デタラメ データ社会の嘘を見抜く

  • 日本経済新聞出版
3.63
  • (7)
  • (7)
  • (10)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 190
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532177089

作品紹介・あらすじ

TEDの超単純化プレゼン
自称専門家のドヤ顔解説記事
統計データを歪曲した陰謀論
あなたのスマホは「デタラメ」だらけ!

■なぜ現代はデタラメ社会になってしまったのか?
 デタラメはあちこちにはびこっている。政治家は「ポスト真実」を主張し、科学者はでっち上げを発表し、高等教育機関は分析的思考ではなく思いつきを表彰し、スタートアップ企業は実現できない計画でカネを引っ張っている。さらには、広告業界の自動配信技術によって、ひどい記事にも広告費が落ちるシステムが作り上げられ、結果的に見出し詐欺、パクリ記事、根拠のない陰謀論が世の中にバラまかれている。インテリの巣窟のはずのTEDトークだって、デタラメばかりだ。難しい問題を超単純化したプレゼンをして、いかにも本当らしく話して人々を感心させて騙しているのである。

 だから、「デタラメを見抜く」ことが重要になってくる。なぜならデタラメが蔓延ると、「反論のコスト」が高くなるからだ。
 たとえば1998年、MMRワクチンと自閉症に相関関係があるとしたウソ論文が、有名医学誌「ランセット」に掲載されてしまった。サンプルサイズは12人という統計的に無価値の研究にもかかわらず、2010年まで「ランセット」誌は全面的に論文を撤回しなかった。

■旧型のデタラメ、新型のデタラメ
 デタラメには新旧がある。旧型デタラメは、明らかな嘘、欺瞞、エセ宗教的妄想、選挙のときにしか語られない政権公約という形を取る。だいたいこれがデタラメであることは、見ればわかるケースが多い。
 だが新型デタラメは見抜きにくい。大きな特徴は、数字と科学と統計を引き合いに出して、あたかも厳密で正確なもののように装うことだ。怪しげな主張を、数字、図、統計、画像データで箔付けする。新型デタラメは情報に数値を絡めることで、反論しにくい印象を醸し出しているのである。だが、それを見抜き反撃する方法はある。

 本書ではデータを論理的かつ定量的に考える方法を伝授する。統計学、計量経済学、データサイエンスの知識がなくても、ググる能力さえあれば、偽のデータは見抜ける!

【本書を推薦します!】
ジョージ・アカロフ(ノーベル経済学賞受賞者)
ポール・ローマー(ノーベル経済学賞受賞者)
ソール・パールマッター(ノーベル物理学賞受賞者)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「数字は嘘をつかない」のではなく「嘘つきは数字を使う」ことを見にしみて理解できる本でした。よくある宣伝広告に書かれた数字の嘘から話は始まりますが、そこまではまあわかる話です。でも本書がすごいのは、そこから機械学習などの最新テクノロジーや、科学論文という「さすがに信じてよいのでは?」と思えるものにまで話が進むことです。普段、専門家の見せる研究結果や「学術論文によると・・」などといった言葉を見てある程度盲目的に数字を信じてしまうことがありましたが、実はその科学というものがいかに怪しいかを教えられました。

    論文を読んで内容をまとめる系のYouTuberがよく「科学的に正しい」なんてことをサムネイルに載せたりしていますが、全くもって眉唾です。本書を読んでP値ハッキングの実情を知れば、特定の論文に依拠して科学的に正しいと言い切ることがいかに間違っているかが分かります。正確には「科学的に正しい可能性がある結果が出ている」くらいに捉えるべきだということが分かります。

    本書には数字のデタラメを見抜くテクニックがいくつか紹介されていて、すぐ実生活に応用できます。でも個人的に最も響いたのは、「科学」というものは1つの成果で判断するのではなく、その分野の数多くの研究の総体として蓋然的に理解しないといけない、という科学に対する見方を教えてくれるところです。

