税理士の相続業務強化マニュアル

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  • 中央経済社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784502231810

感想・レビュー・書評

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  • 税理士事務所が日常業務として相続業務に取り組むための入門書として、相続業務を始めるための心得や、相続対策への取組み方の留意点などについて筆者の経験をもとに解説されている。
    P24
    それでは誰でも知っていて、簡単にできる相続対策とはどのようなものでしょうか。それは、以下のようなものではないでしょうか。
    ①相続争いの防止に役立つことが期待できる「遺言書」の作成
    ②相続税の負担を軽減させることができる「生前贈与」の実行
    ③収入の分散による所得税と相続税の軽減のための「資産管理会社」の活用
    ④相続税の納税資金の確保のための「生命保険」の上手な活用
    ⑤同じ時価であっても、「相続税評価額の低い資産」への組換え
    ⑥相続税の負担を即瞬時に軽減させることができる「養子縁組」の検討
    また相続対策は将来の税制改正などによってその効果が大きく減殺される可能性のある「節税対策」よりも「家族の幸せ対策」でなければなりません。特に、家庭内弱者には、生前赠与などを通じて手厚い対策を実行しておきたいものです。
    P60
    実務上では、農業や事業を営んでいる方が、農地や経営権など特定の財産を後継者に集中して相続させるために他の相続人に金銭などを贈与することで遺留分を放棄させることがあります。また、特定の遺留分権利者を指定して遺留分の放棄をさせるのが心情的に難しいと思われる場合には、遺留分権利者全員に遺留分の放棄をしてもらうことも選択肢の1つと考えられます。たとえば、長男と二男がいて、二男に遺留分の放棄をしてもらいたいと考える場合でも、親の立場からはなかなか言い出しにくいところです。そこで、長男にも一緒に遺留分の放棄をしてもらえば、遺言書によって希望どおりそれぞれに相続させることができます。
    なお、遺留分の放棄は相続権の放棄ではないので、被相続人が遺言を残さずに死亡したときは、遺留分の放棄をした者も含めて遺産分割協議が必要となります。そのため、必ず遺言書を作成しておく必要があり、遺言書の有効性について争いの少ない公正証書遺言であることが望ましいと思います。また、相続人が遺留分を放棄しても相続人であることに変わりがないので、相続財産が債務超過である場合などでは、相続の放棄の手続きを行わなければなりません。
    P128
    支配すれども所有せず
    国際興業社主の小佐野賢治氏(1917年~1986年)が亡くなった時、国税局は彼の資産が10兆円程あると予測し、査察を実施した結果、小佐野賢治氏個人で所有していた財産で相続税の対象になる有価証券、動産·不動産はほとんど見つかりませんでした。
    小佐野賢治氏は、生前、個人としての財産は何も所有せず、彼の財産は、すべて法人所有になっていたのです。
    創業者である会社オーナーの場合、一生涯会社に関わっていたいという心理があります。しかし、自社株の承継を考えると生前中に早めに後継者へ移転を図ることが必要とされます。

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著者プロフィール

税理士

「2022年 『税理士が知っておきたい 相続発生後でもできる相続税対策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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