How Google Works: 私たちの働き方とマネジメント

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532198343

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  • How Google Works-私たちの働き方とマネジメント―

    グーグルのマネジメントについて文化・戦略・人材・意思決定・コミュニケーション・イノベーションの観点からまとめられている。

    ・文化
    :グーグルは、クリエイティブな会社であるために、スマートクリエイティブ(自分の専門分野に関する深い知識を持ち、それを知性、ビジネス感覚やさまざまなクリエイティブな資質と組み合わせる人材)をより多く、どこの会社よりも集めねばならない。そして、スマートクリエイティブが最も重要視するのが企業の文化である。グーグルの文化は、スマートクリエイティブがその能力を発揮できるように醸成されている。基本的に「長期的利益に集中する」「エンドユーザの役に立つ」「邪悪にならない」「世界をより良い場所にする」というスローガン以外は基本的に極めて自由である。最も位の高い人間(HIPPO)のいうことは聞くな、ということや狭い部屋にみんなを詰め込んで、食事なども共にさせるなど、いわゆる外装の部分には一切拘らず、必要最低限の場所を提供する。一番うなづけたのは、組織再編は1日でやるというもの。バレーでも、最高のシステムというものは存在せず、システムについて熟考するのではなく、まずパッとやってみてどうなるかを考える事、そしてこれが最も大事なのだが、そのシステムがうまくいくようにみんなが信じて努力する事が大切である。完璧なシステムを追い求めて、システムチェンジばかり考えていると、自分がいま採用しているシステムを信じて、それを成功させるための努力が薄くなってしまう。
    ・戦略
    :イノベーションはたいてい、技術的な革新をてこに起こっている。常に新しいものを考えながら、できたらそのプロトタイプをつくり、それがエンドユーザの役に立つかを考えることが基本である。ライバルに追随するのではなく、そう近視眼的にならず、もっと広い視野で、エンドユーザについて考えることで、現在のプラットフォームそのものを変えてしまうような変化が起こせる。だから、ライバルを意識する事こそ大事だが、追随することはあまり意味がない。
    ・人材
    :情熱のある人は情熱という言葉を口にしない。軽々しく情熱という言葉を口にする人間は自分によっている可能性が高い。一方、「本物」は自分の興味のあることに対して際限なく話し続ける傾向がある。その人が、その人の興味のある分野を話し始めたら、それをじっくり聞き、敬意を払う。たいてい、興味のあることを話している人間は無防備になり、その人の人となり掴みやすくなす。採用すべきは、ラーニング・アニマルである。採用では、その人が何を学んだかではなく、何を学ぶかを見極めなければならない。その為には、質問をして、マインドセットがしなやかであるかを確認し、状況の変化に対しても学び続ける力があるかを見極めるべきである。グーグルはより多くのスマートクリエイティブを集めるべく、採用には本当に力を入れている。それを最も表すのが「ダメ社員を解雇するような不愉快な事態を避けるためには、最初から採用しないのが一番」という言葉。本当は採用すべきだったのに、採用しなかったことよりも、本当は採用するべきではないのに採用してしまったことの方を問題視する。採用とはあまり関係ないが、エレベーター・ピッチは大切で、自分の仕事に関して、社会的な意義についてクリアカットに話せるようにしよう。グリットにも、自分の仕事についてより大きな意義を見出している人間の方がモチベーションが高いということも書いてある。
    ・意思決定
    :意思決定者の任務は、適切な期限を設定し、行動志向を示し、これ以上の議論が必要ないと思ったら打ち切り、全員が最終決定を支持するようにチームを導くことである。PIA(Patience, Information, Alternative)が重要である。意思決定それ自体の数を減らすこともとても重要で、CEOに必要なスキルは、CEOが意思決定すべきことと、それ以外でもよいことを見分けることである。楠木健も経営者が何をするかではなく、経営者が何をしないかに注目することでその経営者の能力が解ると「経営センスの論理」で述べていた。
    ・コミュニケーション
    :飛び切り高性能なルーターになれということが述べられている。基本的に情報をオープンにして、みんなに考えさせることが重要。技術の進歩により、実は会話の機会は減っている。その為、リーダーの方から社員に話しかけてきっかけを作ることが大切である。
    ・イノベーション
    :より大きな発想をするほうが良い。大きな賭けをするほうが、失敗できないことから緊張感が生まれ、失敗しない。凡庸で小さな賭けを何度もするほうが成功確率は下がる。70:20:10ルールがグーグルには存在し、70をコアビジネスに、20を成長プロダクトに、10を新規プロジェクトに充てるようルールがある。10と制限を設けているのは、制限を設けた方が、イノベーションが生まれやすいからである。絵画に額縁があり、漢詩に文法上の些細なルールがあるのは、制限をクリエイティビティが好むからである。イノベーションは、大きな発想をし、仲間を集め、とりあえず世に出してそれから手直しをすることで、どんどん加速する。そして、良い失敗の仕方を身につけなくてはならない。経営者の仕事は、リスクを回避する事ではなく、リスクを取り、避けられない失敗に耐えられるだけの強靭な組織を作ることが。

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著者プロフィール

グーグル前会長
2001年グーグル入社。同社がシリコンバレーのベンチャー企業からハイテク業界の世界的リーダーへ成長するのに貢献。2001年から2011年までグーグルCEO。2011年から2018年までグーグル会長、その後は2020年までグーグル技術顧問を務めた。グーグル入社以前はノベルとサン・マイクロシステムズで経営幹部を歴任。プリンストン大学で電気工学を専攻、カリフォルニア大学バークレー校で修士、博士(いずれもコンピュータ科学)を取得。

「2022年 『AIと人類』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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