ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ (日経ビジネス人文庫)
- 日本経済新聞出版 (2019年3月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532198893
作品紹介・あらすじ
世界競争で沈む日本企業への答えがここにある!
歴戦のトップ経営者が仕掛けた「改革の連鎖」。その経営行動を支えた論理、そして切断力とは何か。
シリーズ89万部! 『V字回復の経営』の著者による話題の名著が待望の文庫化。
12年間にわたり仕掛けてきた数々の改革が「事業モデル」の革新を引き起こした。それは、多くの日本企業が嵌まった罠――欧米から押し寄せる「事業革新の新潮流」に対抗するための打ち手であった。いかに失敗と成功の壁をよじ登り、「会社改造」と呼べるほど、組織を違う生きものに変身させていったのか。多くの経験を持つ経営者が自ら書き下ろした改革のドラマ。
会社を変えるとは、経営者が計算し尽くした戦略的なアプローチと具体的アクションの切り込み方を用意し、そのうえでトップ自らが矢面に立つ覚悟で、既成組織と既成価値観を突き崩していくことである。
(以下、「プロローグ」より)
その進化は簡単ではなかった。本書は各章とも、前半では改革プロジェクトがうまく進まない「失敗の状況」が描かれ、後半ではその壁を打破して成功に向かっていくブレークスルー(突破口)が描かれている。すべて実話である。各章に出てくるフレームワークは、多くの会社に当てはまる汎用性と普遍性を含んでいる。
本書は、これまでに書いた3部作――『戦略プロフェッショナル』『経営パワーの危機』『V字回復の経営』と同じスタイルを踏襲している。お堅い理論書ではなく、読者は実況中継のような物語で生々しい現実を疑似体験しつつ、経営の「論理性」「戦略性」を学んでいく。
ただ、本書とこれまでの3部作では大きな違いがひとつあることを知っておいてほしい。
これまでの3部作はいずれも、追い詰められた会社ないしは事業を2~3年で再生するという「短期決戦」だった。それに対して本書は、上場企業のCEOに就いてから12年間もの長期にわたり実行した「会社改造」すなわち「改革の連鎖」を追っている。社員わずか340人の超ドメスティックな商社が、いまやグローバル1万人に迫る、世界で戦う企業に転換するためには何が必要だったのか。
感想・レビュー・書評
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滅茶苦茶おもしろい!
自分の会社の成長ストーリーなので、多少の美化は含まれているのかもしれないが、半分に割り引いても、すごい内容だった。
プロ経営者の凄みと、自分の無難なサラリーマン化の程度を思い知ってしまった。
こんな上司の下だったら胃が痛そうと思うと同時に、一緒に仕事をしてみたいとも思った。
組織は生物と同様、破壊と創造を絶え間なく繰り返すことでしか成長出来ず、安定は衰退の第一歩と思った。
三枝社長退任後も、売上3000億円超、時価総額1兆円超、まで順調に業績を伸ばしているのが、後継者育成にも成功している証か。(コロナ禍で多少の停滞はあるにしても)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
有名な三枝3部作の続編とも言える4部作目は、
なんと三枝さんが人生の集大成として社長に就任されていた
ミスミのリアル・ケーススタディー。
(売上と利益だけを見れば)順調に成長しているように見えるミスミに
こんなドラマがあったなんて!という驚きをもって読み進めることができます。
もちろん、三枝さん(と一部の三枝さん賛同者)からミスミの経営を振り返った視点なので、
これだけが全てだという訳ではなさそうですが、
それでもなるべく客観的に、そして失敗も包み隠さずオープンにされていて、
リアルな会社経営とはどういうものかということが疑似体験できます。
ここまで濃密なものも中々ないのではないでしょうか。
特に、「戦略的束ね」と「末端やたら元気」は記事などで聞いたことがあったけど、
今ひとつピンと来ていなかったです。
この相反する考え方を会社組織に両立させていく考え方を三枝さんの解説により、
ようやく腹にストンと落とすことができました。
まさに、会社は「生き物」!