  • 今や、社会には“デタラメ”――事実ではない情報があふれている。その中で真実を見抜くには、どうすればよいのか?人々を惑わせるデタラメの特徴、そして騙されない方法を説く書籍。

    デタラメは広まりやすく、正すのが難しい。
    例えば「ワクチンが自閉症の原因になる」というデマがある。その信憑性は、後の調査で完全に否定されたが、デマは今もはびこっている。

    因果関係がないのに、因果関係を示唆するデタラメがある。
    例えば、マシュマロ実験という社会心理学の研究では、マシュマロを食べるのを長時間我慢できた4歳児は、成長してからの学業成績がよかった。この自制心と成績は、因果関係ではないが、自制心が人生で成功をもたらすとメディアは報じた。

    デタラメを見破るには、例えば、次のような点に注意する。
    ■情報源に疑問を持つ:
    「誰が私にこれを伝えているのか?」「その人はどうやってそれを知ったのか?」「その人は何を売り込もうとしているのか?」を自分に問う。
    ■この比較は正しいのか:
    「空港の手荷物用トレーには、トイレよりも多くの細菌がついている」との論文がある。だが調べたのは呼吸器ウイルスだけ。人はめったに便座に向けて咳せきをしないから、トレーの方が多くても不思議はない。
    ■うますぎる話、ひどすぎる話ではないか:
    うますぎる話(あるいは、ひどすぎる話)は、たぶんデタラメである。
    ■数字の桁は間違っていないか:
    デタラメは底が浅いため、おかしいとすぐわかる、数字の誤りを犯すことがある。

    オンラインのデタラメを見抜くには、次のようなことを行う。
    ・知らない情報源からの情報は、検索エンジンで確認する。
    ・画像を使って検索する。
    ・ファクトチェックを行うウェブサイトで確認する。

  • 今の社会は情報が豊かであるが故に,正しくない情報=デタラメも溢れています。よく行われる手法や人が騙されやすいポイントやなど,何を知ってどこに注目すればデタラメを見破ることができるのか,そのスキルをぜひこの本で獲得してください。きっと一生使えますよ。

  • パオロ・マッツァリーノの反社会学講座を思い出した。
    目新しい主張は少なめ。よくある統計のトリック話。
    AIの学習方法は面白かった。

  • ロシアの件でフェイクニュースに騙されないようにと図書館からきていいタイミングだなぁと思ってたけど現実の方が動きが早すぎる。。。

  • SNS、広告、政治家の主張。これでもかというくらいの具体例をあげながら、デタラメの見破り方を解説。

    既知の内容も多く、中断。6章まで読んだ。

  • レビューはブログにて
    https://ameblo.jp/w92-3/entry-12717713809.html

  • 『#デタラメ』

    ほぼ日書評 Day503

    引っ越しで時間を取られ、久々の書評アップ。

    さてさて、原題は "Calling Bullshit: The Art of Skeptism in a Data-Driven World"。まずは、これをこの邦題に訳した才能は素晴らしいとしか言いようがない。

    内容的には、読み手をミスリードするグラフや図表等を多くの具体例を挙げて解説するもの。ひとつひとつ丹念に見ていくべき内容ではないが、そうしたトラップにハマらないために、さらっておくことには意味があるだろう。

    興味深かったデータ分析例をひとつ。
    見た目の良い相手は性格が悪く、性格の良い相手は見た目がイマイチ…という「負の相関関係」に関する説明。
    本来、実際に全数の分布を見ればそんな事実はない。しかしながら、実際にそうした「現実」が発生する仕組みは以下の通り。まず、見た目も性格も好ましくない(デートしたくない)相手を全数から消去する。次に「あなたのことを歯牙にも掛けてくれない(雲の上の存在)」相手を消去する。消去から残った集団は、見事に先の負の相関分布にプロットされるというのだ。

    https://amzn.to/32lozRL

全13件中 1 - 10件を表示

小川敏子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×