- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532176822
作品紹介・あらすじ
●初の体系的テキスト
「地政学リスク」「地政学的には――」など地政学という言葉が氾濫しています。だが、日本において地政学は戦後長らく、軍事と結びついた学問としてタブー視され続け、学問としては未成熟で体系的なテキストすら存在していません。国際関係を語るにおいて地政学という切り口は欠かせないものとなっているにもかかわらず、明確に定義されることなく曖昧なまま各人各様に使われてきたのです。本書では、地政学を「国家間および国際社会に関する一般的な関係を、地理的要因から理解するための枠組み」と定義。地政学の基本的な考え方を解説し、今日の世界情勢のとらえ方を身につける初めてのテキストです。
感想・レビュー・書評
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武蔵野大学図書館OPACへ⇒https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000236884
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中には「地政学どこ行った?」的なものもあり、玉石混交感はあるが、地政学を正真正銘の学問とするための模索の必要性は同意。
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■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001195102 -
特に中東について、日米関係について、そして今の世界情勢を正しくとらえるには「地政学的」な観点はとても重要だと思う。
我々一人ひとりが、各国の国家戦略の歴史を知った上で、日本の進むべき道あるいは日本が世界の中でどういう役割を果たすべきかを考える必要があると思う。
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東2法経図・6F開架:312.9A/Sh96c//K
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日本と海外での地政学の展開、代表的な論者、地域情勢、とバランスよい基本書。各章ごとに要約とキーポイント、文献集があるのもいい。ただ読書後は、俗に「地政学(的)」と呼ばれるものに却って懐疑的になった。かなりの部分は「国際政治(的)」など他の語で言い換えられないか。戦略、政策とどう違うのか。自らに都合のよい主張を理論らしく見せているだけか、とすら思えた。地政学を専門とする奥山も、厳密な意味で「学問」ではない、自らの都合に合わせてどのようにでも語ることができる、などとする。だからこそ奥山は、学問的な理論の必要性を主張しているが。
議論の担い手は、むしろ他分野の専門家のように見える。本書の執筆者11人中、地政学を専門に挙げるのは2人だけだ。戦略論や安全保障の専門家ならまだ隣接領域だろうが、歴史学の専門家もいる。また、地理学者や哲学者も地政学を論じ得るようだが、本書の執筆者にはいない。もっとも、これは本書が古典地政学を扱うからのようだが。
第2部で解説された有名な論者たちはいずれも20世紀前半の人間で、たとえば国際政治の理論が同世紀後半に百花繚乱なのと対照的だ。それに、同時代の自国や自軍種に都合の良い理論構成という色彩が予想以上に強い(スパイクマンはそれほどでもないが、結果的に封じ込めの根拠とされた)。日本では、マハンは日本海海戦に言及、ハウスホーファーには親近感を持ち日本が「持たざる国」ドイツに類似、という点から両者が評価されたとのことで、あまり学問的な受容には見えない。
マハンのシー・パワーは一般的には地政学の代表的な論の1つに挙げられるが、石津はこれは彼の戦略思想家としての面だとし、「今日ではほぼ陳腐化した」という地政学者としての発想と区別する。シー・パワーは地政学ではなかったのか。