一方、三枝さんの強烈なリーダーシップには尊敬の念を抱くものの
これからの世代に対してこのリーダーシップスタイルで皆はついてくるのか?という点はもう少し考えたいところです。
そんな色々なことを考えながら、味わうことができる最高のケース・スタディーです。
是非、三枝3部作を読み直した上で(過去、読んだことのある人も)、
この本を手に取ってもらいたいです。 -
上司にオススメされGWに読み進める。
内容備忘メモ_φ(・_・
会社改造1
・どんな状況の会社に行っても、短期間で「問題の本質」を発見できる人
・それを幹部や社員に「シンプル」に説明できる人
会社改造2
・《PPM》の「相対シェア(勝ち負け)」と「市場成長性(成長潜在性とそのリスク)」
・《ABC》がもたらす「商品別損益(自社から見た収益魅力度やコストポジション)」
・顧客がミスミから受け取る商品・サービスの価値の「相対顧客メリット」
会社改造3
世に次々と現れる新概念を、流行りもののように次々と取り入れていくのではなく、古典といわれようが何だろうが、経営現場で良いと思われるものを愚直に使い切る。そして、「トップと組織末端が連動できる概念やツール」にまで落とし込む工夫を社内でかさねることが重要だ。
会社改造4
若手の無茶苦茶なやり方での育成と組織風土や伝統に起因する呪縛からの解放のお話。特に込み入ったキーとなる考え方なしの章
会社改造5
危機感を訴えるだけでは何も起きない
たったひとりの強烈なリーダーが変化を生み出す
会社改造6
生産改革時に起きる下からの反発
強力なリーダーシップで周知徹底
(終盤の章になればなるほどしょぼい話になってきてる感)
会社改造7
長年辛苦を味わいながら積み上げてきたオペレーションのノウハウは!いまやミスミが守るべき知的財産のひとつであり、ミスミの競走優位性を支える要素となっている -
(3部作を読んでいると特に)プロローグはめちゃくちゃカッコいい。フレームワークはすごく腑に落ちる。ただ、なぜか鼻につく。
3部作と比較すると、主人公が悩んでいないようにみえるからかな。実際のところは、自分で動くより、部下の成長(失敗)を見ている方がフラストレーションはたまると思うんですけど。めちゃくちゃ悩んでるとは思います。
それともシンゴジラみたいな感じに集団が主役じゃないとなんかな。それか経験値はあるとはいえ、実はわかってました、みたいなのが続くからなんかな。説教臭いのかな。
面白いんですけど、3部作と比較するとなぜか熱くなれませんでした。 -
1. 複雑な状況の核心に迫る現実直視、問題の本質、
強烈な反省論
2. 問題の根源を解消するための改革シナリオ、戦略、
計画、対策
3. アクションプラン
※ポジション矮小化
今の自分は以前そのポジションに居た人よりも小さなスケールで仕事をしていないだろうか?
熱き事業集団という言葉が出てくる。商社勤務時代にそう思える仕事に携わったことが何度かあった。現時点で明確な達成目標が存在する今の会社では熱き事業集団になり得る要素には事欠かないと思うが、どうも熱くなっていないような気がする。 -
三枝さんの本は細かい手法までは分からないものの迫真で、臨場感がある。
この本でマインドを引き締められ、もっと勉強しなきゃと思うようになれる。 -
一生読む
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▼経営者
・危機感を訴えるだけでは何も起きない、会社を変えるとは、経営者が計算しつくした戦略的なアプローチと具体的アクションの切り込み方を用意し、そのうえでトップ自らが矢面にたつ覚悟で既成組織と既成価値観を突き崩していく事である。
▼学び
・「自分から取りに行く」という積極的な生き方をする者だけが享受できる、圧倒的な「学びの量」だった。
・難しい任務に自ら近づいて行って「身の丈にあったジャンプ」することが、人生の学びを極大化してくれる
▼他
・「まだ若いと思っているんだろう。人生短いよ。ボケっとしてると、すぐに死んじゃうぞ…」
・会社のなかで昇進が早い人は、いまの自分の部署で「自分がここにいなくても大丈夫」という状態を早く作り出す。 -
ミスミを大きく拡大したBCG出身のプロ経営者による著作。ミスミの変革の歴史を追体験できるような書き口で、経営者の仕事の一端を垣間見ることができる面白い本だった。
正直戦略コンサルタント出身者はなにが寄与してそこまで経営面で市場価値が高く見られているのか懐疑的だったのだが、三枝さんのように物事を捉えられる人材は確か重宝するなと感じられた。 -
遂に読了。今までのエッセンスがあり、復習にもなり良かった。