関する研究では、イタリアの最も権威あるデザイン賞Compassod’Oro受賞
□本書の構成
第1章「デザイン・ドリブン・イノベーションの戦略」
そもそもコンセプトの説明
第2章「デザイン・ドリブン・イノベーションのプロセス」
会社がどうすれば意味の急進的イノベーションを成功できるか説明
-ビジョンを示すために主要な解釈者たちの知識を活用し、人々にモノへの意味を与えうるプロセス
-3つの主要な行動「耳を傾けること」「解釈すること」「話しかけること」
第3章「デザイン・ドリブン・イノベーション能力の構築」
会社がDDIのリーダーになるための力学を作動させる方法を解説
-会社がすでに有している関係資産の認識と価値づけ
-トップ経営陣のあり方
□要旨
1. デザインの定義/本質
デザインとは、モノの意味を創出することである。(モノに意味を与えることである)
2. デザイン・ドリブン・イノベーションの定義
デザイン・ドリブン・イノベーションとは、
×市場ニーズに応えていくという漸進的な進歩 ではなく、
○人々への提案を行うための急進的な進歩 を促すもの。
言い換えると、
×ユーザー志向の「マーケットプル」(市場) What(人々がいま使いたいモノ) ではなく、
○「テクノロジー・プッシュ」を伴いながら、「意味」のイノベーションを達成 Why(なぜこれが生活の中に欲しいのか) することである。
3. イノベーションの3パターン
・ユーザー分析的アプローチ(マーケット・プル)
・技術的アプローチ(テクノロジー・プッシュ)
・深層心理的/文化的理由(「意味」)アプローチ(デザイン・ドリブン) 爆発的
□ 実例 :任天堂Wii 意味を覆す
・灰色:マーケット・プル
・緑色:テクノロジー・プッシュ
・赤色:デザイン・ドリブン
製品の意味を変える →若者が座ったままで楽しむバーチャルな娯楽→誰もが体を動かして楽しめる経験ができるもの
□印象的な言葉
・「市場?何が市場だ!誰も市場ニーズなんて見ちゃいないよ。私たちは人々に提案しているんだ」アルテミデ会長ジスモンティ
・Every products has a meaning. すべての製品には、意味がある。
・デザインは単なるスタイリングではない form follows function.(形態は機能に従う)
→ function follows meaning(機能は意味に従う) 意味=デザインが川上。
・遅かれ早かれ、意味づけにおける急進的な変化は生じる。どの企業が行うだけ。 -
日本語訳がイマイチ
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内容は良いが、翻訳がひどく不自然な文章となってしまっている。 この点は改善して欲しいところだ。
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「デザインはモノに意味を与えることであ」り、その「意味の急進的イノベーション」が、タイトルとなっている、デザインドリブンイノベーションである。
技術の漸進的変化/急進的変化
意味の漸進的変化/急進的変化
この二軸によるマトリクスを考える。
漸進×漸進がマーケットプルのユーザ中心のアプローチ。
技術の急進的変化が船頭するのが、テクノロジープッシュの変化。
そして、意味の急進的変化は、デザインによって起こる、と。
クリッペンドルフの『意味論的転回』とリンクする。
p.328 表A-1は、なかなか厳しい。
私の仕事の多くが、左のダメな例に属していることを否定できない。 -
3分で読了。英語原著買ってたけど日本語で再読。デザイン・ディスコースを掘り下げてるのが素晴らしい。パフォーマンス(技術)軸と意味(言語)軸のマップで、テクノロジープッシュとデザインプッシュを区別したのも便利。デザインマネジャー、CCOなどが読むのにいいかも。