- Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532169336
作品紹介・あらすじ
世界を駆け抜けた疾風怒濤の七十九年、未完の指揮者人生を爽やかに振り返る。
感想・レビュー・書評
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小澤征爾さんのご著書「僕の音楽武者修行」が大変面白く、お若いころのご経歴については、そちらのほうが若書きだけど、タイムリーな感じで面白く読めるかもしれません。
ずいぶんざっくり書いてある本だなと思ったら、日経新聞の連載をまとめたものだったのですね。
ご自身の言葉で語られているという点では、とても魅力的な一冊だと思います。サイトウ・キネン・オーケストラのことなど、簡潔に纏めてあるので、
斎藤秀雄って名前聞くけどどんな方?
小澤征爾ってどんな方?っていう人には、すごく解りやすい本。しかし内容について言えば、この世界に冠たる名指揮者が
「音楽をもっと知りたい」
考えているとということが凄いと思うのです。
そんなこと、あのキャリアを考えたら言いそうもないのに。だって十分な実績をお持ちの大指揮者ですから。
謙虚なのですよね。やっぱり。一流だから勉強なさるし。先日テレビで初めてバレエのダンサーが踊ってらっしゃるのとオケを合わせたそうで、お相手の方はまだ高校生の才能あるバレエダンサーということでした。
確かにお上手で、ああ、これから国際的な舞台で活躍される方なんだな、とすぐ解る素晴らしい踊り。でも、合わせるのはなかなか大変だったよう。生オケはテンポもその都度変わります。ダンサーの方は音を聞きながらステップをタイミング
見ているので、どうしてもCDで踊るようにはいかなくて。
成功すれば素晴らしいだろうってことは、経過をテレビで見ていてもわかりました。なかなか合わない中、ダンサーの彼も責任を感じて焦ったりし始めます。そんな中で小澤さんは
「いや、今のは僕が悪いんだよ。ここを僕が変えてしまったから。彼のせいじゃない。やはり初めてのことは難しいね。」
本番では、勿論ビシッと合っていましたけど
その後も
「初めてバレエと合わせた。とてもいい勉強をさせてもらった。彼はこれから世界の一流オケと合わせて踊るだろう。本当にありがとう。どうか頑張って下さい。」
と。
僕が悪いんだ、なんて、さらっと嫌味にならず言える。若い才能に敬意を払って対等に尊重してらっしゃるのが印象的でした。
ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートを指揮なさった時も、本当に楽しそうで少年のよう。
すぐに店頭にその演奏が並び、厳しい批評も待っている。フィルの楽員ですら本当は緊張するというあの舞台で。
勿論演奏は素晴らしかったけど。
何よりその笑顔が忘れられません。
彼が日本の音楽界に贈ってくれた素晴らしい業績。それを措いても。その飾らない人柄を知る入り口にいい本かもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2024.2.11 市立図書館
ちょうど十年前(2014年1月)に日経新聞に掲載された「私の履歴書(全三十回)」に加筆・修正したもの。訃報を聞いて、追悼読書の一冊として借りてみた。
2009年に病気が見つかり、仕事はキャンセルを余儀なくされ闘病・療養・休養に時間を取られてしまったが、その時間のおかげでうまれたのが村上春樹との対談本やこうして来し方を振り返った文章だった。
ここでは、自分一人では音ひとつ出せず人の力に頼らざるを得ない指揮者として、どんな人たちに支えられてきたか、歴代のその恩人たちを紹介する形で人生を綴っている。「僕の音楽武者修行」などこれまでに読んだ著作でもすでに感じていたことだが、小澤征爾(一家)はとても運がいいというか、周りの支援者に常に恵まれている。いまの若い人が読んだら現実離れしたファンタジーのような気もするんじゃないだろうかというほど。もちろんこれは本人の目から見た世界で、客観的な現実はまた別にある可能性はあるが、ご自身はその幸運をじゅうぶん自覚してそれを音楽の形で返していこう、また次代に伝えていこうという気持ちで最後まで頑張っていたことが伝わってくる。八十を前にしてまだまだ音楽の勉強や教育に貪欲だったのに、心身がそれについて行けなくなってしまったのはさぞ悔しいことだったかもしれないと思いながら本を閉じた(90代になっても指揮台に立っているブロムシュテットやジョン・ウィリアムズなどをみるにつけても…)。
読みやすいので一晩で読み終えた。巻末に年譜がついていて、さまざまな追悼談話や他の本を読むとき参照できるのが助かる。 -
「小澤征爾 指揮者を語る」を読んだ後で、重複している部分が多数あった。一気読み。
小澤征爾さんはいろんな人から愛されて、助けられて今の地位を築き上げた。
彼から学びたいところは、行動する時に良い意味で逡巡が無い。人生はあっという間なのだから、私もそうありたいと肝に銘じて本を閉じる。 -
ブザンソン指揮者コンクール出場願書準備のため(締切当日!)、在仏日本大使館に行ったらちゃんとした留学生ではなかったので怪しまれ強制送還になりかかり、仕方なくツテを頼ってアメリカ大使館に行ったらコンクール事務局に電話でかけあってくれ出られることになった、というエピソードが好きだ。このように困っていると様々な人が助けてくれるのは、筆者の音楽家としての才能もだけど人間としての魅力が大きいからなのだろうな。
さらさらと読める本です。 -
中学生のころ『ボクの音楽武者修業』を読んだ。重なる部分もあるが、その倍以上の時の経過と出来事が編まれている。当時ではあまり気を留めなかったが、友人たちが絶妙なタイミングで現れ、全力で小澤征爾を応援・援助する場面がかなり多いと感じた。若いころからカリスマ性・類まれな才能・努力できる能力を持った指揮者といえよう。
とはいえ、万事順調なのではなく、N響の件、短大留年の件、意外にも斎藤秀雄と「何となくまだぎくしゃく」(p.86)していた件、など色々な出来事が紹介されている。ただそれらを過ぎると宿命だったかのように、新たな道が開かれ、こう劇的に物事が運ぶものなのか、と思ってしまう。三島由紀夫が自決した日に、自信の父親の葬儀があったということも全く普通でない。
最後の「これからも音楽の勉強を続けたい。おそらくどれだけ時間をかけても終わりはないのだろう。僕はもっともっと深く、音楽を知りたいのだ。」、という一文に感銘を受けた。とうに指揮者とか職業音楽家という次元ではなく、ただ純粋に音楽と向き合うという姿のみが残った「存在」があるだけだと強く感じた。 -
小澤征爾追悼コーナーより
一度生で聴いてみたかったなぁ
教科書でもよく出てくるから、CDなどではよくお世話になっているのだけど
「僕はもっともっと深く、音楽を知りたいのだ」
シビレますね
プロと言うよりは、道を追求する人という感じ -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/66713 -
東2法経図・6F開架:762.1A/O97o//K
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB16369022