- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532133917
感想・レビュー・書評
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ビジネススクールの教科書。長谷川先生の講義は、ものすごく熱意あふれる面白いものなのだけど、この本もいわゆる「教科書」だけでない、実務の泥くさい部分や、きれいには片付かないmessyな部分への視点があるのがおもしろい。
VC視点からの資本政策にも力点が置かれているものの、あらためて読み返すと起業家の熱意と「人」のマネジメントへの意識がうかがえる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ベンチャーの枠組みについて、広く網羅的に捉えている良書と感じた。データも充実している。教科書的なものとして、読みたい。
==== 内容ポイント抜粋 ====
<ベンチャーの意義>
ベンチャー =冒険精神企業
- 雇用の創出 <= 意外な観点。
- イノベーションの創出
<ベンチャーの段階の課題>
- 理念度、初志貫徹力が弱い
- 起業環境が整備されていない(家庭等の理解、健康、家計)
- 事業の妥当性チェック
- 起業のタイミングが難しい (充分見極めてから)
- パートナー、幹部社員との仲違い
- 相談相手がいない
- 資金計画が甘い
- 株主構成の検討が不十分
- ビジネスプランの練り上げが不十分
<事業アイデア創造パターン>
2パターン
- これまでにない全く新しいサービス
- 既存サービスへの新しい付加価値創造
(アイデア思考ツール)
- オズボーンのチェックリスト
- メガトレンドと組み合わせる
- 異業種ベンチマーク
- ニーズ思考とシーズ思考
< ビジネスコンセプトシート>
フォーマットは下記項目
- 会社名
- キャッチフレーズ
- 夢・目標
- 顧客
- 市場
- 競争相手
- 商品
- 自社の強み
- ビジネスモデル
- 必要資金
- リスク
- 中長期プラン(マイルストーン)
< 成功するビジネスプランの5条件>
1. 仮説、検証、修正のループが何度かなされているもの
2. 起業理念がしっかりとしているもの
3. 自社の強みと弱みが明確な事
4. マイルストーンが明確なこと
5. 色々な人の話を聞いてブラッシュアップされたものであること
<スタートアップ段階課題リスト>
- 計画で想定していない事態の発生
- 人付き合いが下手で積極性に欠ける
- マーケティングが甘く、営業体制が整っていない
- 経営者を補佐する人材がいない
- 人の出入りが激しい、人材が育たない
- 事業計画と資金計画の整合性がない。月次決算体制が不十分。経営全体のバランス感覚が欠如
- 株主構成で、同族色が抜けない。大手の傘下に入りがち
- 当初のビジネスプランの見直しがない
<顧客獲得周りの法則>
- キャズム理論
- パレートの法則
- ロングテール戦略
<販売価格の決め方>
マークアップ法(コストから産出)
競争志向価格決定法(競合の商品の価格から産出)
上記の2つで、パッと決定してしまうことがあるが、不十分なことが多い。事業成功に大切な要素なのでしっかり検証することが必要。
顧客の知覚価値決定法
販売価格 = 顧客の知覚価値
そのため、ヒアリングやアンケートなどを通じて検証が必要。また、機能特徴ではなく、効用をちゃんと伝えるマーケティングも必須。
<キャッシュフロー予測>
- Jカーブ
テクニカルリスク、マーケットリスク、実行リスクの3つのリスクが存在する
<成長段階の課題>
- 初期の理念を忘れる
- 社長が超繁忙で限界
- 収益の柱が一本
- 社長が全て、組織内に軋轢が
- 管理体制が甘く、問題が発生
- 数字の把握が遅れる。資金繰りの悪化
- 持株
など -
▽新しいアイデアを調達する方法
1、事業アイデア創出パターン
・これまでにない全く新しい製品・サービスの創出(素材・原材料・情報・科学技術)
・既存サービスへの新しい付加価値の創出(事業の仕組み・コスト・スピード・多様性)
この2つに分類される。
2、オズボーンリスト
1、転用 新しい使い道は? 他分野へ適応はできないか?
2、応用 似たものはないか? 何かの真似は出来ないか?
3、変更 意味、色、働き、音、匂い、様式、型を変えられないか?
