10の「感染症」からよむ世界史

制作 : 造事務所 
  • 日経BP日本経済新聞出版本部
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532199937

作品紹介・あらすじ

歴史に大きな影響を及ぼした感染症は、
いったいどのように発生し、どれだけの被害を出し、
文明にどのような影響を与えたか? 
また、そこから社会は、人々は、いったいどのように立ち直ってきたのか? 

本書では、交易からヨーロッパに広がったペストをはじめ、
大流行から2つの帝国の滅亡をもたらしたとされる天然痘、
上下水道の整備や都市の近代化につながったとも言われるコレラや赤痢、
医療崩壊から拡大し、第一世界大戦の終焉につながったといわれるスペインかぜなど、
世界史を変えた10の感染症を取り上げ、
その蔓延の過程と背景、収束までの経緯について解説する。

感想・レビュー・書評

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  • かつてパンデミックを起こし、人類史に凄惨な爪痕を残した10の感染症を紹介する。
    中には当時のヨーロッパ人口の1/3を死亡させるなど、飢饉や戦争などよりも人類の滅亡に肉薄した感染症もあった。
    こういう事例を読むと、よく人類生き残ったなと思うし、これほど医療が発達したことにひたすら感謝したい。

    その10の感染症は下記。

    ・ペスト・・・ネズミを介してノミが感染源。リンパを侵し、皮膚が黒変しする。
    ・インフルエンザ・・・鶏などの家禽から人へ。人から人へ空気感染。若年層が死ぬ強毒性だったそう。
    ・コレラ・・・病原のいる糞便に汚染された水が感染源。猛烈な脱水を起こす。
    ・マラリア・・・ハマダラカという蚊により媒介。高熱が発生。アルプス以南も感染地だったらしい。
    ・赤痢・・・病原のいる糞便に汚染された水が感染源。大腸の表皮を壊死させる。
    ・結核・・・空気感染する。肺以外にも感染する。工業化に伴い広がる。
    ・天然痘・・・空気感染や接触感染。体中に水泡が出来て肺炎や敗血症を起こす。未開の地を壊滅に追いやった病。
    ・黄熱・・・熱帯シマカが感染源。肝臓、腎臓が侵される。アフリカの風土病。
    ・チフス・・・虱が媒介する病原菌。体力を消耗させる。不衛生で密集した戦場で猛威を振るった。
    ・梅毒・・・性病の一つ。発現と潜伏を繰り返して感染を広げる。世界中で風土病となるほどに根付いてしまう

  • これまでシリーズとして読んできた、30の歴史シリーズの派生版の第2弾です。
    世界各国を混乱させた新型コロナウイルス。これだけ世間を騒がしているのに、ウイルスとは何か、感染症とは何か、これまで世界は様々な感染症と戦ってきたはずだが、どう克服してきたのか、知らないことも多く、改めて学ぶにはちょうどよい内容でした。
    冒頭、このように書かれています。

     人類は疫病との関わりとともに、歴史を歩んできた。野性動物の家畜化、都市での集住、さらに商業、交易、戦争といった人間の活動が、結果的に数々の感染症を世界に広げることになった。
     感染症を引き起こす病原体の正体は何か、病原体はいかにして人間の生活空間に侵入し、人々に伝染していくのか。そして、人類はどのようにそれらと戦う方法を見いだしたのだろうか。

    歴史を学ぶことは、次への備えをすることにつながるため、過去、どのような感染症が流行し、どのような影響を歴史に与え、どのように対策し、収束したのか、非常に細かく紹介されています。
    その歴史のなかで、南北アメリカ大陸やアフリカ大陸だけに流行した感染症の存在やワクチンの語源など、歴史的な事実も合わせて参考になると思います。

    ▼新型コロナウイルスなど、伝染性の病気は、「感染症」と呼ばれる
    ▼感染症とは、病原体となる微生物が体内に侵入することによって発生する病気で、人から人へ伝染するものと、そうでないものがある
    ▼日本の「感染症法」では、危険度が高い順に主要な感染症を分類
    ・一類:ペスト、痘そう(天然痘)
    ・二類:結核
    ・三類:コレラ、腸チフス、細菌性赤痢
    →一~三類の疾患に対しては、患者だけでなく無症状感染者にも入院や就業制限といった措置が取られる
    ・四類:黄熱、マラリア、狂犬病
    →感染を媒介する生物の輸入規制、消毒などの措置
    ・五類:梅毒、アメーバ赤痢
    →発生動向の情報収集などの措置
    ・指定感染症:新型コロナウイルス
    →一~三類に準じた対応を必要とするもの、1年間を期限。危険性が恒常的とされたものは、正式に一~三類に入れられる
    ・新感染症:人から人に伝染し、すでに知られている感染性の疾病とは症状や有効な治療法などが異なり、蔓延すれば国民の生命および健康に重大な影響を与える恐れがあると認められるもの
    ▼感染症を引き起こす主要な病原体には、「細菌」「真菌」「寄生虫」「ウイルス」の4種類
    ▼ウイルスは細菌とは異なり、遺伝子を持っているが、細胞構造がない。サイズは非常に小さく、細菌の50分の1ほど。代謝をせず、細胞分裂も起こさず、宿主となる生物の栄養を奪って自分の複製を次々とつくり出す。一般的な生物とは異なり、「生物の一歩手前の存在」

    <目次>
    Part1 人類と感染症
    Part2 人類史に影響を与えた10の感染症
     ペスト
     インフルエンザ
     コレラ
     マラリア
     赤痢
     結核
     天然痘 
     黄熱
     チフス
     梅毒

  • 世界史が好きなので、読んでいて、『この戦争にはこういう背景があったんだな』と楽しめた。

  • コロナ禍に、今だ!とばかりだした本。世界史ってほどじゃない。いろんな感染症あったよねー、って感じ。

  • ヒポクラテスが賢すぎる

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著者プロフィール

造事務所(ぞうじむしょ)
1985年設立の書籍の編集・制作会社。雑学をはじめ、生活実用まで幅広いジャンルの単行本の編集などを行う。編著となる単行本等は年間30冊にのぼる。主な制作物に『絶滅事典 20世紀末モノ&コトカタログ』(小社)、『競馬あるある』(同)など。

「2023年 『社畜語辞典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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