- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532164980
感想・レビュー・書評
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日本経済新聞8月15日掲載
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西岡常一,最期の法隆寺の棟梁であり,稀代の棟梁.言葉の重みが突き抜けている.
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口伝、今風に言えば暗黙知。
書籍や文献に記載できる形式知と違って、外にいたら絶対に分からない。だから、現代では暗黙知を形式知にすることで、誰にでもできるようにしようとする。大量生産の工場になるほど、こういった傾向が強くなってくる。品質を安定させ易くするためだが、その分、精度や材料の特性と言ったものは軽んじられていく。そのため、耐用年数というものが下がっていく。
暗黙知は、教えられても経験が伴わないと根付かない。しかし、精度や材料の特性、加工の微妙な調整と言った手触りや感覚というものは、しっかりと伝わっていく。それが、職人技である。
今後もこういった職人技が、継続して伝わっていくような風土を守っていく必要があると思う。 -
口伝は、心に刻んで、書き残しはしない。
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これって、「私の履歴書」だよね
この頃って日経とっていなかったっけかな?
毎日こんなすごい内容の記事が
読めていたなんてスゴイよね
戦争をはさんでいる時代は、壮絶でした
それから、金堂炎上も…
木おもてや、木うらとか、
木と対話しながら作っていく
ヤリガンナの扱いもカッコいいです -
13/02/02 戦後派の私は苦労が足りない。何をいまさら。
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宮大工、西岡常一さんのお話です。
タイトルは口伝の重みですが、私がこの本から得た感想は「文化の重み」とはすさまじいものだ。ということ。
文化は消えるのは一瞬、一度消えてしまえば復活する為には多大な労力を有する。
例えば、この本に出てくるヤリガンナ。法隆寺金堂を再建する際に西岡常一さんがヤリガンナを復元したらしいですが、なかなか大変だったようです。
このように途絶えやすい文化ですが、西岡常一さんは途絶えることを心配しているようには思えません。
というのは、法隆寺の再建の際には樹齢1000年の檜が必要だが、次に法隆寺を再建しなければならないときにはそのような材木は殆ど手に入らないだろう。かといって日本の文化復元のために他国の材木を荒らすのは間違っている。だから、1000年後を考えて今からしっかりと木を育てなければならない。という途方もないスケールの話しが出てくるからです。
きっと彼の頭には1000年間途絶えることはないという確信に近い思いがあるのでしょう。西岡常一さんは法隆寺の宮大工として、その技を1000年間伝えられてきた証なのですから、自分の後ろに1000年があると思えば、自分の先に1000年があると思う事は当然なのかも知れません。
西岡常一さんが聞いた口伝、そして伝えた口伝。
口伝は口頭で伝えるのですから、一度途絶えると二度と伝わらないでしょう。まさに最も脆い文化の承継方法だと思います。
口伝を受ける者は、1000年以上の過去から受け継がれた文化の重みと、後に伝える責任の重みを負う。
口伝に限らずどのような文化であってもそのような重みが必ずある。
そういう重みを背負った人たちが日本の文化を守っている。
そう思える一冊でした。