- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784523266037
作品紹介・あらすじ
綾鹿市動物園で行われるチタクロリンのコンサート。予想以上の集客で混乱する中、メンバーの飯岡十羽が撫でようとしたレッサーパンダに指をかみ切られてしまう。チーフ警備員の古林新男は綾鹿署の刑事・谷村の聴取に応じるうちになし崩し的捜査に協力していく。そして関係者が次々に襲われて指を切断される事件が続いていく。
感想・レビュー・書評
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作者 鳥飼否宇(トリカイ ヒウ)
初めての鳥飼否宇さんの小説を読みました。
題名と表紙絵はインパクトがあり、
おどろおどろしい話かと思い、
少し躊躇いながら読み始めました。
途端、怖さよりもユニークさに驚きました。
登場人物が全て動物に喩えられていて、
一人ひとりが記憶にも残りやすく、
読んでいて楽しくイメージしやすい。
なので、一旦途中で本を閉じておいて、
少しして再開して読んでも直ぐにどの人物か
記憶が繋がり話に戻れました。
小説の中では指を切られる事件が続くので
本当なら面白いというのは不謹慎なのですが、
登場人物を動物に例える表現も面白いし、
出てくる刑事のキャラクターがコミカルで
笑いを誘われます。
また、ミステリー小説を読んでいる時の
恐ろしさや恐怖や脅迫感が少ないので
ヒヤヒヤしたり、ハラハラしたい方は
その点は物足りないかもしれません。
事件はパズルのように切れ切れに発生するので、
ピースがはまらないと解答が得られない点は
ミステリーそのもの。
最後まで読み終え、プロローグの入りが繋がり
楽しく読み終えました。
また、別の作品も読んでみたいです。
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ご当地動物アイドルがレッサーパンダに人差し指を噛み切られた事件を皮切りに、連続指切り殺人事件が勃発する。何故その指を切る必要があったのか?というホワイダニットから、隠された真相が分かるが、面白い?かというと、何もかもも作り物感が過ぎるかなと。
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ミステリ。
連続指切断事件。プラス殺人。
雰囲気はわりとコミカル。
タイトル通り、パズル的な論理の組み合わせが良い。 -
アイドルグループ「チタクロリン」のメンバーがレッサーパンダに指を噛みちぎられる事件を皮切りに次々に起こる指切り事件。プロローグがどう繋がってくるのかと思ってたけど、なるほど。
鳥飼さんの話は登場人物や警察がコミカル。あと人物イメージが掴みやすかった。 -
想像していたよりコミカル風でした。じっくり考えると「でもなぁ」と思うことはいくつかあったので、あえてコミカル風にして勢いで読ませたいのかなと思いました。読みごたえは個人的になかったのですが、読みやすかったです。
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動物園のイベントでアイドルがレッサーパンダに指を噛み切られてしまうという事故を発端に、次々と起こる指切断事件。動物園の警備員古林は、刑事に乞われるまま捜査に協力することに‥
指を切られるというスプラッタな事件なのにちょっとコミカルな雰囲気だし、刑事が警備員に聴取を丸投げしたりと色々不自然なところはあるが、それぞれの指切断事件の真相が明かされてゆき、最後まで読むとプロローグの意味がわかるという構成はまさにパズルがピタッとはまる感じだった。新本格らしい作品。 -
次々と人が襲われ指を切断される。
猟奇的な作品なのかと思いきや、その内容は意外にもコミカル。
探偵役の警備員を含め、登場人物全員を動物に例えるのがユニーク。
そして事件最大の謎である犯人が被害者の指を持ち去った理由についても十分納得できる。
その発想がまた面白いなあと。 -
2021.12.10読了。
もっと本格寄りなのかと思っていましたが…
好きな作家だけに、期待値が高すぎたのかもしれません。 -
メンバーそれぞれが動物好き、という共通点で盛り上がり、結成された3人組アイドルユニット「チタクロリン」。全国の動物園を回ってミニコンサートを繰り返し、着実にファンを獲得していっていたある日、事件が起きた。
メンバーのひとりが動物園の人気者のレッサーパンダに人さし指を咬みきられてしまう。檻の中に手を入れて、レッサーパンダに触れようとしたのがそもそもの間違いだが、彼女はなぜそんな行動に出てしまったのか。そして普段は人に慣れていたレッサーパンダが突然とはいえ、興奮してしまったのはなぜか。警護にあたっていた動物園関係者の間にも腑に落ちないことだった。
そんな疑問が解決しないまま、今度は他のメンバーが暴漢に襲われ、中指を切断されてしまうという事件が起こる。人さし指に続いて次は中指、これは偶然なのか、と警察関係者も頭を悩ます中、第三、第四の事件が連続して起き…。
最初は指を次々と切られていくだけで、殺人事件もおきないし、おとなしめのミステリーかと思ったけど、後半から怒濤の展開になって気づけば一気読み。正直そんなに期待して読み始めたわけでもないので、読後感はとても満足。
登場人物をその都度、動物に例えているところが変わっている。イメージしやすい。巻末の解説によると、著者は本名で鳥類や昆虫関係の本を出している専門家らしい。解説の千街晶之は19世紀フランスの風刺画家グランヴィルに通じるところがあると褒めているが、それは持ち上げすぎ。せいぜい外見を云々しているだけだと個人的には思う。
ラストの謎解き、凡庸な60歳間際の動物園警備員がホームズばりの推理で、事件の全容を解説するが、なんかひっかかる、と思ってたら、ほんとのラストが最後に待ってた。
プロローグの独白の意味もそれでわかった。
あぁ、とってもスッキリ!
もしかしたら、まだ騙されてるかもしれないけど、面白かったから騙されたままでもいいや。 -
動物園で開催されたコンサートでアイドルの指がレッサーパンダに噛み切られた。これをきっかけに次々と事件が起こり始め、そのなぞを動物園の警備員である主人公と警察官が追うミステリー小説。
主人公である警備員は人を見ると動物に例える癖があり、ちょっと剽軽な警察官とのやり取りもユーモアがあって楽しく読めます。
ただ、事件そのものは生々しく、暴かれた裏側の人間関係には少し胸焼けがしそう。
どうして次々と指が切断させるのか、事件のつながりは?犯人はだれなのか?
少ない手がかりを組み立ててパズルを完成させた主人公に拍手