4、拡大 より大きく、強く、高く、長く、厚く出来ないか?時間を大きく出来ないか?頻度を多く出来ないか?
5、縮小 より小さく、軽く、弱く、短く出来ないか?省略や分割出来ないか?何かを減らすことが出来ないか?
6、代用 人を、物を、材料を、素材を、製法を、動力を、場所を、代用できないか?
7、再利用 要素を、型を、配置を、順序を、因果を、ベースを変えたりできないか?
8、逆転 反転、前後転、左右転、上下転、順番転、役割などを転換してみたらどうか?
9、合体したら? 混ぜ合わせたら? 組み合わせてみたら?
3、メガトレンドと組み合わせる
メガトレンドと組み合わせることで、ビジネスの立ち上がりが早まる、人材が集めやすい、困難に遭遇したときに支援者が現れやすい。
例:地球環境エコロジーへの貢献、健康増進意欲の高まり、グローバル化特に中国の躍進 など。
4、異業種ベンチマーキング
自分の事業とは全く違った業界の優れた企業をベンチマーキング企業として選び、その成功要因を自分の事業に導入するもの。
カンブリア宮殿など
▽資金調達プレゼン
▼投資家の視点
1、その事業アイデアは、顧客やエンドユーザーにとって重要な価値を創造するか?
2、その事業アイデアは、重要な問題を解決するのか?もしくは顧客が喜んで金を払うようなニーズに合致したものか?
3、十分なマーケットはあるか(50億円以上)
4、高成長マーケットか(20%以上の成長率)
5、高い利幅が見込めるか(40%以上の利益率)
6、高い潜在利益が見込めるか(税引き後で10〜15%以上の利益率)
7、早期に潤沢なキャッシュフローが見込めるか?
8、投資家に魅力的なリターンが見込めるか?(IRR内部収益率で25〜30%)
9、そのマーケットに参入するタイミングは今か?またリスクに見合ったリターンは得られるか?
こういった質問に対して、やってみないと分からないと答えるよりも小さなサンプル調査を行うなどして、数値的に答えようとする姿勢を持つこと。
▽ビジネスプランの作成方法
目的
・事業内容とその魅力を明らかにすることによって資金や人材、その他の経営資源を獲得しやすくする
・事業内容を明確化することによって創業メンバー間での協力の基盤作りを行う
・起業家自身が事業の問題点や障害を確認し、事業の成功の可能性を高める
・事業の状況や進捗状況を管理する為のベースを置くことによって、その後の事業環境の変化等に応じた調整や変更の可能性を検討するたたき台とする。
ビジネスコンセプトフォーマットシートの構成要素
1、会社名
2、キャッチフレーズ
3、夢・目標
4、顧客
5、市場
6、競争相手
7、商品
8、自社の強み
9、ビジネスモデル
10、必要資金
11、リスク
12、中長期プラン
成功するビジネスプランの5つの要因
1、仮説の立案→検証→修正ループが何度かなされているもの
2、経営理念がしっかりとしているもの
なぜこのビジネスをしているのか?、そしてこのビジネスを通じて社会にどのような価値を提供したいのか?を情熱を持って答えられるようにしておく。
コンサルタントに作ってもらったような美しいビジネスプランはいらない。
3、自社の強みと弱みが明確になっているもの
将来性、収益性、目の付け所は魅力的であっても、有望産業の展望レポートで終わってはいけない。なぜ我々がやるべきなのか?他社とどう差別化が図られているのか?さらに実現するまでのタイムスケジュールを明確に落とし込んだビジネスプランにすること。
4、マイルストーンがしっかりしていること
ベンチャー企業は人材、開発力、生産能力、取引先からの信頼、資金力などのら経営資源が不足しているので、企業成長の過程で節目になるマイルストーン(大きな事象)を明確にした経営計画を作ること。
5、いろいろな人の意見を聞いて修正したものであること
ビジネスプランを一回読んだくらいですぐに真似されてしまうモノなら、大きなビジネスではない。だから多くの人に見せて、修正を繰り返す。
創業のタイミングは、支援者のネットワークの確立と、売上予測が立ったとき。そして経費を出来る限り減らすように心掛ける。
▽スタートアップ段階の課題と解決策
1、スタートアップ時の留意点
