日本の終わり: 日本型社会主義との決別

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532190354

作品紹介・あらすじ

霞ヶ関封建制、会社主義、福祉国家…日本は実は「社会主義」の国だった。市場の力を前にして、国家の終わりと運命を共にしたくなければ、個人が自力で資本主義の中を泳ぐ方法を見つけるしかない。世の常識に挑発をかけ、日本の新たな「始まり」を説く痛快評論。

感想・レビュー・書評

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  • 「日本の終わり 『日本型社会主義』との決別」竹内靖雄
    日経ビジネス人文庫。
    2000年刊。
    棚-onto

    読み物として非常に面白かった。なんとなく、構成がいまいちかなとは思ったけど。
    10年以上前の論評ですが、なかなか今の日本の行状を当てていて、良いのか悪いのか…。
    脱・会社、脱・国家。資本主義のすすめ、学問のすすめ、な一冊です。(4)

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    @全体として、[日本型社会主義]に関する本
    @[戦後日本の社会主義的総中流化モデルの行き詰まり]について、[官僚主導経済、人口分布の停滞などから]詳しく述べている
    @[構成](目次) 1.老化する日本 → 2.無力化する政治 → 3.治らない赤字病 → 4.福祉国家の崩壊 → 5.破綻する医療保険 → 6.衰退する家族 → 7.教育の経済学 → 8.さらば「霞が関封建制」 → 9.会社主義の終わり → 10.脱社会主義のすすめ・資本主義のすすめ → 「国家の終わり」の始まり

    以下メモ
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    競争社会・格差社会のなかでの、共産的コミュニティ、でどうか。

    p4. 社会主義とは、「各人はその能力に応じて働き、その必要に応じて与えられる(分配される)」

    本当の社会主義体制の崩壊は、日本の新自由主義への移行か。

    p25. 適応→固定の弊害
    p26.政治は、〜それ以上に期待することは何もない。最優先すべき仕事は、〜国民の生命・財産の安全を守ることである。

    ①福祉国家の破綻
    ②財政の破綻

    p32.ひとつは「外圧」
    もうひとつは、官の自滅

    いま改めて『学問のすすめ』→官製学問を脱却、自己投資→
    格差社会の方が正常だ。

    「サービス型民主主義」

    p48.賢人たちを集めたはずの「××審議会」がプラトンの賢人支配に似た役割を果たすことはない。

    p52.人々が豊かになり、かつ平等になると、この再分配すなわち社会主義をやる余地がなくなる。

    p55. 『あらためて益なき事はあらためぬをよしとするなり』徒然草

    p64.
    ①「小さな政府」.競争、資本主義の『自由党』型政党
    ②「大きな政府」、規制保護再分配、日本型社会主義の『民主党』型政党

    p67. 左下、共産党=官僚の定位置
    p68.小泉さんかあ。

    p72.日本のマスコミは〜。彼らは有能であるからこそ何かをしようと頑張っている。

    p96.徳川時代より、慢性的に「破綻の構造」を、抱えていた。

    p125.福祉国家は、余裕のある市場社会において、老人保護の個人主義を社会主義のスタイルでやっているだけのこと。⇒ただし、「貧・病・苦」の三重苦の老人を救済するところまで手を広げている、ということ。

    p132.「国家は万人に対して平等にミニマムな生活保障を提供しなければならない」というのは最初から妄想、空想のたぐい。

    ※なんで政府は、「弱者を切り捨てようというのか!」「そうです」とばっさり言えないんだろう。
    ※年金なんかあてにしてない、今の30代以降の年代がチャンス!年金なんてやめちまえ。ということ。

    p145.一定の年齢に達すると自力では生きていけなくなる、という非現実的な前提。

    p153.空気のように当たり前の公的医療保険制度
    「医療保険がなくなったら」「年金がなくなったら」「生活保護がなくなったら」「介護保険がなくなったら」「失業保険がなくなったら」生きていけない!死ねというのか!
    ⇒そう。

    破綻の道筋が確実な「日本型社会主義」を作り、維持してきたのこそ、自民党-官僚型政治。

    p163.「病気を治すのに有効であるかもしれないサービス」にすぎない。売りてと買いてとの間では、治っても治らなくても、一定のサービスに対して一定の価格を支払うという了解が成り立っているものと考えなければならない。

    社会主義も利他主義と見えて、根本的に利己主義に立脚しているんだなあ。あげるあげる社会じゃなくて、もらうもらう社会というか。
    人として当然望むことを成立させるのは難しい。(「派遣労働者にも保障を!」)
    ただ、共産主義が唱える階級闘争の立脚点は剰余価値の搾取にある。これを解決するための方法に対して失敗しただけで(ソ連型)、他の方法、特に成熟社会に適応できる方法は?
    ⇒p355.「ソフィスティケートされた」社会主義

    ていうかさあ、サイクルをもう一度繰り返せばいいんでないの?リスタートポイントがどういうところか分からないけど。
    ⇒なんのために社会を考えるのか?個人主義?それとも博愛精神?

    p180.サザエさん一家型、源氏物語の時代、女性が代々夫を迎えて子供を作っていく複世代家族。

    p184.核家族は市場に向かって生産活動をするための集団ではなく、市場に依存して消費生活をする集団である。

    p196.女性=妻は、「家庭株式会社の社長」から「一介の労働者」に成り下がっただけのことではないか。/しかし、「目覚めた女性」はそうは思わない。/〜/しかし、上流階級が健在であるような社会では、「家庭株式会社の社長」たる地位は依然としてゆるがない。

    p207.マルサス、リカードなどの古典派経済学「貧しくなれば子供をつくれず、人口が減る」は、当たっていて、成熟社会においては子供のコストが高くつき、結局相対的に貧しくなっていることの証明ではないか。

    p210.フリーセックスかつ生まれた子供を共同で育てる、ヒッピーのコミューン。
    p213.フェミニズムの理想もここに至って実現される。

    p216.人口が減る社会では優れた人間も減る。

    p219.大学全入時代の学生の学力低下の予言

    p222.一部の優秀でアンビシャスな若者⇒日本を出て海外へ
    大多数の普通の若者⇒旧い世代の作った居心地のよい泥舟
    …社会主義から資本主義へと脱却する市場活動では、利潤貢献しない人材は必要とされない

    p266.さらば「霞が関封建制」と「政官財のアイアントライアングル」

    p277.他人事のように批判されている官僚の行動も談合体質その他も、日本人が長年状況に合わせて練り上げてきた行動文法であって、

    p281.官は他人のカネを使って他人のために仕事をしている。

    p313.企業は商法的暴力団

    p385.国家の仕事は、必要不可欠にして最低限の仕事を行う「市場の管理者」以上のものではない。

  •  なんと今から10年以上も前に書かれているが、あたっている。怖い本だ。経済学ってこういうもんなんでしょうね。身も蓋もない冷徹さ。

  • 発行年月日が2001年と少し古さを感じるが、それよりも現在の日本の病の重さをあらためて指摘している。不安をあおるとかの内容ではないが、保険、税金、人口減少・高齢化問題、会社の仕組み、様々な問題点をあげており、今後日本の国に頼るのではなく自分自身がどの様に危機感を持ち将来の設計を計って行かなければいけなか、強く感じた。おすすめです。

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