- Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532112486
作品紹介・あらすじ
働く現実と法の関係をトータルに理解する。雇用管理、人事・賃金制度、労使関係など日本の特質と問題点を丁寧に解説した画期的入門書。
感想・レビュー・書評
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日本型雇用システムの本質は、「職務の定めのないメンバーシップ型雇用契約」とした上で、雇用を構成する各要素、すなわち、採用・人事異動・退職・賃金制度・就業規則・人事査定等が、実際にどのようになっているのか、どのように成立したのか、法令的にはには、判例法的にはどうなっているのか、を丁寧に解説・説明してくれている。
人事部門に配属された新人や、新たに人事部門に異動して来られた方にとっては、ものすごく勉強になる本だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
濱口桂一郎著『日本の雇用と労働法(日経文庫)』(日本経済新聞出版社)
2011.9.15発行
2017.3.13読了
金子良事著『日本の賃金の歴史から考える』に比べて読みやすく分かりやすかった。雇用管理システム、報酬管理システム、労使関係システムといったテーマ毎に章立てされていて、その通史と考察が述べられている。親切設計なポイントは、すでに述べられた通史でも、章立てが変われば、また一から説明してくれる点だ。同じ説明を繰り返し読むことになるので、頭に入りやすい。欲をかけば、クロスレファレンスがあるとなお良かった。
URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000011272335 -
備忘のための要約:
日本的経営システムの特徴は、「終身雇用・年功序列・企業別組合」と言われている。その根本にあるのは、「雇用とは会社におけるメンバーシップの付与である」という日本独特の考え方である。
しかし一方で労働法では、欧米や中国などと同様に「雇用とは会社でジョブを遂行することにより報酬を得る契約である」と位置づけている。
このメンバーシップ型の労働慣行と、ジョブ型の法律とのギャップから、さまざまな労働問題が起こっている。 -
本書では、日本の雇用制度における賃金制度、教育制度、新卒一括採用などの諸制度の生成・確立・変容の過程を跡付け、その変遷を明らかにしています。また、著者は、労働法における豊富な判例をもとに、言説の妥当性を示しているので、日本型雇用制度に対する包括的、かつ正確な情報を得る上で、とても有用な本だと思います。
多くの学生が、大学卒業後に企業に就職し、職業人としての生活を歩んでいく中で、その準備をする上で、雇用制度に関して知っておくことは重要ではないでしょうか?特に、本書でも書かれているように、日本の雇用制度の大きな特徴の一つである職務無限定性やそれにより生じる配置転換・ジョブローテーションなどの諸要素は、職業キャリアを考える上でも重要な点なので、就職活動前に知っておくと良いと思います。さらに、本書では、大学教育と日本の企業との関係性に関しても論じており、自分が学んでいる学問の意義や価値を考える上でも重要な知見を与えてくれます。大学生にとって有益な情報が満載なので、是非、手に取ってみてください。
(ラーニング・アドバイザー/教育 SAIGAN)
▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/1914576 -
労働・雇用のシリーズインプット。紙の本に到達しました。
これまで読んだ濱口本の総括という感じなので、ざっと目を通した。レファレンスとしてはこれがよいだろう。 -
日本の雇用と労働法の変遷についてわかりやすくまとめた良書
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「日本の雇用システム」と「日本の労働法制」についての概略を、両者の密接な領域ごとに一つ一つ確認しながら解説した本。
分かりやすく書かれているのだろうが、私は読んでいてあまり内容が入ってこなかった。(頭に残ったのは、「日本の雇用システム」・「日本の労働法制」の特徴は「メンバーシップ型の雇用契約」だけであった)
おそらくこの本は日本の雇用問題・労働法制などをある程度学び、何らかの課題意識を持った人が読めば得るものが多いのであろうが、私のように労働法制学びはじめのような者には学びが少ないのかもしれない。
少し読むべき時期を間違えてしまった感である。 -
副業禁止とか、一度やめると戻ってこれないとか、ゼネラリスト思考とか、漠然と会社に感じていた疑問の原因がわかる本。
別に社労士とかでなくても読めるので、自分の働き方の見直しのきっかけにどうぞ。 -
日本の雇用は欧米諸国と異なり
職能・職種型採用ではなく、メンバーシップ(会社に帰属する)という性格が強い。従って企業側に自由な採用裁量権が認められている。 -
多くの問題が指摘される日本型雇用システム、その特徴と成立過程を戦前~戦後の労働法の歴史を交えて説明している。
日本型雇用システムの全体像を俯瞰することができ、労働法の入門書としておすすめ。
戦時中の「『皇国の産業戦士』として平等」と言う思想が、戦後に社会主義的装いで再確認されたとあり、なかなか興味深い。
なるほど、労働というひとつの観点であっても、この国は戦前も戦後も社会主義的であったと言うことか。