開発計画の遅れ、大企業の参入、クレームの発生などは当たり前だと想定して、常に臨機応変に変革する組織であれ。そして、経営者は目標となるアドバルーンを大きく掲げてそれに向かって会社全体を導く有言実行をせよ。
2、事業に関する課題
マーケティングが甘く、営業体制が整っていない場合は、誰にどのようにして認知、そして販売すれば良いかを明確にして具体的なアクションプランを作る。リピーターを作る為にファン作りを目指してフォロー体制の構築をする。難しいのは、採算性の低い顧客をあえて切り捨てることである。しかし、大手1社との取引のみに依存するのも良くない。バランスが大切。
3、メンバーに関する課題
将来の会社をイメージして、必要な人材、自分にないスキルを持つ人材、そして人数を集めることが必須。
4、資金繰りに関する課題
事業計画と資金計画の整合性がない場合は、資金繰りを定期的に見直す為にも月次決算体制を整備して、経営全体のバランスを取ることが大切。
5、株主構成に関する課題
信用力のない企業がスピーディに事業展開をするには、尊敬できるメンターやエンジェルに株主として外部資本の導入を積極的に活用すべき。
6、ビジネスプランに関する課題
これは資金調達の為のものではなく、周りの環境に合わせて3ヶ月に1回変えるなどして、柔軟に対応していく。
▽スタートアップ段階で軌道に乗せる為の戦略
1、最初のマイルストーンを早く越える戦略
成長初期に外部調達出来る企業の割合は25%。拡大期に外部調達出来る企業の割合は28.6%。
では、どのようにしたら最初のマイルストーンを越えれるのか?
①短期目標でまずは勝つこと。組織に、目標達成の喜びや勝ちグセをつけれるかどうか。その為に、比較的短期間で達成出来て、数値で明確に分かるような目標設定をする。
②保守的な人にはひたすら情熱を持って経営理念を伝えること。
③顧客との対話などを通してビジネスプランを環境の変化に合わせて柔軟に微調整出来ること。
④組織外部の人間を大きな考えに夢中にさせることや市場を「アッ」と言わせることをして、周りに支援してやろう、こいつは見所があるという気にさせることが必要。その為にも素直に謙虚に教えを請う。しかし、誇張しすぎると信用を失うので、数ヶ月後に実績を伴って実行することでわ信用が醸成されていく。
2、最初の顧客獲得時点での留意点
①キャズム理論
マニアマーケットと大衆マーケットの市場の断層(キャズム)と言う。
市場は消費者の購買行動ごとに5つに分けることが出来る。
1.新しいモノ好きの層 とにかく試してみる
2.目利きの層 自分自身の判断で買う
3.流行に敏感な層 他人に影響される 世の中の新しい動きに敏感
4.流行後追いの層 多くの人が買っている商品やサービスに反応する
5.無関心の層 リテラシー能力が低く周りに影響されない
②パレートの法則(80:20の法則)
イタリアの経済学者・社会学者のヴィルフレド・パレートが所得配分の研究によって得た経験則であり、上位20%に入る要素が全体の80%の影響力を持つということを意味している。つまり、全顧客に等しいサービスを提供するよりも20%の優良顧客に的を絞って、経営資源を新しい商品・サービスに集中することが売上を伸ばすのに効果的であるということを示している。
③ロングテール獲得戦略
アメリカのワイヤード誌編集長のクリス・アンダーソンが提唱。これはパレートの法則の逆をいく考え方でネットビジネスのビジネスモデルの特性のこと。従来、死に筋(テール)とされてきた商品の売上が売れ筋(ヘッド)の売上を上回る。つまり、少量しか売れない商品でもその品揃えを多種多様にすれば、相当な売上になるというものである。
3、販売価格の決め方
*マークアップ法
販売価格 = コスト + 目標利益
商品・サービスを製造及び提供する為に掛かったコスト(標準コスト or 一定期間の実績コスト)を割り出し、それに期待する利益を上乗せして販売価格を決定する。
*競争志向価格決定法
販売価格 = 競合商品の価格 ー α
コストを度外視して競合商品の価格より、少し低めに価格を設定する方法のこと。
*顧客の知覚価格決定法
販売価格 = 顧客の知覚価値
顧客の知覚価値を調べるには市場テスト法と市場投入前テスト法がある。
