居場所の社会学: 生きづらさを超えて

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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本棚登録 : 385
感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532168018

作品紹介・あらすじ

居場所とは、ぶつかり合いながら、時にはひとりで、時にはみんなでつくっていくもの-。フリーター、就活生からリタイア男性、逸脱集団まで、著者自身の居場所探し体験と重ね合わせ、誰もが気持ち良く働き、暮らしていくヒントを示す。

感想・レビュー・書評

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  • 気になっていた本がようやく到着。図書館で出来ることは、という視点もふくて読んでみよう。

  • うーん、何がどう社会学なのかわからない。
    あと歌詞から社会分析するのは安易すぎると感じる。自説に都合よく歌詞を引用しているだけじゃないのか、と思ってしまう。
    「誰もが気持ち良く働き、暮らしていくヒント」が欲しいなら、津村記久子を読めばいい。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/56980

  • この社会に対する違和感と暫定的な解決方法
    モヤモヤする社会
    社会人になってから1年が経った。社会人って労働者ってイメージだったけど、一般的な「社会」という虚像に放り投げられている人のことを言うんだって体感したよね。この1年はこの社会の現実にひどく困惑させられて、そしてそして結果的に社会との向き合い方を考えなければならない1年となった。
    学生時代と社会人の1番の違いは、「考え」に至る因子、つまり価値観が全く異なる人たちと強制的に一緒にいなければならないか否かだと思う。学生時代は無にできた関係性が社会人ではそうでなくなる。その人たちとの上手い付き合い方、時には「自分を変えること」を強いられる。その事に気づかずに苦しむ社会人初心者は最近多いよね。上司とうまくやれないとか人間関係がきついとか。それもデジタルネットワークによる多様性が生んだものなんだと思う。
    「自分を変えること」これは生きる上で非常に大事なスキルだと思うんよ。好きなこと、転職、行動力といったワードが飛び交う最近のキャリア社会ではあまりスポットライトは当たらないけど、大事なはず。いわゆる柔軟性だよね。

    居場所の社会学
    このスキルが大事だなって改めて思ったのは、阿部真大さんの「居場所の社会学:生きづらさを超えて」という本を読んだのがきっかけ。この本はリタイア男性、フリーターの働く場、家族や恋人との関わり方、就職難、ヤンキー社会といった社会課題を「居場所」という切り口から論じることで、多くの人が気楽に生きられる社会を実現しようというものである。今の複雑な社会を生きる全ての人にとって、知っておくと楽なことが書かれているけど、特に新社会人、ちょうど1年ぐらい働いて人間関係に悩まされている人に読んでほしいな。これからの社会を生き抜くヒントが散りばめられており、肩の力が抜け少し楽になれると思う。

    新社会人にとっての職場の居場所問題
    この本では、居場所に問題を抱えた時、個人や組織ができる対応策を2つ述べている。1つは「意見をぶつけ合って、自分が変わりながら新しい居場所を作る」積極的な解決方法。もう一つは「仕事をマニュアル化することで出来るだけ人との関わり合いを避け、ひとりの居場所を作る」消極的な方法。でも、社会からはみ出してない人にとっては後者は難しいよね。だから多くの人が前者の解決方法を取ることが多いと思う。
    そこで大事なのは、「自分も変わる」ってこと。自分が変わらなければ周りも変わらないし、新しい居場所も見つけられない。これって結構難しいんだけど、できるようになるとだいぶ楽になる。
    その時に必要なスキルの例として筆者は「聴く力、相手を受容する力」をあげている。うん、納得。聴く力ってほんと生きる上で大事。一番大事なスキルなんじゃないかと思う。モテる人とか人気者って、あらゆる人の居場所を作れる人なんだろうなぁなんて思った。

    変えることと変えないこと
    居場所の問題を積極的に変えていくならまずは「自分が変わらなければならない」。そしてぶつかることを恐れてはならない。たぶんこの2つをできる人って限られてると思うけど、今の状況に妥協点を見出せない頑固ものはこれをやるしかないと思うってのが今の答え。変わるのって大変だけど、楽しいことでもあるよね。どんな人物になるんだろうって考えるとわくわくする。でも、この時自分の芯になる部分は変えてはいけないと思うんよ。これを変えちゃったら何のために生きているかきっとわからなくなっちゃう。変わることは大事だけど、変わらないことも大事。この社会は矛盾だらけです笑。さぁ、今日も楽しんでこ!

