- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532131081
作品紹介・あらすじ
経済システム変革への知的基盤。各国の経済制度は一つに収斂すべきものなのか。あるいは、制度間の競争に選択を委ねるべきなのか。各国経済の相互依存の深まりが生み出した大問題、制度の国際的調整。競争法、会計制度、銀行規制、コーポレート・ガバナンス、税制にわたり、日本がめざすべき経済システムを展望する。
感想・レビュー・書評
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「国内において多くの利害対立が存在する下で各国の間で国際的なルールや制度についての合意がどのようにして形成されるかは興味深いテーマであるといえる。」(p.9)
「主権国家の間の多角的な協調は、レジームの形成ないしは、国際機関の創設によって行われることが多い。」(p.9)
「国際的なレジームは、ルール、および手続きの相違によって以下の五つのタイプに分類できる。
(1)情報のプ−リング
(2)情報処理の標準化
(3)情報を用いた予測
(4)予測に基づく目標設定
(5)目標設定のための政策実行」(p.11)
「各国が協調を行おうとする場合、各国の間で共有する知識の演じる役割は大きなものとなる。」(p.12)
各国内の各社会階層が他国の対応する社会階層と知識を共有することをいかに評価すべきか。
「共通の知識とは、ある事実について『誰もが知っている』ということを『誰もが知っている』というレベルの知識を指す。」(p.13)
「合意可能となった知識は、一般的な科学的な知見と同じく参加国によって共有される公共財である。」(p.14)
上記公共財の利益が民衆レベルにまで及ぶためには、「合意可能となった知識」が民衆によって共有される必要がある。
「一般に専門家の知識は、カバーする範囲が狭いこともあって政治的な影響力を持たないことが多い。しかし、雑誌や本、会議、情報通信ネットワークを通じるコミュニケーションを通じて共通する認識を形成することが可能である。この知識のネットワークに国内および国際機関の官僚、政治家、ジャーナリストが参加することによって政治的な影響力をもつようになることもある。国内の官僚、政治家や国際機関の官僚は、合意可能な知識が政治的なパワーを持つために必要な導管体の役割を果たす。」(p.15)
上記の論はグローバルなインナーサークル形成の危険性をはらむ。民衆レベルでの「共通の知識」ないしは「合意可能な知識」を形成する必要がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示