市場テスト法とは、同じ商品・サービスに複数の価格を設定して、顧客の反応を見るものである。顧客それぞれに合わせてカスタマイズをしているように知覚してもらう仕組みを作って価格が比較しにくいようにする。
市場投入前テスト法とは、実際に商品・サービスを市場に投入する前に、想定となるターゲットに対して競合商品と自社の新製品・サービスのデモ版(あるいは市場コンセプトの説明書)を見せて、異なる価格を提示して購入意欲を聞くものである。
4、顧客の知覚価値の向上
同じ商品・サービスであっても、、、自社が売りにしたい、供給視点のシーズ志向で特徴重視の説明ではなく、需要視点のニーズ志向で効用重視の説明をすることで「顧客の知覚価値」を高め、それに基づく価格設定が重要である。
▽ベンチャー企業のブランド戦略
他社の製品・サービスとの差別化もされた、良い商品なのに売れないという問題の原因の1つに、広義のブランド戦略が間違えているケースがある。その理由は大きく2つに分けられる。
①自社製品・サービスの特徴を基にポジショニングを行っているケース。あくまで、顧客は「商品・サービスを購入するのではなく、効用を購入するのである」
②競合商品との差別化を明確にするのに最大のエネルギーを使い、差別化された商品・サービスが開発出来た時には、満足感に浸ってしまい「いいものはそのうち売れるだろう」とプル型のマーケティング手法となり、期待したような売れ行きにならないことが多い。つまり、どのように顧客に知覚してもらうべきかに大きなエネルギーを費やすべきである。(例:実際に顧客に商品・サービスを手に取って体験してもらう機会を設ける)
▽キャッシュフロー予測とJカーブの想定
Jカーブとは、事業をスタートしてから成果が出てまで数年かかる為に、スタートアップはマイナスとなり、販売の拡大と共に増加していくというベンチャー企業の累積キャッシュフローの推移のこと。
Jカーブ曲線は4つのSの影響を受ける。
①スタートアップコスト 市場投入前の先行投資金額
②スピード 市場投入までの時間
③スケール 量産までの時間
④サポートコスト 各種コスト、再投資を含む市場投入後の投資
▽成長段階の課題と解決策
1、資金繰りに関する課題
資金繰りの悪化を防ぐためにも、財布を分けるという考え方を徹底すること。銀行預金取引について、入金専用、出金専用、借入返済専用、税金支払い専用などに通帳を分け、必要に応じて取引銀行を変え、口座ごとに資金管理をすること。
2、株主構成に関する課題
持株の大半を特定のスポンサーが保有することで、将来の株式公開が視野に入ると最大の功績者である経営者への見返りが圧倒的に少ないことになる。それを防ぐ為にも、急成長期の出来る限り早い段階でストックオプション制度や成功報酬ワラントなどを活用する必要がある。
▽ベンチャー企業の成長段階と3つの死の谷
1、4つの発展段階
技術の成果を商品化してゆく過程は、「研究」「開発」「事業化」「産業化」の4つのステージに分類される。
・研究 世の中にないシーズの創出が、主に研究所にて行われる。
・開発 マーケティングによって製品仕様を絞った製品開発をする。
・事業化 開発製品を実際の市場へ投入する段階。ここでいう『製品』とは、マーケティングに基づいて顧客のニーズに合った機能を持たせて開発したモノをいい、『商品』とは実際の顧客がお金を出して買ってくれるモノをいう。
・産業化 事業の拡大戦略をとり、生産体制・販売体制を確立して継続的に商品を供給、販売する仕組みを作り上げることになる。
2、3つの死の谷
研究
【魔の川 デビルリバー】
開発
【死の谷 デスバレー】
事業化
【ダーウィンの海】
産業化
・魔の川 研究は科学の成果を基に色々な試みを行い、新たなシーズを見つけていく発散型の作業で、いかに多くの技術シーズを試せるかがポイントになる。一方、開発は研究で得られた色々なシーズを基にして大きなニーズを見込めるであろうターゲットへ絞り込んでいく、いわば収束型の作業がポイントとなる。
回避策 ➡︎➡︎➡︎
①開発計画のズレを見越した潤沢な資金調達
②研究段階で大学や政府研究機関(TLO)を活用、、、シーズをどのように活用したら大きなニーズがあるだろうか?とニーズ志向を徹底し、必要な技術だけを取り上げ顧客ニーズに対応出来るように開発を進めること。仮説立案→小さく検証→仮説の修正をする。