  • <b>「誰かと一緒にいるからといって、居場所があるわけではない」</b>が<b>「誰といなくても、そこは居場所になりうる」</b>。

    労働力の流動化やグローバル化によって、職場での居場所の確立性は脆くなった(Ex.派遣切り)。
    新卒雇用に偏った日本に於いて就活とは暗闇の中で綱渡りをするようなものである。
    どの高さに綱が張られているか判らないから、落ちた時のダメージが想像つかない(それは往々にして誇大されるか過小かどちらか極端な結論に落ち着く)。

    せめてセーフティー・ネットとして「居場所」を複数設けることが求められる。
    これは社会学的にも、経済学的にも。


    ボーナス・トラック的に掲載された企業社会とJ-POPの30年を考察した対談は本書の主題とは異なるが面白く読めた。

    <b>結局、80年代ロックの抱えていた限界をJ-POPも克服できないどころか、「自由」や「やりがい」ばかりを求め、貧困や労働者の連帯を軽視した結果、「ブラック企業」の蔓延を招き寄せるようなかたちで30年が過ぎてしまった</b>のは、日本に所謂レベル・ミュージックが根付いていない証左でもある。

  • 中高生向けの読み物という印象を受けた。内容は社会学に詳しくない一般人でも軽く読める。著者の過去の経験に基づいた日常的な事柄を分析して、居場所の作り方を考えている。
    ただ、全体的に著者の主観が強すぎるように思う。専門的な内容や意見を求めて読むには向かない。

  • ふむふむと納得できる論点もあるものの、コンフリクト、スティグマなどなど、カタカナが多くてすんなり入ってこなかった。
    なんとも、雑多でまとまりにかけるなぁと思ったいたら、幾つかの論文を元にしているのですね。
    大学に進学したばかりの頃、周りは友達と居るのに自分は一人という状況がたまらなく辛かった、なんとかしようと、無理やりサークルに入って行ったことなんかを思い出しました。その変などりょは確かにながつつしなかったので、どちらの経験も本書が指摘するとおりですね。
    ちょっと期待が大きかっただけに、ビミョーな読後感。新しい知見に出会えたという感じにはやや欠けます。

  • タイトルに「社会学」が付くのはちょっと違うような感じがします。まだ学問と呼べる論理にまで達していないように思います。
    しかし、居場所を確保する上での参考にはなります。特に、本書は『居場所がほしい人』ではなく、『居場所を提供する側の人』が読む内容です。

    気になったのが二つ。
    一つは『マニュアルでコミュニケーションを減らすことで居場所を確保する』という点。コミュニケーションを取りたがらない人にはもってこいの策として挙げていて、マックでの成功事例も出していますが、マニュアルで完全にコミュニケーションが断てるのか疑問です。著者もそれについては懸念していますが(介護等はマニュアル化が難しいのでできませんが……と著者は言っています)、ちょっと楽観的すぎていて、引っかかります。

    もう一つはヤンキー文化について。
    地元のヤンキーが祭りを盛り上げる役をすることで地域に貢献し、社会的なつながりを維持できるようになる云々と言いますが、そもそも学生時代に暴れ回った人間が、地元公認のやんちゃな大人として受け入れられるというのは、真面目で普通に過ごしていた人間にとっては不条理極まりないことで、ちょっと内気で弱気な子は(普通の子もそうですが)ヤンキーに萎縮して肩身の狭い思いで学生時代を過ごしたというのに、そのヤンキー達が地元で勝ち組になるなんて、感情的には許しがたいでしょう。これじゃあ地元に残った人は、『一生ジャイアンと付き合わなきゃいけないじゃん!』て嘆きたくなるでしょう。
    なので、個人的にはヤンキー文化が衰退して万々歳、ざまぁみろと言いたくなります。幅を利かせて生きてきた人間を擁護する気にはなれません。
    というか、普通の人ですら社会で生き抜くのが厳しいのに、ヤンキー文化が衰退するのは自然な流れだと思います。

    以上の二点が気になったところですが、総評として、僕の評価はAにします。良書と普通の間くらいですね。

  • 表紙とのギャップ。

    日本のバンドにみる社会学が意外と面白かった。高校の日本史の授業で吉田拓郎の歌詞にある主張についてやったっけ。

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著者プロフィール

阿部 真大(甲南大学文学部教授)

「2022年 『質的調査の方法〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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