組織の〈重さ〉: 日本的企業組織の再点検
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2007年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532133375
作品紹介・あらすじ
戦略情報は共有されない一方で、社内の合意形成を過剰に重視する日本の企業組織-。経営政策の転換や前進のための投資を阻害し、非合理的な経営戦略を創発する「重い組織」の実態を、詳細な質問調査表にもとづいて解明する本格的実証分析。
感想・レビュー・書評
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組織の<重さ>という観点を設定して、様々な課題の解決や新規事業への取り組みなど、組織が本来取り組んでいくべきことにスピーディーに立ち向かっていけない要因は何なのかを分析した本。
組織のもつどのような特徴が組織を<重く>しており、それらは企業の意思決定にどのような影響をどの程度与えているのか、企業内の事業部のトップからミドル・ロワークラスのマネジメント層へのインタビューをもとに分析をしている。
全体的には、組織の硬直化や意思決定の遅さを生むと思われている様々な要因が、調査をもとにした統計解析によって明らかにされており、非常に説得力のあるものだった。一方で、一般的には組織の中のコミュニケーションを円滑にするように思われる、組織内の他部門の知人の多さも、逆に調整の時間を長引かせる要因になっている側面もあるといったように、予想外の発見もあり、非常に興味深く読んだ。
また、計画に基づく公式ルートでの人事評価や部門間調整が目には見えないところで組織の活動をスムーズにするとともに、求められる課題に対して各部署の自主的な取組みの実施を可能にしているという点も、重要な指摘であると思った。
そもそもの計画の策定がどのような形で行われるべきなのかという点にはより一層の検討が必要であろうが、組織内の情報伝達や評価、方針決定のあり方について非常に示唆の多い研究だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
重すぎる。
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組織の重さと諸要因の関係を科学的に把握するための貴重な研究。
ミドル層へのアンケート調査をもとに定量分析を行っている。
参加企業はプロジェクトに賛同した計18社。BU数は107。
組織の重さを
①過剰な「和」志向
②経済合理性から離れた内向きの合意形成
③フリーライダー問題(口は出すが責任は取らない人、決断力の不足)
④経営リテラシー不足
の4つの変数から推定。
因子分析にかけて①②を「内向き調整志向」変数、
③④を「組織弛緩性」変数として組織の重さを計測する。
本研究の一番のインプリケーションとしては
機械的組織と有機的組織、
縦横における公式と非公式の繋がり
これらがバランス良く設計されている組織は
組織の重さが軽くなる可能性が高い、ということ。
そして本研究では組織の重さと業績面での統計的相関分析は行わず、(そもそも選択バイアスがあるため無意味)
調整比率と組織の重さの相関分析を行っている。
調整比率はモデルチェンジの日数、新規事業日数、撤退日数に際して、組織内での調整にかかる時間をアンケートで定量的に把握して分析している。
日数(比率)が減れば、コスト削減や市場への迅速な対応に繋がり、業績に好影響が出るという仮定が裏にある。 -
書名同様重かった。
思うところは数多くあるが、
理解するまでにまだまだ時間がかかりそう。
読み過ぎると、診断士試験の事例Ⅰ(組織戦略)に影響しそう(かも?)。 -
最近の仕事ではお客様の組織に関する課題解決をお手伝いすることが凄く増えているのですが、合理性にかける課題が多いと感じていて、本書を買ってみた。