・死の谷 開発が進み「製品」が完成しても顧客が実際にお金を払って購入して貰うためには、対外的には生産、販売、マーケティング、アフターサービス、、、対内的には、ヒト、モノ、カネ、、、の調整が必要になる。そして製品から商品に移行することが大事。
回避策 ➡︎➡︎➡︎
①社内メンバーの入れ替え、、、研究段階や開発段階で大きな役割を果たしてきたCTOは要素技術にこだわり、もっと優れた機能の製品開発をしようとする意志が強いが、事業化段階では、機能よりも軽量化や小型化、低価格化、高いデザイン性が重視される。つまり、製品の追求ではなく商品化するステージなのである。
②保有特許等の専用実施権の販売、、、資金繰り難の回避の為に、ベンチャーが所有している差別化を図る為の要素技術以外の、知的所有権(特許権、意匠権など)の中の一部を第三者企業に賦与し、ロイヤリティーを得ることも1つの策である。
③技術力を生かした受託開発、、、技術企画力のあるベンチャーの場合、ただの下請け企業にならない程度に、大手企業から研究開発を受託納入することができる。
・ダーウィンの海 産業化のステージに移行するには、生産体制、販売体制、マーケティング体制、アフターサービス体制が一体となった事業経営体制を築く必要がある。製品が販売され、技術ベンチャーが急成長をしても、製品生産に必要な資金は支払いが先行、資金回収には3〜6ヶ月後という構造がある為、キャッシュフローが厳しくなり資金繰りに苦しむことになる。【プロセス】 ①原材料購入支払い ②加工による経費支払い ③製品在庫の保有 ④販売し売掛金の発生 ⑤売掛金回収
回避策 ➡︎➡︎➡︎
①大手企業との事業アライアンス、、、共同開発や共同販売などをして、ブランド力や販売力を活用出来るようにアライアンスの可能性を検討する。
②工場を持たないファブレス企業、、、開発した製品を自ら生産しないモノづくり企業をファブレス企業という。研究→開発→生産→販売のプロセスのうち、生産を第三者に依頼する場合が通常。
③OEM生産方式、、、相手先ブランドの受託生産をする方法である。モノづくりに特化した生産技術力のあるベンチャーならば、第三者の受託生産によって高い設備生産稼働率を上げることで固定費負担が下がり安定した収益ぐ確保できる。(ODM生産方式では設計から生産までを担当する)
④支払い・回収のサイト差を活用、、、初期導入企業に対して納入実績を作りたいと焦るあまり採算の合わない価格での取引をしがちだが、最初から販売価格や取引条件に対しては強気に交渉することが必要。例えば、生産に伴う原材料の支払いは購入2ヶ月後、労務費等の経費は発生の月末に支払うなど。
▽成功する起業家
1、成功する起業家の特徴
①過去の経験とタイミング
②起業時の志の高さ
③経験に裏付けられた感性の鋭さ
④先を読み取る力
⑤タイミングの良い決断力
⑥組織やチームをまとめるリーダーシップ
⑦常に全体を把握するバランス感覚
2、会社理念の重要性
①会社理念の意義、、、経営理念とは、企業経営上の価値観ならびに行動規範を、企業の顧客、従業員をはじめ利害関係者(ステークホルダー)に示すものである。経営理念が浸透することでCS(顧客満足)やES(従業員満足)を両立させる効果がある。
経営理念には、3つの経営の領域性を満たす必要がある。
▶︎企業理念
▶︎企業環境理念
▶︎管理・行動理念
②会社理念の成功例と失敗例
どこの企業でも当てはまる企業理念は、そこに至るまでの大まかなロードマップのイメージが湧かない。しかし、目の前の目標だけにフォーカスするのも良くない。企業理念とは、「なぜ我々の企業は存在しているのか?」という問いに答えられるモノで無ければならない。
3、最適な経営チームの組成
①最適な経営チームの構成メンバー
CEO 最高経営責任者 【戦略・ビジョン立案、企業文化開発】ビジョンを持っており、消費者の立場から見た提供価値を叫び続けることのできる人、企業文化の生き字引
CTO 最高技術責任者 【技術開発、サービス実装】ビジョンを実現するための技術的な課題を解決できる人
COO 最高執行責任者 【事業開発】組織を動かし、戦略を具体化し実行出来る人
CFO 最高財務責任者 【組織開発】組織の番頭として、常にオペレーションを監視でき、数字で経営を語る人
▽持続的成長の為に必要な人材戦略
1、人的資本こそ持続成長の源泉
商品が偶然ヒットしまり、業界環境の好転などから期せずして企業が急成長した際には、人材の質・量ともに追いついてないので、買収をしたり新規事業をする前に管理出来る優秀な人材の採用や育成にお金を充てる。
2、適正な人材規模とは
社員20人を超えると仕事を創造する人間と、言われたことしかやらない人間が出てくる。なので、1人あたりの売上高、付加価値を常に把握しておく。
3、採用の工夫
①女性人材の活用
➡︎スキルはあるが育児などの理由で離職してしまった女性を採用する。(ベンチャーの自由度の高さ、やりがいを感じれる環境)
②採用前のインターン制度の活用
➡︎ミスマッチが少ないというメリットの他にも、新鮮な観点から事業を見つめられるという強みもある。
③外国人の活用
➡︎イノベーションのアイディアや新規事業のヒントは、生活や生活様式の異なる外国人と日本人がディスカッションすることで生まれることが多い。
④既存社員からの紹介推薦制度
➡︎ -
仕事の参考になるかと思って...全11章の内の第2章の事業構想の章はたいへん参考になった。後半は自分の仕事とはほとんど関係ないので、図書館で借りて正解だった。著者さんゴメンなさいm(_ _)m
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WBS長谷川先生の講義の教科書。起業側以外の視点からの記載もあり、優れたビジネスモデル・お客さんの見込み度など含め、慎重な検討が必要だと理解。ベンチャービジネスについて初学者には良いと思いました。
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MBAで使っていた一冊。
改めて読み直すと、現場での目線出掛かれていて実践的である。
論理的な理想を議論するのではなく、
現場感のある表現だから使える感触がある。
もちろん、そのすべてを網羅してベンチャー事業を遂行したり、
評価したりすることは簡単ではないが、
事業遂行を評価していく目線や観点をもてる安心感は、
ある側面では、ベンチャー起業を後押しすることにつながるのではないかと思う。
また、ベンチャーというキーワードにとらわれず、
プロジェクトマネジメントを経営的視点から広げるときにも役立つ一冊。 -
教科書というより卒論。筆者の経歴とそれに基づく経験談が無ければ読む気にならない本。中身自体と、中身同士に、矛盾だらけ。ベンチャーマネジメントとは、結局メンターやVC頼みなのかと。
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一般的には、一念発起し起業することを考えると、商工会議所や産業振興財団、行政など様々な団体が主宰している創業塾や起業セミナーなどに行くことが多い。
しかしそこで学ぶのは、経理であったり、マーケティングであったり、組織であったり、バラバラとした知識の寄せ集めであり「起業」を体系的にまとめたものはない。
この本は「起業」を体系的にまとめており、また理論だけではなく、実際にベンチャーキャピタルを興した著者の経験則からも、起業のプロセスについて解説されている。
もっと早く体系づけられていれば…と思うのは私だけではないだろう。
起業を考えられている方には一読の価値はある。 -
ベンチャーを経営する上で留意すべき点が項目別・成長段階別にまとめられた本。
基本的には一般論+基礎的な内容(といっても、それを実践するのが大変だから多くの失敗が発生するわけではあるが)なので、この領域に関して一定の知識がある人間(キャズムとか、ダーウィンの海、WACCと聞いてすぐに定義を言える程度の人)ならば、あえて読む必要はない。
が、ベンチャー経営に初めて触れる人や、一定の知識は持ち合わせているがこれから起業するorベンチャーに就職する上で全体を俯瞰したいという人間には、お勧め。 -
会社から読めと言われたんだけど、結構面白かったかも。飛ばし読みだけど。